2016/07/04 11:36:04

生命保険を契約している契約者本人が保険証券を見たときにふと思うこと。それは、「受取人は変更できるのか」ということ。あるいは、「もうひとり別に受取人を増やすことができるのか」そして「受取人を変更すると税金はどうなるのか」などです。
また、被保険者が亡くなったときにすでに「受取人が死亡していても新たに指定していなかった」などがあります。そこで、生命保険と受取人のいくつかの疑問について取り上げてみました。

生命保険の受取人変更の注意点

生命保険の受取人には、死亡保険金の受取人と満期保険金の受取人があります。
どちらにしても、生命保険の受取人は変更ができます。

 

ただし変更ができるのは、被保険者が死亡される前、満期保険金のある保険は、保険満了日前までに限ります。

 

また、受取人には、被保険者の配偶者や子ども、親や本人の兄弟や孫などの二親等以内の親族を指定する必要があります。

 

受取人の変更には同意が必要

契約者が勝手に保険金受取人の変更をすることはできません。
被保険者の同意が必要になります。

 

そのため、「契約者=被保険者」ならば容易に受取人を変更することができますが、「契約者≠被保険者」のような契約形態で、離れて暮らしているとなると少々手間がかかります。

受取人を変更すると税金はどうなる?

契約者変更とは違い、死亡保険金の受取人を変更してもそのときに税金がかかるわけではありませんから何ら問題はありません。

 

後に問題になるのは満期保険金の受取人変更です。
たとえば、以下のような形態の契約(養老保険や学資保険)があるとします。

 

契約者:本人
被保険者:本人
死亡受取人:配偶者
満期受取人:本人

 

このうち、「満期受取人:本人」を「満期受取人:配偶者」へ変更しようと考えたとします。
そうすることで、どうなるのかと言いますと、かかる税金の種類が違ってきてしまいます。

 

「満期受取人:本人」ならば契約者も本人なので、「一時所得」になりますが、「満期受取人:配偶者」とすると、今度は「贈与税」に変わってしまい、多額の税金を納めることになってしまいます。

 

そこで「注意が必要だな」と思われるでしょうが、この点は特に気にすることはありません。
なぜならば、上記のようなことで保険会社のカスターセンターに電話した時や外交員に依頼しても、贈与税が課されると説明されるはずだからです。

 

「それじゃ、何で説明したのか」なんて言われそうですが、生命保険はちょっとした違いで税金の種類が変わってしまうということを知っておいていただきたかったからです。

 

 

受取人変更に必要なものはなに?

おおむね各生命保険では以下のものが必要になっています。

 

  • 名義変更請求書(保険会社から送付される)
  • 契約者の本人確認書類(運転免許証等のコピー)
  • 印鑑(認印もしくは契約時に届出した印でないとダメな保険会社もある)
  • 保険証券(必要のない保険会社もある)

 

受取人は複数指定できるの?

死亡保険金の受取人は複数指定することができます。

 

たとえば、終身保険に契約していて、死亡保険金の受取人が長男だとします。
これに受取人を追加して「次男」等も指定することができます。
また、保険金の受取割合を50%ずつではなく、7対3というようにも指定することもできます。

 

このように複数の受取人を指定することもできますが、問題点としては、保険会社に請求するときです。一般的には、受取人の中から代表者をたてて請求する必要があるからです。

 

代表者をたてると言っても、手間がかかる場合があります。というのも、指定書類に各受取人から署名と実印を捺印してもらうことも必要になりますし、印鑑証明も取ってもらう必要があるからです。

 

そのうえ、死亡保険金は、代表者の指定された銀行口座に一括振込まれますので、代表者が各受取人に配分することになります。

 

このようなことで、複数の受取人を指定するならば、はじめから保険を分割して契約することをおすすめします。

 

遺言によっても受取人は変更できるの?

遺言によっても受取人の変更はできますので、その方が死亡保険金を受け取れます。しかしながら、すでに保険会社が指定されていた受取人に死亡保険金を支払ってしまっている場合は、あらたに保険金を支払うことはありませんので注意が必要です。

 

ということで、契約者は生前に保険金の受取人を変更しておくのがベストと言えます。

 

※ 遺言は民法上の遺言の方式を満たした有効なものである必要があります。

 

受取人が死亡してそのままだった場合

受取人が亡くなったときには、新たに受取人の指定をしておくべきですが、契約者が高齢ともなると、そのままにしておくことも考えられます。

 

例えば、契約者・被保険者とも夫で受取人が妻の契約があったとします。
この場合に先に受取人が亡くなり、新たに受取人指定をしないまま、その後に被保険者である夫が亡くなったとします。

 

こうなると死亡保険金を受取るのは、相続人になります。
すでに被保険者の親が無くなっていて相続人が子どもひとりならば手続きもスムーズにいきますが、相続人が複数人いるとなると手間がかかってきます。

 

というのも、保険金を受取るにあたり、死亡証明書・死亡診断書・死体検案書のいずれかの他に次のような手続や書類が必要になるからです。死亡診断書や死体検案書と保険金請求の関係についてはこちらのページをご覧ください。

 

  • 相続人のうちから代表者ひとりを選出する
  • 相続人全員の印鑑証明書を用意する
  • 受取人であった母親の出生から死亡までの戸籍謄本や除籍謄本
  • 父親の出生から死亡までの戸籍謄本や除籍謄本

上記提出書類は保険会社によって多少異なってくると思いますが、おおよそはこのような書類が必要になります。

 

※父親や母親の出生から死亡までの戸籍謄本や除籍謄本は、受取人の範囲を保険会社が確認するために必要となるものです。

 

出生から死亡までの謄本を入手するのは大変です

出生から死亡までの謄本を入手することは相続では重要なことであり大変な作業になります。

 

親が子供が生まれたと役所に届出をすれば親の戸籍に親の氏名や本人の名前、生年月日、続柄(長男や次男など)が記載されます。

 

その子がその後に結婚すれば、親の戸籍から外れるので親の戸籍の「本人の名前部分」には✕印がつき除籍となります。そして、配偶者とともに新たな戸籍に移ります。

 

これだけなら、出生から死亡までの謄本は、被保険者の最後の本籍地の役所で取る最終の戸籍謄本と生まれたときの謄本だけですみます。

 

しかしながら、数年に一度は戸籍法が改正されていますからほぼこれだけの謄本ではすみません。
改正されると謄本の様式が異なり、改正前のものと後ではすべての記載事項が新たな謄本に記載されていないため改正原戸籍(かいせいげんこせき)を入手する必要があります。

 

つまり、「死亡」や「離婚」、「転籍(本籍の移動)」などがあっても、省略されて記載されてきませんから、改正前の謄本である改正原戸籍(かいせいげんこせき)が必要になるのです。

 

住所を移転するたびに転籍

さらに、住所を移転するたびに転籍をしていた場合には、それぞれの時点の本籍地の市町村で除籍謄本を入手する必要がありますから、たいへん手間がかかります。

 

除籍謄本とは、戸籍に誰もいない場合の謄本をいいます。転籍などによりその戸籍に誰もいなくなった謄本は戸籍謄本ではなく、役所で発行してくれるのは除籍謄本のコピーになります。

 

こうなると、いくつもの役所回りをしなくてはいけなくなります。そのときの本籍地が近くならいいですすが、遠方ともなるとそうはいかないでしょうから郵送で入手します。

 

郵送によりひとつ入手してはよーく内容を確認し、その前の本籍地の役所に郵送申請し入手することを繰り返すことになります。もしもこれらの作業が大変だと思う場合には、司法書士や行政書士に依頼することになります。

 

このように出生から死亡までの謄本を入手するのは場合によって大変な作業になります。ですので、受取人が亡くなったときに早めに指定されておくことをおすすめします。

生命保険の受取人変更のまとめ

生命保険の受取人は変更することができますが、被保険者の同意が必要になります。
また、あらたに受取人とする方は、2親等以内にする必要があります。

 

死亡保険金の受取人変更による税金ですが、契約者変更とは違い、死亡保険金の受取人を変更してもそのときに税金がかかるわけではありませんから何ら問題はありません。

 

遺言によっても受取人の変更はできますので、その方が死亡保険金を受け取れます。しかしながら、すでに保険会社が指定されていた受取人に死亡保険金を支払ってしまっている場合は、あらたに保険金を支払うことはありませんので注意が必要です。

 

受取人が亡くなり、その後に被保険者が亡くなったような場合には、通常の書類に加え、用意する書類が増えますので、受取人が亡くなった際には、速やかに指定変更していくべきです。

 

以上、「生命保険の受取人変更や受取人が死亡した際の注意点」でした。

 

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