2017/11/20 17:58:20

60歳にもなりますと若いころから掛けていた保険が満期になる。あるいは、10年や15年経過して更新時期を向かえる方も多いと思います。

 

そこで、「あとはどうしたらいいの?」「医療保険くらい加入しておきたいけどどうなの?」「医療保険は不要なの?」なんて疑問が生じる方も多いと思います。

 

そこでそのような方の疑問解消に役立つようファイナンシャルプランナー Hamaが記事にしてみました。

60歳からの医療保険は必要、それとも不要?

生命保険会社が販売している保険種類に医療保険があります。
この医療保険になぜ加入するのでしょうか?まずは、その目的から見てみましょう。

 

《加入する目的》

  1. 医療費支払いのため
  2. 差額ベッド代や食費、そのた諸雑費のため

医療保険ですから、これらの目的は当然といえば当然です。
ですが、忘れていけないのが医療費の支払いについては、全額自己負担するわけではありません。

 

公的医療保険制度について

ご存知かと思いますが、日本には公的医療保険制度がありますから、負担の少ない人で1割、最高でも3割までの自己負担となっています。ですから例えば3割負担の方は、ひと月に100万円の医療費であっても30万円となります。

 

この30万円の自己負担額の部分だけを見ますと、やはり「医療保険は必要」と思われがちですが、他に医療保険制度には「高額療養費制度」も存在していますからこちらの制度もあわせて考える必要があります。

 

高額療養費制度とは

高額療養費制度とは、ひと月あたりの医療費の支払いに限度額が設けられている制度をいいます。先ほどの100万円の事例でいえば、3割負担の方でも限度額があるため30万円を支払う必要はありません。

 

年齢や所得によって限度額は違ってきますが、69歳以下で一般的な所得(年収約370~約770万円)の人では、おおよそ月額87,000円が自己負担になります。

 

年収約370万円未満の人(健康保険の人は標準報酬額26万円以下、国民健康保険の人は旧ただし書き所得210万円以下)は、57,600円が限度額です。そして住民非課税の人は35,400円です。年収が約1,160万円以上と高額な人では、『252,600円+(医療費-842,000)×1% 』で計算しますから、月254,180円が限度額です。(平成29年11月時点の制度)

 

高額療養費については、こちらの高額療養費の申請の記事(外部サイト)をご覧ください。

 

このように収入によって高額療養費の自己負担額に差がありますが、たとえばあなたが60歳以上で、年収約370万円未満であるならば、月額自己負担57,600円のために保険会社の医療保険に加入する必要があるかどうかを考えることが必要です。(他に差額ベッド代や食事費はかかります)

 

仮に1日あたり、5,000円の入院費用を受取れる医療保険に加入していれば1ヵ月入院で15万円受取ることができます。これならば自己負担額は無くなるどころか、医療費の面だけでみれば収支としてはプラスになりますから「加入していてよかった」となることでしょう。

 

しかしながら、医療保険の保険料支払いは1回だけではありません。毎月毎月支払っていくわけですから、長期的にみればどうなるでしょうか。具体的にシミュレーションしてみました。

受取れる給付金と医療保険料のシミュレーション

65歳男性で〇〇保険会社での終身医療保険(1日あたり5,000円の入院給付金、死亡保障はない)の保険料は月額5,662円です。年間では約68,000円です。

 

仮にこの方が、80歳まで長生きした仮定しますと65歳から15年間ありますから、68,000円×15年=1,020,000円です。

 

つまり、102万円の保険料以上に入院給付金を受取るためには、102万円÷5,000円=204日以上の入院をしないと元を取ることができません。

 

85歳としたならば、20年間ありますから136万円です。136万円÷5,000円=272日の入院日数が必要です。※手術給付金を含めればさらに少ない入院日数にはなりますが、ここでは含めないで計算しています。

 

このように長生きすればするほど保険料に見合った分を受取るには、長期入院をする必要があります。長期入院(複数の入院期間を含む)をしない限りは元は取れないともいえます。

 

よって医療保険に加入して得をするには、契約後にわりと早く長期入院して、その後早くに亡くなってしまうことです。もちろんジョークですよ。(笑い)

 

 

もしも脳血管疾患で入院したらどうなる

長期入院の代表的な疾患といえば、脳血管疾患です。こちらの場合にどうなるか計算してみます。
脳血管疾患となりますと、命の危険があれば急性期の病院には入院していられますが、病状が安定すれば退院(転院)を促されます。

 

転院先の候補としては、早期の社会復帰を目的とした「回復期リハビリテーション病棟」がありますが、こちらに入院するには、脳血管疾患発症から2ヵ月以内に転院する必要があります。脳血管疾患ならば最長150日まで入院することができます。

 

大腿骨、骨盤などの骨折での回復期リハビリテーション病棟への入院は、90日が限度です。

 

よってこのような脳血管疾患で急性期病院、そして転院して回復期リハビリテーション病棟へ目一杯入院された場合には、60日+150日=210日となりますので、計算上は累計保険料くらいの入院給付金にはなりそうですね。でも、そうはなりません。

 

入院給付金の支払いには1回あたりの限度日数が設けられているからです。

 

医療保険は1回あたりの入院給付限度日数が定められています。一般的には60日、あるいは120日です。このような限度がありますから、この日数を超えての入院は給付対象にはなりません。

 

もしも120日の医療保険に加入していたら、上記のような例では、210日分のうち、120日分しか受取ることができません。ですから、同じような入院を2回以上繰り返さないと累計保険料以上に給付金を受取ることはできません。

 

また、回復期リハビリテーション病棟を退院されてからは、自宅療養、もしくは医療介護施設への入所が考えられますが、いずれにしても入院給付金の対象にはなりません。このようなことから累計保険料以上に入院給付金を受取ることは極めて難しいといえます。

 

回復期リハビリテーション病棟1の医療点数は1日あたり2,025点(平成28年度の医療費診療報酬点数)です。医療費として1点は10円で計算します。医療保険制度により患者はこの1~3割が自己負担となります。

 

 

発想の転換

医療保険に加入されて、毎月毎月保険会社に保険料を支払っていく方法もありますが、そのお金を毎月毎月銀行に預ける方法もありです。

 

いわゆる積立定期預金です。

 

こちらは、入院をされても給付金を受けとることはできませんが、積立てた金額は確実に残ります。

 

毎月、先ほどの保険料5,662円を5年間積み立てれば34万円です。この34万円を医療費にあてることも考えられます。その後も5,662円を積みたてていけば、お金は貯まっていきますから医療費にあてることができます。デメリットとしては、ある程度の金額が貯まる前に入院されたときに不足してしまうことです。

 

この点、医療保険に加入されていた場合は、たとえ1ヵ月分しか保険料を支払っていなくても入院日数限度分まで給付金を受取ることができますから安心感を買うことができるともいえます。この点は医療保険のメリットです。

 

しかし、その後も保障を受けたいならば継続して保険料を支払っていかなければならないので、1ヵ月くらいの入院給付金を受取った場合で、その後入院がなければ、それ以上に保険料を支払うことにはなります。

 

 

まとめ

使用目的のないお金が50万円以上ある方。また、60歳代ともなれば、若い頃から契約されてきた終身保険に加入されているならば保険金にもよりますが、50万円や100万円の契約者貸付が受けられるはずです。

 

こういった方は、それらのお金を利用すればよいことなので、新たに60歳代で医療保険を契約する必要はないと思います。

 

ただし、そういう環境にはなく入院時の金銭面で不安があるのでしたら、医療保険に加入をしておくのもひとつの手段だと思います。さらに同時に積立預金ができるのであれば貯めていき、ある程度貯まった時点で医療保険を解約する方法もありでしょう。

 

また、入院等で病院に支払うお金は、あまりおすすめはしませんが、カードローンで借りる方法も考えられます。借りることで利息の支払いは生じますが、きちっと返済していけば特に問題はありません。医療保険の保険料を何十年も支払うよりも利息を支払うほうが、かえって特になるケースのほうが多いかと思います。

 

以上、「60歳でも医療保険は必要?それとも不要ですか?」でした。

 

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