トライアル雇用とは雇用保険制度にあるものです。では、どうのような制度で、メリットやデメリットはどういったものなのか。また事業主は、トライアル雇用奨励金はいくらくらい受取ることができるのか、トライアル雇用併用求人とは。その内容と計算方法について解説します。
2016/08/19 12:06:19
トライアル雇用とは
トライアル雇用とは、何でしょうか。
トライアル雇用で働く人のメリットは何ですか
- 就労経験のない職種や業務でも応募できる。
- 職業経験、知識や技能不足であっても応募ができる。
- トライアル雇用期間は3ヶ月あるので仕事や企業について理解を深めることができます。そのため、実際のイメージとは相違していたなどを無くすことができます。
- 常用雇用へ移行した場合は、本人と会社がお互いを理解しているため、安心 して仕事を続けることができる。
- 書類選考はなく面接選考になる。
採用する企業側のメリット
トライアル雇用で採用する企業側にもメリットがあります。
- 3カ月間の試行雇用期間だけで、必ずしも常用雇用に移行させる必要はない。
- 書類や面接だけでは分からない適性や能力を見極めることができミスマッチを防ぐことができる。
- 対象者1人あたり、月額4万円、最長3ヵ月で12万円の奨励金が支給されるので当初の人件費を抑えることができる。対象者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合、1人につき月額5万円、最長3ヵ月で15万円。
働く人のデメリットとは
- 企業側に適正でないと判断されれば、否応なしに3カ月で失業となる。
- 常用雇用されない場合には短期間の職歴として残ってしまうので、次の求人応募の際に悪い印象を与える可能性もある
採用する企業側のデメリット
デメリットとはいえないかもしれませんが、しいて上げれば以下のものになります。
- トライアル雇用期間中に本人都合で退職し、実際に就労した日数が1ヵ月に満たない月の場合、就労を予定していた日数のうち、実際に就労した日数が75%未満だと段階的に支給額が少なくなる。
- 奨励金は最高で12万円(15万円)なので他の助成金と比べれば少ない。
- トライアル雇用の開始日から2週間以内にトライアル雇用実施計画書、雇用契約書等労働条件が確認できる書類を提出する必要がある。
- トライアル雇用期間が終了した日(トライアル雇用労働者がトライアル雇用期間の途中で離職した場合は当該離職日、または常用雇用へ移行した場合は当該常用移行日の前日)の翌日から起算して2か月以内に申請を行わななければならない。
トライアル雇用の対象者
以下のいずれかに該当し、紹介日にトライアル雇用を希望した場合に対象となります。(平成28年8月現在の内容)
- 紹介日時点で、就労経験のない職業に就くことを希望する
- 紹介日時点で、学校卒業後3年以内で、卒業後、安定した職業に就いていない(安定した職業とは、期間の定めのない労働契約を締結し、1週間の所定労働時間が通常の労働者の所定労働時間と同等であること)
- 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
- 紹介日の前時点で、離職している期間が1年を超えている(パート・アルバイトなどを含め、⼀切の就労をしていないこと)
- 妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前⽇時点で、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている
- 生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者、 中国残留邦人等永住帰国者、ホームレス、住居喪失不安定就労者
トライアル雇用奨励金とは
では、まずは、トライアル雇用奨励金の受給要件です。
- トライアル雇用対象労働者をハローワークの紹介により雇い入れること
- 原則3か月のトライアル雇用を行うこと
- 1週間の所定労働時間が原則30時間を下回らないこと
さらに次の項目のいずれにも該当しない者である必要があります。
- 安定した職業に就いている者
- 自ら事業を営んでいる者又は役員に就いている者で1週間当たりの実働時間が 30 時間以上の者
- 学校に在籍している者( 在籍している学校を卒業する日の属する年度の1月1日を経過している者であって卒業後の就職内定がないものは除く。)
- トライアル雇用期間中の者
その他にも様々な条件がありますので、詳しくは最寄りのハローワークにお尋ねください。全国ハローワークの所在案内はこちら。
奨励金の支給額
雇入れの日から1か月単位で最長3か月間を対象として助成が行われます。奨励金の支給額は、支給対象者1人につき月額4万円です。
※対象者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合、1人につき月額5万円となります。
尚、支払いについては、まとめて1回で支給されます。
雇用期間が1か月に満たない月の計算
下記の理由によって離職した場合で、雇用期間が1か月に満たない月は、下記の計算式によって算出します。
- 本人の責めに帰すべき理由による解雇
- 本人の都合による退職
- 本人の死亡
- 天災その他のやむを得ない理由により、事業の継続が不可能になったことによる解雇
- トライアル雇用の支給対象期間の途中で常用雇用へ移行した場合
- 支給対象者本人の都合による休暇またはトライアル雇用事業主の都合による休業があった場合
支給割合A=支給対象者が1か月間に実際に就労した日数÷支給対象者が当該1か月間に就労を予定していた日数
母子家庭の母等又は父子家庭の父以外の場合
割合 |
月額 |
---|---|
A≧75% |
4万円 |
75%>A≧50% |
3万円 |
50%>A≧25% |
2万円 |
25%>A>0% |
1万円 |
A=0% |
0円 |
母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合
割合 |
月額 |
---|---|
A≧75% |
5万円 |
75%>A≧50% |
3.75万円 |
50%>A≧25% |
2.5万円 |
25%>A>0% |
1.25万円 |
A=0% |
0円 |
トライアル雇用併用求人とは
トライアル雇用併用求人とは、企業がトライアル雇用でも募集し、また一般でも募集している求人をいいます。トライアル雇用の場合は、書類選考がなく、原則面接からになります。
例えば、ハローワークインターネットサービスでは、求人情報検索ができます。ここで求人情報の種類や就業場所の都道府県を選択し、さらに詳細な検索として「フリーワード」で検索することができますので、このフリーワードに「トライアル」と入力して検索すると以下の画像のように会社一覧が出てきます。
職種の欄に「トライアル併用」とか、「トラ併用」、「トライアル併用求人」などが掲載されていますが、すべて同じ意味です。
№1の求人番号をクリックすると、詳細な画面が出てきますが、その中に「求人条件にかかる特記事項」の項目があります。ここに以下のような情報がでています。
※ 中には、「求人条件にかかる特記事項欄」にトライアル雇用について何も書かれていない会社もあります。
*トライアル併用求人
トライアル期間3か月(同条件)
常用雇用移行要件:期間中無遅刻・無欠勤であること。
トライアル対象の方は面接します。
トライアル期間3か月(同条件)とは、本採用後の給与形態・勤務時間・休日、労働条件などは同じという意味です。
あるいは、以下のようにも掲載されています。
・トライアル併用求人
・トライアル期間3ケ月(日給9,000円)
こちらの場合は、トライアル雇用者は正社員とは違い、日給9,000円ということになります。
まとめ
トライアル雇用とは、ハローワーク等で常用雇用を目的としたトライアル求人を募っている企業に、経験不足でも原則3カ月間その企業でお試しで働いてみる制度をいいます。
企業側と働く側の双方にメリットがありますが、企業のメリットとしては、以下のものがあります。
- 3カ月間の試行雇用期間だけで、必ずしも常用雇用に移行させる必要はない。
- 書類や面接だけでは分からない適性や能力を見極めることができミスマッチを防ぐことができる。
- 対象者1人あたり、月額4万円、最長3ヵ月で12万円の奨励金が支給されるので当初の人件費を抑えることができる。
働く側のメリットとしては、以下のものになります。
- 就労経験のない職種や業務でも応募できる。
- 職業経験、知識や技能不足であっても応募ができる。
- トライアル雇用期間は3ヶ月あるので仕事や企業について理解を深めることができます。そのため、実際のイメージとは相違していたなどを無くすことができます。
- 常用雇用へ移行した場合は、本人と会社がお互いを理解しているため、安心 して仕事を続けることができる。
- 書類選考はなく面接選考になる。
以上、「トライアル雇用とは?」でした。
該当カテゴリー:雇用保険(失業保険)
関連カテゴリー:労災保険、健康保険