ハローワークから再就職手当を受取って再就職したはいいけど前職よりも給料がだいぶ減ってしまった。このような人は条件を満たせば就業促進定着手当が受取れます。
それでは、どんな条件を満たせば受取ることができるのか、いくら受取れるのか、どのような計算方法で行うのか、申請方法と手順についても解説します。
2018/12/22 15:01:22
就業促進手当とは何ですか?
就業促進手当とは、下の図に出ているように4つの手当の総称を言います。
各手当について簡単に説明します。
再就職手当を受給された人で、前職の給料よりも再就職先の給料が少ない場合に支給される手当。
1年以上の雇用が見込まれる職業についた場合で所定給付日数を一定日数以上残さないと受取ることができない手当。再就職手当の詳細はこちら
1日4時間以上、週に20時間以上の労働をしたときに支給される手当。ですが受取るとその分の失業手当の受給日数は減ります。就業手当の詳細はこちら
障害のある方など就職が困難な方が安定した職業に就いた場合に支給される手当です。常用就職支度手当の詳細はこちら
今回はこの中の就業促進定着手当について取上げています。
就業促進定着手当とは
就業促進定着手当とは、再就職手当を受給された方で、前職の給料よりも再就職先の給料が少ない場合は「就業促進定着手当」が支給されます。
具体的には、再就職先での6か月の賃金が、離職前の賃金よりも低い場合に基本手当の支給残日数の 40%(再就職手当の給付率が 70%の場合は、30%)を上限として、低下した賃金の6か月分が支給されます。
支給額の計算方法については下記をご覧ください。
就職促進定着手当の支給対象者
就職促進定着手当の支給対象者については次のようになっています。
- 再就職手当の支給を受けていること
- 再就職の日から、同じ事業主に6か月以上、雇用保険の被保険者として雇用されていること。(起業により再就職手当を受給した場合には、「就業促進定着手当」は受けられません)
- 所定の算出方法による再就職後6か月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回ること
就業促進定着手当とは
就業促進定着手当とは、再就職手当を受給された方で、前職の給料よりも再就職先の給料が少ない場合は「就業促進定着手当」が支給されます。
具体的には、再就職先での6か月の賃金が、離職前の賃金よりも低い場合に基本手当の支給残日数の 40%(再就職手当の給付率が 70%の場合は、30%)を上限として、低下した賃金の6か月分が支給されます。
支給額の計算方法については下記をご覧ください。
就業促進定着手当の支給対象者
就業促進定着手当の支給対象者については次のようになっています。
- 再就職手当の支給を受けていること
- 再就職の日から、同じ事業主に6か月以上、雇用保険の被保険者として雇用されていること。(起業により再就職手当を受給した場合には、「就業促進定着手当」は受けられません)
- 所定の算出方法による再就職後6か月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回ること
平成30年12月時点での厚生労働省作成のリーフレットはこちら
就業促進定着手当の計算式
就業促進定着の計算方法について見てみましょう。
(離職前の賃金日額※1-再就職後6か月間の賃金の1日分の額※2)×再就職後6か月間の賃金の支払基礎となった日数※3
※1 離職される直前の6か月間に支払われた賃金の合計金額を180で割った金額
以下の部分。
ただし、離職前の賃金日額には上限・下限額あります。
上限額(毎年8月1日改定されます)
- 離職時の年齢が30歳未満の方 13,500円
- 離職時の年齢が30歳以上45歳未満の方 14,990円
- 離職時の年齢が45歳以上60歳未満の方 16,500円
- 離職時の年齢が60歳以上65歳未満の方 15,740円
下限額
全年齢共通 2,480円
※2 ★月給の場合
再就職後6か月間の賃金の合計額 ÷ 180
「★日給・時給の場合」
次の(a)(b)のうち、どちらか金額の高い方
(a) 再就職後6か月間の賃金※1の合計額 ÷ 180
(b)(再就職後6か月間の賃金※1の合計額 ÷ 賃金支払いの基礎となった日数)× 70%
※1 就職日が賃金締切日の翌日ではない場合、就職後最初の賃金締日後の6か月分の賃金の合計(税金や雇用保険料などが控除される前の総支給額)。
通勤手当や皆勤手当などのほか、事務手続きのために期間ごとにまとめて支払う通勤手当などを含み
ます。ただし、夏冬の賞与など3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は含みません。
※3 原則、月給制の場合は暦日数(30日、31日など)、日給月給の場合はその基礎となる日数、日給制・時給制の場合は労働の日数
《計算事例》
前職で月給25万円だった28歳のAさんが、7月1日に再就職して月給20万円になった場合。基本手当の支給残日数に相当する日数50日とします。
まず、25万円の給料から賃金日額を算出します。賃金日額は、過去6ヶ月間に受取った賃金総額を180で割った金額です。(通勤手当、営業手当や住居手当等は含めます。ボーナスや退職金等は含めません)
25万円×6ヶ月÷180=8333.3333円
端数処理については、規程では次のようになっています。
「賃金に端数が生じた場合の処理方法」
○各項の計算は、小数点以下第 3 位を四捨五入し、小数点以下第 2 位まで算出する。
○計算の最後の段階において、小数点以下を切捨てて整数とする。
よって、小数点以下を切捨てして8,333円が前職の賃金日額。
そして、再就職後6か月間の賃金は、200,000円×6ヶ月÷180=6666.666円
小数点以下を切捨てて整数して6,666円。
最後の「再就職後6か月間の賃金の支払基礎となった日数」は、7月1日から12月31日までなので184日です。以上を計算式にあてはめます。
8,333円-6,666円×184日=306,728円
このようにAさんは就業促進定着手当を30万6千円ほど受取れる?計算にはなります。
ところがです・・・・。
残念ながらこの金額ではありません。上限額が決められているからです。
就業促進定着手当の上限額
就業促進定着手当上限額=基本手当日額※1×基本手当の支給残日数に相当する日数×40%(再就職手当が70%支給の場合は30%)
※1基本手当日額の上限額(再就職手当と同額です)
- 離職時の年齢が60歳未満の方 6,105円
- 離職時の年齢が60歳以上65歳未満の方 4,941円
(上記の額は平成30年8月1日から平成31年7月31日までです。基本手当の上限額は、毎年8月1日に改訂されます)
これらから、Aさんの上限額は、6,105円×50日×40%=122,100円になります。
よってAさんが受取れる就業促進定着手当は、306,000円と122,100円比較して少ないほうの122,100円になります。
失業手当を受取るのと再就職手当及び業促進定着手当の比較をしてみました
基本手当(失業給付)の給付日数を3分の1以上残して再就職をした人は、再就職手当から60%支給(3分の2以上残がある人は70%支給)、就業促進定着手当から40%(30%)支給され、あわせて100%受取ることができます。
再就職手当+就業促進定着手当=100%の数字を見れば損はないとみることもできます。でも実際にはそうではありません。
いずれの年齢も1日当たりの基本手当(失業給付)の上限額のほうが就業促進定着手当の上限額6,105円よりも多くなっているからです。
基本手当日額の上限額(平成30年8月1日現在)
- 30歳未満は6,750円
- 30歳以上45歳未満7,495円
- 45歳以上60歳未満8,250円
- 60歳以上65歳未満7,083円
このように失業給付の上限額のほうが多くなっていますから失業給付を受取ったほうがお得ですが、条件を満たせば再就職手当と就業促進定着手当が受取れるのでまるまる損するものでもありません。
それでも60歳以上65歳未満の人は、7,083円のところ4,941円で計算されるのでだいぶ少なくなります。それゆえ再就職手当と就業促進定着手当の金額よりも失業給付を受取るほうが断然多くなります。
このように離職時の年齢が60歳未満と60歳以上では、その後に再就職をしたときに手当に差がでることは知っておいたほうがよろしいかと思います。
就業促進定着手当が不支給になる・もらないケース
就業促進定着手当は、上記記載の支給対象者の範囲でなければ不支給となりますが、どんなケースだと不支給となるのか取りあげてみました。
- 再就職手当を受取れない場合(所定給付日数を3分の1以上残さずに再就職したなど)
- 再就職をした日から8ヵ月を過ぎての申請
- 再就職先で雇用保険の被保険者になっていない
- 離職前の賃金日額を下回っていない
- 再就職先で6カ月以上雇用されなかった
- 基本給は、離職前の賃金日額を下回っているが、就業促進定着手当は総支給額で計算するので通勤手当や皆勤手当てなど入れると下回わっていない
就業促進定着手当の申請期間と申請先
就業促進定着手当はいつでも申請できるわけではありません。
再就職した日から6か月経過した日の翌日から2か月間、再就職手当の支給申請を行ったハローワーク(郵送での申請も可)にて手続きを行います。
就業促進定着手当の申請書類
申請には以下の書類が必要です。
- 就業促進定着手当支給申請書(こちらハローワークからダウンロードできます)
- 雇用保険受給資格者証
- 就職日から6か月間(※)の出勤簿の写し(事業主から原本証明を受けたもの)
- 就職日から6か月間(※)の給与明細又は賃金台帳の写し(事業主から原本証明を受けたもの)
- (※)就職日が賃金締切日の翌日ではない場合、就職後最初の賃金締切日後の6か月分
まとめ
就業促進手当とは、再就職手当を受取った人で前職の給料よりも減ってしまった人に支給される手当です。
計算式は、(離職前の賃金日額-再就職後6か月間の賃金の1日分の額)×再就職後6か月間の賃金の支払基礎となった日数で計算します。
ただし、上限額がありますので、前職との賃金の差が大きくても限定されてしまいます。
上限額の計算は、基本手当日額×基本手当の支給残日数に相当する日数×40%(再就職手当が70%支給の場合は30%)です。
以上、就業促進手当とはどんな手当でいくらもらえるの?でした。