雇用保険料は、労働者負担と事業主負担で構成されています。労働者が負担する雇用保険料は、失業等の給付のためです。

 

そして、事業主が負担する雇用保険料は、失業等給付と二事業のためのものになります。二事業とは、雇用安定事業と能力開発事業(公的職業訓練)の2つを言います。

 

雇用安定事業では、「事業主に対しての助成金」「中高年齢者等再就職の緊要度が高い求職者に対する再就職支援」「若者や子育て女性に対する就労支援」を行っています。こページのでは、その中の事業主に対しての助成金にはどのようなものがあるのかについて解説します。

 

2016/08/14 09:43:14

雇用保険の二事業とは?

冒頭でも紹介しましたが、雇用保険二事業とは、雇用安定事業と能力開発事業の2つをいいます。この2つの事業は、雇用保険法の62条と63条の条文に盛り込まれています。

 

雇用保険法
(雇用安定事業)
第 62 条 政府は、被保険者、被保険者であった者及び被保険者になろうとする者(以下この章において「被保険者等」という。)に関し、失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大その他雇用の安定を図るため、雇用安定事業として、次の事業を行うことができる。以下省略

 

雇用保険法
(能力開発事業)
第 63 条 政府は、被保険者等に関し、職業生活の全期間を通じて、これらの者の能力を開発し、及び向上させることを促進するため、能力開発事業として、次の事業を行うことができる。以下省略

 

結局のところ、事業主が負担している雇用保険二事業の保険料は、事業主に対しての各種助成金やジョブカフェ、マザーズハローワーク等における職業紹介、職業訓練等の費用にあてられています。

 

教育訓練の詳細はこちらの失業保険をもらいながら職業訓練のメリットとは。講手当等についても解説しています。

 

次は、雇用安定事業の助成金をご紹介します。

雇用安定事業の助成金にはどのようなものがあるの?

雇用保険には、事業主に対して様々な助成金があります。以下は助成金の一部をご紹介しています。

 

事業主に対する助成金

・トライアル雇用奨励金 :35才未満の対象者に対してトライアル雇用を実施する場合、1人あたりの支給額が最大5万円(最長3ヵ月)支給される。トライアル雇用についての詳細はこちらのページをご覧ください。

 

・特定求職者雇用開発助成金:高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等を雇い入れる事業主に対して助成される(支給額60万円、中小企業主以外に対する支給額は50万円)

 

・高年齢者雇用開発特別奨励金:雇入れ日の満年齢が65歳以上の離職者をハローワーク等の紹介により、1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者として雇い入れる事業主(1年以上継続して雇用することが確実な場合に限る。)に対して助成されます。

 

短時間労働者以外の者は70万円、中小企業主以外に対する支給額は60万円。短時間労働者は50万円、中小企業主以外に対する支給額は40万円。

 

・地域雇用開発奨励金:雇用機会が特に不足している地域の事業主が、事業所の設置・整備を行い、併せてその地域に居住する求職者等を雇い入れる場合、設置整備費用及び対象労働者の増加数に応じて助成されます。
助成額は50万円~ 800万円(大規模雇用開発計画の認定を受けた事業主に対しては1億円又は2億円、助成期間3年間)

 

・雇用調整助成金:景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整(休業、教育訓練または出向)を実施することによって、従業員の雇用を維持した場合に助成されます。制度概要パンフレット

 

・出生時両立支援助成金:男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土作りのための取組を行い、男性労働者に一定の育児休業を取得させた事業主に助成されます。助成金額等についてはこちらのパンフレットをご覧ください。

 

・介護支援取組助成金:労働者の仕事と介護の両立に関する取組を行った事業主に助成。1企業1回のみ:60万円

 

中高年齢者等再就職の緊要度が高い求職者に対する再就職支援

就職支援ナビゲーターや再チャレンジプランナーによるきめ細かい就職相談・職業紹介等

 

若者や子育て女性に対する就労支援

ジョブカフェ、マザーズハローワーク等における職業紹介、情報提供等

 

 

能力開発事業とは

以下のものが能力開発事業になります。

 

在職者や離職者に対する訓練

・日本版デュアルシステム(働きながら学ぶ、学びながら働くことにより若者を一人前の職業人に育てる新しい職業訓練システムで)の実施
・公共職業能力開発施設の設置
・専修学校等の民間教育機関を活用した職業訓練の推進

 

事業主が行う教育訓練への支援

キャリア形成促進助成金:職業訓練などを実施する事業主等に対して訓練経費や訓練中の賃金を助成し、労働者のキャリア形成を効果的に促進するための助成金です。平成28年度 キャリア形成促進助成金制度の概要

 

ジョブ・カード制度の構築

ジョブカードとは、職業能力証明シート等のことで、履歴書だけでは理解されにくい職業能力を証明するものとして、応募書類に追加し活用することができるものです。
ジョブ・カードの詳細についてはこちらのホームページをご覧ください。

 

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まとめ

雇用保険料は、労働者負担と事業主負担で構成されています。

  • 労働者が負担する雇用保険料=失業等の給付
  • 事業主が負担する雇用保険料=失業等給付と二事業

 

二事業とは、雇用安定事業と能力開発事業(公的職業訓練)の2つを言います。
雇用安定事業は、「事業主に対しての助成金」「中高年齢者等再就職の緊要度が高い求職者に対する再就職支援」「若者や子育て女性に対する就労支援」を行っています。

 

事業主に対しての助成金には、トライアル雇用奨励金、特定求職者雇用開発助成金、高年齢者雇用開発特別奨励金、地域雇用開発奨励金などがあります。

 

以上、「雇用保険の助成金にはどのようなものがある?」でした。