国営時代は、簡易生命保険という名称でしたが、現在は民営化され「かんぽ生命」という名称になっています。そのかんぽ生命が販売している養老保険についてわかりやすく解説しています。

 

2016/09/20 16:05:20

かんぽの養老保険とは

養老保険は、かんぽ生命だけでなく、他の民間生命保険会社でも極一般的に販売され、貯蓄と保障を兼ね満期保険金を受取れる点に特長があります。
養老保険説明図

 

詳しい解説については、養老保険とは?特長やメリット・デメリットについて教えてくださいをご覧ください。

 

かんぽ養老保険には3つのタイプがあります

以下のように3種類が販売されています。

 

  1. 普通養老保険:商品名は新フリープラン
  2. 特別養老保険:商品名は新フリープラン(2倍保障型、5倍保障型、10倍保障型の3種類)
  3. 特定養老保険:新一病壮健プラン

 

ひとつずつ解説する前にかんぽ生命は国営だったため、他の民間生命とは違って独特の特長がありますのでご紹介します。

 

かんぽ生命の特長

1、かんぽ生命は、加入できる死亡保険金には限度額があります。はじめて加入される場合は、被保険者が15歳までは700万円。

 

満16歳以上のとき 1,000万円(特定養老保険の保険金額は500万円、被保険者が満55歳以上の場合の特別養老保険の保険金額は、ご加入されている普通定期保険と合わせて800万円)までです。加入から4年経過すると満20歳以上満55歳以下は累計で2,000万円まで加入できます。

 

2、健康診査はなく、告知のみで申込できます。
3、職業による制限がありません。
4、養老保険に入院保障を付けることができますが、契約保険金によって限度額が決まります。

 

それでは、普通養老保険(新フリープラン)から解説します。

 

普通養老保険(新フリープラン)

こちらには、2つのタイプがあります。

 

ひとつは、払込期間と保険期間が同一の種類。

もうひとつは、払込期間は10年で保険期間は15年という短期払込型のものになります。

 

この2つの違いは下記の表を使って解説しています。下記表は、死亡(満期)保険金は100万円で特約なしの保険料です。

 

年齢

15年満期(月額保険料)

10年払込15年満期(月額保険料)

30歳女性

5,810円

8,420円

40歳女性

5,830円

8,450円

 

上記表の説明です。30歳女性が15年満期保険に加入した場合は月額5,810円です。一方の短期払い(10年払い15年満期)は8,420円になるので短期型のほうが月々の保険料は高くなります。しかし、総支払額では、違いがでてきます。

 

  • 15年満期の総支払保険料:5,810円×15年=1,045,800円
  • 短期払いの総支払保険料:8,420円×10年=1,010,400円

 

ご覧のように、短期払いのほうが35,400円少なくなります。他の保険にも言えることですが、短期払いの保険は、通常のものよりもお得になります。

 

普通養老保険(新フリープラン)は、死亡保険金と満期保険金が同額です。
たとえば、死亡保障が300万円ならば、満期保険金も300万円です。死亡が500万円ならば、満期保険金も500万円になります。

 

もしも、満期保険金が300万円で死亡保険金をもっと大きくしたという場合は特別養老保険を選択することになります。2倍型なら満期保険金が300万円で死亡保険金が600万円になります。

 

5倍型は、満期保険金が300万円なら1500万円と言いたいところですが、かんぽ生命は死亡保険金1,000万円までですので、このようにはできません。そのため5倍の満期保険金は最高が200万円になります。同様に10倍型の満期保険金は最高が100万円になります。

 

契約から4年経過するなど一定の条件のもとで満20歳以上~55歳以下までの方なら合計で累計で2,000万円までは加入できます。

 

加入できる年齢

普通養老保険(新フリープラン)の加入年齢は0才から80才まで、短期型は0歳から75歳までになります。最短の保険期間は10年、最長は50年となっていますが、加入年齢で違ってきます。

 

たとえば、15歳の方は、25歳から65歳までの間で1歳きざみで保険期間を設定できますが、30才のは、40才から70才まで、80歳の方については、90歳満期のみというようになっています。

付加できる特約

特約は3種類あります。

 

  1. 災害特約
  2. 無配当傷害入院特約
  3. 無配当疾病傷害入院特約

 

保険料

久しく低金利状態が続き、10年国債も1%を割るという流れできていますので、改定されるたびに保険料は高くなっています。マイナス金利の影響でまた高くなりました。消去してある保険料は平成27年8月1日時点の保険料です。右側は平成28年9月時点の保険料です。※さらに平成29年4月1日から保険料が改正になります。

 

10年満期、満期保険金100万円

特約は付加していません。口座払込の場合の月額保険料です。

年齢

月払い保険料(男性)

月払い保険料(女性)

0歳

8,540円 8,760円 8,540円 8,760円

15歳

8,550円 8,770円 8,540円 8,760円

25歳

8,560円 8,780円 8,540円 8,770円

35歳

8,580円 8,790円 8,560円 8,780円

45歳

8,660円 8,840円 8,590円 8,810円

55歳

8,850円 8,960円 8,660円 8,850円

65歳

9,380円 9,320円 8,850円 8,980円

75歳

11,340円 10,690円 9,920円 9,590円

80歳

13,650円 12,830円 11,460円 10,710円

保険料計算をしてみますと、0歳であっても10年間で支払う総支払い保険料は1,051,200円の支払いとなるため、満期金である100万円を超えてしまいます。この傾向はかんぽ生命に限らずどこでもほぼ同じです。

特別養老保険について

特別養老保険と普通養老保険(新フリープラン)との一番の違いは、満期保険金と死亡保障の関係にあります。

 

普通養老保険(新フリープラン)は満期保険金と死亡保険金は同額になりますが、特別養老保険は、2倍、5倍、10倍の3種類がありますので、それぞれに選択することが可能です。

 

たとえば、2倍型であれば、満期保険金を300万円にした場合、死亡保険金は600万円になります。
5倍型であれば満期金の5倍で1500万円となるところですが、かんぽ生命は加入限度額が1000万円となっているため、5倍型では満期金は200万円が限度になります。10倍型では、満期金は100万円が限度になります。

 

このような点が普通養老保険(新フリープラン)との大きな違いですが、その他に以下のような違いもあります。

 

加入年齢や保険期間の違い

普通養老保険(新フリープラン)は、0才から80才まで契約でき、最短の保険期間は10年、最長は50年となっていますが、特別養老保険においては、加入年齢は、15歳から70歳まで、保険期間は、10年から最長20年の間で、1歳きざみの設定となります。

 

普通養老保険(新フリープラン)と特別養老保険はどのように使い分けるの?

普通養老保険と特別養老保険の違いは、満期と死亡保険金の関係にありますが、それに伴い保険料も大きく違ってきます。

 

例えば、死亡保険金1000万円が必要だとします。この場合、普通養老保険では、満期保険金も1000万円にする必要があります。

 

ところが特別養老保険2倍型では、満期保険金500万円で死亡保険金が1000万円になりますので、保険料はだいぶ抑えることが可能となります。以下の保険料比較をご覧ください。

 

加入年齢:30歳男性、死亡保険金:1000万円
平成28年9月1日時点の保険料です。(平成29年4月から変更になる予定です。)

保険期間

普通養老保険

2倍型特別養老保険

5倍型特別養老保険

10倍型特別養老保険

10年

87,800円

45,000円

19,400円

10,900円

15年

58,200円

30,200円

13,400円

7,900円

20年

43,400円

22,900円

10,600円

6,600円

満期保険金よりも、なるべく安い保険料で死亡保険金1000万円を優先させるならば、10倍型が選択肢にあげられます。
しかしながら、計算するとわかりますが、10倍型は掛け捨て部分が多くなります。
10倍型の20年満期では、累計の支払保険料は、6,600円✕20年=1,584,000円です。これに対して受取れる満期保険金は100万円ですので、約58万円ほどマイナスになります。

 

ところが、20年満期の2倍型では、22,900円✕20年=5,496,000。満期金は500万円なので496,000円少なくなります。
普通養老保険においては、総額保険料は、43,400✕20年=10,416,000円です。満期保険金は1000万円なので416,000円ほど少なくなります。特別養老保険に比べ、毎月の保険料負担はだいぶ多くなります。

 

ということで、毎月の保険料負担と掛け捨て部分をどこまで許容できるかで、選択肢が決まってきます。
以上のような違いがあるということを理解した上で、保険種類を選択する必要があります。

 

付加できる特約

特約は3種類あります。

  1. 災害特約
  2. 無配当傷害入院特約
  3. 無配当疾病傷害入院特約

特定養老保険とは

特定養老保険とは、新一病壮健プランという商品名で販売されています。
特長としては、糖尿病や高血圧症、がんなどの慢性疾患の治療を受けている方でも加入できる保険です。

主な特長
  • 満期保険金と死亡保険金は同額
  • 保険金は100万円から500万円が上限
  • 保険期間は10年のみ
  • 加入年齢は40歳から65歳まで
  • 特約は、傷害入院特約は付加できるが、疾病入院特約は付加することができない

 

特定養老保険の保険料

保険金500万円、特約はなし。平成28年9月1日時点の保険料です。

加入年齢

男性

女性

40歳

44,900円

44,500円

50歳

46,450円

45,200円

60歳

49,950円

46,300円

 

 

養老保険の入院保障

養老保険にも特約で入院保障を付加することができます。

 

特約には3つあります。

  1. 災害特約
  2. 無配当傷害入院特約
  3. 無配当疾病傷害入院特約

 

ケガも病気も対象対象にするならば「無配当疾病傷害入院特約」になります。
入院したその日から120日間保障されます。入院期間の日数が120日となったときには長期入院保障があるので、特約保険金の3%に相当する金額を受取ることができます。例えば、1,000万円の特約なら30万円になります。

 

入院保障の限度

加入できる1日あたりの入院保障額は保険金の「1,000分の1.5」までとなります。
つまり、100万円の保険金ならば1日あたり1,500円までとなります。最高額は1,000万円ですので15,000円です。

 

手術給付金

手術給付金については、手術の種類に応じて、1日当たりの入院保険金額の5倍、10倍、20倍または40倍に相当する金額となっています。

 

他の保険会社の医療保険などは入院をともなわない手術を受けた場合でも手術給付金が支払われますが、かんぽでは支払われません。また、手術をされても該当しないものがあります。

 

かんぽ生命の入院保障や請求についての詳細はこちらのページをご覧ください。

 

養老保険の配当金

毎年の決算に基づき利益が出たときには配当金があります。なお契約者配当金は契約ごとに違っています。受取れるのは、満期時や死亡、解約などの保険金を受取るときになります。

 

検索してもなかなか見つからないので参考までに事例を貼っておきます。

  • 満期年月:平成 28 年 9 月
  • 加入年 齢:4 0 歳
  • 満期保険金額:100万円
  • 付加する特約:災害特約及び疾病傷害入院特約

 

かんぽ生命の契約者配当金

 

養老保険のデメリット

かんぽ生命に限ったことではありませんが、養老保険にもデメリットがあります。

 

解約したときのリスク

中途解約したときには、1年以内では還付金はあっても極わずかになります。また長期間支払っていても、保険料の全額は戻ってきません。

 

金利が高騰したときのリスク

金利が高騰した場合でも養老保険は固定金利商品のため利率があがるわけではありません。そのため将来満期で受取るときに目減りをしてしまうこともあります。

 

倒産したときのリスク

かんぽ生命が倒産してしまったときに、満期保険金が減額される可能性もあります。予定利率の高い契約ほど減額されます。保険会社の倒産についてはこちらの保険会社が倒産したら保障はどうなる。過去の事例から学ぶをご覧ください。

 

次は、養老保険の貸付についてです。

 

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