アフラックは、2016年7月19日から新商品の「給与サポート保険」を販売開始しました。
この保険は、入院だけでなく自宅療養でも就業不能状態が60日継続したと医師に診断されたときに生存していれば、給付金が支払われる保険となっています。

 

詳しくは後述していますが、現状ではこの手の商品は、ライフネット生命や日立キャピタルが所得補償保険として販売していますが、他の生命保険会社では販売していない、もしくは力を入れていない分野の商品です。もしアフラックが順調な売上を示せば他の保険会社でも追随していくと思われます。
そこでこのページでは、参考までに現状での所得補償保険をアフラック、東京海上日動、ライフネット生命、日立キャピタルで比較してみました。

 

こちらの記事は、長年在籍した保険業界から得た知識やFP技能士としての知識、各保険会社(アフラック東京海上日動ライフネット生命日立キャピタル)のパンフレットやホームページ上から調べてまとめたものです。

 

2016/07/08 11:15:08

所得補償保険の役割とは?

所得補償保険は、ケガや病気により入院や自宅療養等で仕事に就けなくて収入が減ってしまったり、まったく無くなってしまった場合に備えての保険です。代名詞として、住宅ローンサポート保険とも言われています。

 

収入減少のリスク

病院に入院した時については、健康保険や高額療養費がありますし、保険会社の医療保険に加入していればそこから入院給付金等が受取れますので、自己負担分についてはそれほど問題はありません。
ただし、これらは自宅療養ともなると、給付金が受け取れるわけではありませんから収入が減少した場合の手助けとはなりません。

 

もちろんそのようなときは、健康保険加入者ならば傷病手当金があります。ですが、受取ることができるのは標準報酬月額の平均額の2/3相当の額ですから、約3分の1ほどは減ってしまいます。しかも受取れるのは最長で1年6カ月となっています。

 

また自営業などの国民健康保険の方は、傷病手当金はありません。それゆえに住宅ローンの支払いがある方や自営業の方はこのへんのリスクも考えておく必要はあります。

 

そこでそのリスクを補うものとして「所得補償保険」となりますが、どこの所得補償保険にしても免責期間はありましすし、就業不能状態の支払いには条件がありますから、そう簡単には受取ることができません。このへんも検討して加入することをおすすめします。

 

※ 各社とも、うつ病などの精神障害や妊娠・出産などが原因の場合は、支払い対象になりません。

 

アフラックの給与サポート保険と他の所得補償保険はどこが違う?

アフラックの「病気やけがで働けなくなったときの給与サポート保険」と東京海上日動などの損保会社で販売している「所得補償保険」やライフネット生命、日立キャピタルの所得補償保険の違いを比較してみました。

 

アフラックの特長

アフラックは、短期回復給付金、長期療養支援給付金と保険金をそれぞれ設定できる点に特長があります。たとえば、短期回復給付金は5万円、長期は15万円という具合です。あるいは、短期は15万円、長期は30万円などです。

 

また、契約者への付加サービスとして「メンタルヘルスに関する相談」や「障害年金や傷病手当金などに関する相談」、「病気やケガの治療に関する相談」などがサポートされています。

 

給付金の受取り事例
アフラックの保険金支払い事例

 

短期回復支援給付金とは

初回から6回分までは、病気やケガを原因として就労困難な状態が60日継続していると医師によって診断されたときに支払われます。6回分までは就職困難状態の継続の有無にかかわらず生存していれば支払われます。

 

たとえば、短期回復支援給付金10万円に加入しているとすれば、就職困難状態の継続に関係なく「10万円×6回=60万円」は受取ることができます。

 

7回目から17回目までは、支払基準日に就労困難な状態が継続していると医師によって診断されたときに支払われます。

 

長期療養支援給付金とは

18回目以降は、長期療養支援給付金の支払いとなり、支払基準日に就労困難な状態が継続していると医師によって診断されたときに支払われます。

 

無事故給付金

60歳、あるいは65歳の保険期間満了まで長期療養支援給付金の受け取りがない場合は長期療養支援給付金と同額の無事故給付金が支払われます。

 

つまり、保険期間中に短期回復給付金を受取っても長期療養支援給付金の受け取りがなければ、この無事故給付金は受取れることになります。

 

保険金受取り期間の違い

免責期間を超えて就業不能状態ならば保険金が支払われますが、保険金をどのくらいの期間支払ってくれるのかは各社の商品で違ってきます。

 

東京海上日動が販売している所得補償保険は、保険金受取期間(てんぽ期間)1年や2年となっています。

 

それに比べ、アフラックは、就職困難状態が続く限り保険期間満了(60歳または65歳のいずれか)まで受取ることができます。

 

ライフネット生命の就業不能保険や日立キャピタルが販売している長期就業不能所得補償保険(商品名:リビングエール・)もアフラックと同様のタイプです。

 

※ ライフネット生命では、契約年齢によりますが、保険期間を55歳、60歳、65歳、70歳から選択できます。ライフネット生命の就業不能保険の詳細はこちらのページをご覧ください。

 

保険期間と保険料設定の違い

保険期間の違いもあります。
東京海上日動などの損保会社の所得補償保険の保険期間は、1年です。自動更新にはなっていますが、満了日以降は、更新日現在の年齢や保険料率の変更等により保険料が変わる場合があります。また5歳きざみの年齢区分があるので、その年齢区分に入ると保険料は変更になります。

 

※ 日立キャピタルが販売しているリビングエール長期就業不能所得補償保険は保険期間3年、または5年が選択できます。3年または5年ごとに保険料が変わります。

 

アフラックやライフネット生命の所得補償保険は契約時の保険料のまま保険期間満了まで変わりません。
上記の項目も含め、その他の違いを表にまとめてみました。

アフラックの給与サポート保険とライフネット生命等の所得補償保険を比較

比較項目

各保険会社の所得補償保険

 

アフラック

東京海上日動

ライフネット生命

日立キャピタル

支払対象外期間(免責期間) 60日 7日、30日など 60日、または180日 60日、90日、120日、180日、365日から選択
保険期間 60歳または65歳 1年 55歳、60歳、65歳、70歳から選択※1 60歳
保険金額の設定 1万円単位で設定できる。短期給付金は、20万円が限度。長期療養支援給付金は、自営業など国民健康の方は20万円が限度。被用者保険(協会けんぽや健康保険組合など)の方は40万円が限度。※年収によって上限額は違ってきます。 日額で設定(年間所得額÷12×対月間所得割合÷30) 月額10万円~50万円で5万円単位(収入により上限額は決まっている) 月額10万円~50万円で5万円単位(収入により上限額は決まっている)
契約年齢 18歳~60歳 15歳~64歳 20歳~60歳 20歳~54歳
在宅療養・保険金支払いの定義

医師による治療が継続しており、かつ日本国内にある自宅など(障害者支援施設などを含みます)で、医師の管理下において計画的な治療に専念し、自宅などからの外出が困難な状態。
医師により病院への通院など必要最低限の外出を除き、活動範囲が自宅に制限されている場合。

保険の対象となる方の職業にかかわる業務に終日従事できない状態を就業不能といいます。半日でも従事できる場合は終日従事できないとは言いません。家庭の主婦は、家事等が終日できない状態を就業不能といいます。 病気やケガにより、日本の医師の指示を受けて日本国内の自宅等で在宅療養している状態のことをいいます。簡単な炊事や衣類程度の洗濯など医療機関への通院などは除きます。梱包や検品などの軽労働または事務などの座業ができる場合は、在宅療養をしているとはいいません。 病気またはケガにより全く働けなくなった場合に保険金をお支払いします。

※1: 46歳以上は、選択できない保険期間もあります。
※2: 東京海上日動の所得補償保険は、超保険(生損保一体型保険)ですので、その他に火災保険や自動車保険など複数の保険も同時に申し込む必要があります。

 

上記の比較表に掲載されてないチューリッヒ生命の就業不能保険については、こちらのページをご覧ください。
あんしん生命の新商品、「家計保障定期保険NEO 就業不能プラン」については、こちらのページをご覧ください。

 

 

所得補償の保険料比較

保険料の比較といっても補償内容が各商品で異なっているため、各商品ごとの保険料を掲載しています。

アフラックの給与サポート保険の保険料

例:保険料月払い、60歳満期、短期回復給付支援金5万円、長期療養支援給付金15万円
※ 契約時の保険料は保険期間満了まで変わりません。

年齢

男性

女性

20歳

2,590円

2,585円

30歳

3,235円

3,190円

40歳

3,670円

3,530円

50歳

4,425円

4,080円

 

例:保険料月払い、60歳満期、短期回復給付支援金10万円、長期療養支援給付金10万円
※ 契約時の保険料は保険期間満了まで変わりません。

年齢

男性

女性

20歳

2,420円

2,470円

30歳

3,010円

3,040円

40歳

3,560円

3,500円

50歳

4,510円

4,180円

 

※ 短期回復給付支援金20万円、長期療養支援給付金20万円とした場合は、上記保険料を2倍したものが保険料になります。

 

東京海上日動の所得補償保険(トータルアシストからだの保険)・保険料

例:保険金日額7,000円、てんぽ日数(支払い日数)365日、免責日数7日
※ 年齢区分5年ごとに保険料は上がっていきます。
※自営業等で商工会議所会員の方は、全国商工会議所の休業補償プランに加入されたほうが引受損害保険会社(5社)の中から選択でき、一般の方が加入される保険料よりも約50%~60%の団体割引で加入することができます。詳しくはこちらの商工会議所のホームページへ

 

年齢

月額保険料

一時払い保険料

15~19歳

1,200円

13,720円

20~24歳

1,760円

20,110円

25~29歳

1,990円

22,700円

30~34歳

2,440円

27,930円

35~39歳

3,050円

34,850円

40~44歳

3,810円

43,530円

45~49歳

4,550円

51,950円

50~54歳

5,270円

60,260円

55~59歳

5,640円

64,470円

60~64歳

5,930円

67,810円

 

ライフネット生命の就業不能保険・保険料

例:20歳から50歳までは保険期間60歳。55歳・60歳は保険期間70歳。
就業不能保険金月額15万円、高度障害保険金150万円、免責期間60日、標準タイプA型※
※ 契約時の保険料は保険期間満了まで変わりません。
※ 標準タイプA型の他、ハーフタイプ(B型)もあります。こちらは、就業不能状態に該当してから540日以内に支払われる就業不能給付金が半額になります。その分保険料もA型よりも安くなります。

 

年齢

男性

女性

20歳

2,670円

3,053円

25歳

3,077円

3,411円

30歳

3,485円

3,578円

35歳

3,879円

3,674円

40歳

4,337円

3,783円

45歳

4,856円

3,939円

50歳

5,453円

4,182円

55歳

6,714円

4,763円

60歳

7,455円

5,304円

 

日立キャピタルの所得補償保険の保険料

例)保険料月払い、所得補償金額月額15万円、保険期間:5年 支払対象外期間(免責期間):60日、保険期間:60歳の場合
日立キャピタルの所得補償保険は契約年齢から5年ごとに保険料は上がっていきます。
例:30歳契約の場合
30歳契約時 3165円→ 次の5年間3,780円 → 次の5年間5,100円 → 次の5年間6,510円 → 次の5年間6,840円

年齢

保険料

 20歳

2,880円

 25歳

3,105円

 30歳

3,165円

 35歳

3,780円

 40歳

5,100円

 45歳

6,510円

 50歳

 6,840円

 53歳

5,880円

所得補償保険から受け取った保険金の税金について

アフラックの給与サポート保険やライフネットの就業不能保険などの所得補償保険は、被保険者が病気やけがにより働けなかった期間に対して補てんされる保険です。

 

このような体の傷害に基因して支払を受ける保険金については非課税とされています。

 

以上です。

 

 

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