会社をやめて、失業保険を受取るとなったとき。
頭に思い浮かぶのが、「家族の扶養に入れるのか」ということではないでしょうか。

 

でも扶養といっても、「税金上の扶養」と「健康保険上の扶養」とでは加入要件に違いがあります。

 

ですので、
一概に失業保険を受取ったからといってその違いによってどちらも扶養に入れるとはいいきれません。

 

それではどのような点が違っているのかご覧ください。

 

2018/07/05 12:11:05

失業保険をもらうと扶養からはずれるの?

結論からいいますと、
パート勤務やアルバイトをされていた方が失業保険をもらっても、
パート等での年間収入が103万円以下であれば、税法上の扶養(控除対象配偶者)からは外れません。

 

失業保険は所得とはみなされないからです。

 

世帯主の年収が1,120万円以下であれば配偶者の年収が「103万円超150万円以下」なら配偶者特別控除38万円が利用できます。(2018年1月以降)

 

健康保険の扶養(被扶養者)は、税法上とは違い、失業保険の手当を含めますから扶養(被扶養者)から外れることはあります。

 

要するに、このふたつは、次のように基準が違っていますので、別個に考える必要があります。

  • 税法の扶養(控除対象配偶者)の収入の範囲内とは、給与所得者の年間収入(1月1日から12月31日)は103万円以下です。別途、世帯主の年収によりますが配偶者特別控除はあります
  • 健康保険の被扶養者の範囲は年収130万円未満となっていますが、過去の収入ではなく、被扶養者に該当する時点および認定された日以降、つまり先の年間の見込み収入額で判断されます。

 

税法上の扶養と健康保険上の扶養には違いがあることをまずは認識しておいてください。

 

税金上の扶養とはどういうものなのか

税金上で扶養となるには、所得の要件としては年間の合計所得金額が38万円以下である必要があります。

 

この所得金額とは年収のことではありません。

給与所得者の方の年収にすれば103万円になります。
年収103万円というのはパートなどの給与所得者のことを指しています。

 

もしもインターネットなどのアフィリエイトやセドリなどで稼いでいる、あるいは家庭教師をして収入を得ているなどの場合には、給与所得ではなく事業所得になります。

 

事業所得ですと、収入金額-必要経費で計算します。それが38万円以下であれば扶養の範囲内になりますし、超えれば扶養とはなりません。

 

また、配偶者が65歳未満で年収が公的年金のみの場合は108万円以下になりますし、配偶者が65歳以上で収入が公的年金のみの場合は158万円以下になります。

 

以上のように、給与所得と事業所得、公的年金のみでは扶養の要件のひとつとなっている「年間所得金額が38万円以下」についての計算が違ってくる点にご注意ください。

 

例として、
奥さんがパートで「夫の扶養の範囲内(控除対象配偶者)で働きたい」となると、103万円以内に納まるようにすれば扶養の範囲内になるわけです。

 

103万円を超えると夫の扶養からはずれるので、夫は配偶者控除38万円が使えなくなります。
それでも、103万円を超えるとまったく控除が使えなくなるものでもありません。

 

103万円を超えても配偶者特別控除がある

103万円を超えてもいきなり控除額が0円になってしまうわけではありません。配偶者特別控除があるからです。

 

配偶者特別控除にも限度があります。
世帯主の年収によって控除額は違いますが、201万6千円未満なら多少なりとも配偶者特別控除はあります。

 

こちらの詳細は、

をご覧ください。

 

失業保険と扶養の関係のおさらいと事例

夫婦共働きの家庭で奥さんが離職し、失業状態となったケースで考えてみます。

 

この場合、奥さんが退職する前までの給与収入が103万円以下であれば、その後に失業保険をもらった年も失業保険は非課税で所得とみなされませんので税金の扶養を受けることができます。

 

ただし、退職前にすでに103万円を超えていたならば、夫は税金上の扶養とはできず、配偶者控除38万円を受けることはできません。

 

「このような場合は・・・」
たとえば、3月に会社を自己都合で退職して、その後失業状態となりました。ですが、自己都合のため失業保険をもらえるまでには給付制限期間が3ヵ月あるので、アルバイトをしました。

 

こういった場合、
1月から3月までの収入とアルバイトの収入の合計額によって配偶者控除や配偶者特別控除が利用できるか判断します。

 

控除対象配偶者の手続きとしては、夫が年末調整のときに配布される「扶養控除等(異動)申告書」の扶養対象配偶者の欄に記入し会社に提出すればOKです。

 

 

次は、失業保険と健康保険上の扶養についてです。

健康保険の扶養は失業保険の日額3611円が関係してきます

健康保険では、配偶者や子どもなどの家族は、「被扶養者」といいます。健康保険でも被扶養者に認定されるための要件に収入があります。

 

ここでいう収入は過去にもらっていたものではなく、被扶養者に該当する時点及び認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいいます。

 

 

※ 75歳以上の方は後期高齢者医療制度の被保険者となりますので、被扶養者にはなれません。

 

 

被扶養者と認定されるための収入要件

以下は、健康保険(協会けんぽ)の要件です。収入要件はどの健康保険制度も同じですが、その他の細かい点で異なっていますのでご注意ください。

 

外部リンク:協会けんぽの被扶養者の要件

 

年間収入130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は、年間収入※180万円未満)であり、尚且つ

  • 同居の場合 収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満(*)
  • 別居の場合 収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満

となっています。

 

※ 被扶養者と認定される収入要件は、年間収入130万円未満となっていますが、60歳未満の方は、2016年10月以降、大手企業などに勤務する一部の方は年間106万円未満へと変更になりました。

 

(*)収入が扶養者の収入の半分以上であっても、扶養者の年間収入を上回らなければ、世帯の生計の状況を総合的に勘案して、扶養者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認めるときは被扶養者となることがあります。

 

上記の年収を月額収入として計算すると給与所得等の収入の場合には、月額108,333円以下になります。

 

また失業保険からもらう場合には、日額で判断します。計算は130万円÷360(30日×12ケ月)=3,611円。よって基本手当日額3,611円以下の方が、被扶養者として健康保険に入ることができます。3,612円では扶養から外れます。

 

※基本手当とは、失業手当のことです。

 

これらを上回る場合には健康保険の被扶養者にはなれないため、健康保険の任意継続か国民健康などに加入することになります。

 

健康保険の任意継続か国民健康のどちらを選択したらいいのかについてはこちらの退職後の健康保険の切り替えはどうすればいいの?をご覧ください。

 

失業保険と被扶養者の関係

失業保険を受取るにあたり、自己都合で離職した場合。
待機期間7日のほか、給付制限期間が3ヶ月間ありますので、
この間は収入がない(アルバイトをしても月額108,333円以下の場合)ので基本手当日額には関係なく健康保険の被扶養者になれます。

 

ただし、自己都合での離職で基本手当日額3,612円以上の方は、失業保険を受給しだした場合にはその日から被扶養者から外れることになりますから健康保険被扶養者異動届けの提出が必要になります。

 

また、会社都合の離職により基本手当日額3,612円以上の方は、
はじめから健康保険被扶養者にはなれません。

 

 

国民健康保険には、会社都合等により失業・離職した場合は、申請により保険料の全額もしくは一部が免除となる制度があります。

 

こちらの関連は、健康保険と国民健康保険の違いについて知っておくべき9個のポイントをご覧ください。

 

 

※ 健康保険組合によっては失業保険受給制限期間中でも日額3,612円以上に該当する方は被扶養者になれないところがありますので、各自で問合せをしてください。

 

失業保険の基本手当日額3,611円とは離職前にいくらの給料をいうのか

基本手当日額3,611円といっても、どんな給料をもらっていた人なのか想像がつきません。
そこで、計算をしてみました。

 

失業保険からもらえる基本手当日額というのは、まずは下記の計算式から賃金日額を算出し、さらにこちらにある基本手当日額の計算式にあてはめて算出します。

 

賃金日額 = (被保険者期間の最後の6ヶ月間の賃金) ÷ 180

 

これらから計算すると、離職前6か月の給料が81万円(月額13.5万円、通勤手当や住宅手当など含む、ボーナスは除く)だった方は、

 

81万円÷180=4,500円の賃金日額になります。
この賃金日額ですと、基本手当日額は、最高の80%給付になるので3,600円になります。

 

ですから、離職前6カ月間の賃金が81万円以下だった方は、失業保険をもらいだしても健康保険の被扶養者にはなれます。

 

離職前6か月の給料が82万円以上の方は、日額3,644円になるので支給が開始されれば健康保険の被扶養者の資格を失います。

 

 

まとめ

税法上の扶養と健康保険の扶養とは、以下のように収入要件が異なっています。
そのため、失業保険を受取りによって一概に扶養の可否を決定することはできません。

 

  • 税法の扶養(控除対象配偶者)の収入の範囲内とは、給与所得者の年間収入(1月1日から12月31日)は103万円以下です。別途、世帯主の年収によりますが配偶者特別控除はあります
  • 健康保険の被扶養者の範囲は年収130万円未満となっていますが、過去の収入ではなく、被扶養者に該当する時点および認定された日以降、つまり先の年間の見込み収入額で判断されます。

 

健康保険の被扶養者になるには、年収を月額収入として計算すると給与所得等の収入の場合には、月額108,333円以下です。

 

失業保険を受取る場合には、日額で判断します。
計算式は130万円÷360(30日×12ケ月)=3,611円です。

 

よって基本手当日額3,611円以下の方は、被扶養者として健康保険に入ることができます。
3,612円では扶養から外れます。

 

以上、「失業保険と扶養の関係はどうなっているの?」でした。

 

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