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教育支援給付金とはどういった制度なのか、また、専門実践教育訓練給付金や一般教育訓練制度との比較等について解説します。

 

参考:政府広報オンライン 暮らしに役立つ情報厚生労働省の教育訓練給付制度リーフレットハローワークインターネットサービス教育訓練対象講座検索システム専門実践教育訓練リーフレット、ハローワークに電話確認、


 

2017/05/08 18:11:08

教育訓練支援給付金とは

教育訓練支援給付金とは、次のような給付金です。

初めて専門実践教育訓練(通信制、夜間制を除く)を受講する方で、受講開始時に45歳未満など一定の要件を満たす方が、訓練期間中、失業状態にある場合に支給。ハローワークインターネットサービス

 

つまり、教育訓練支援給付金は、失業手当がもらえない方の生活支援金という位置づけです。そして専門実践教育訓練給付金を受取れる方でないと対象とはならないため、「専門実践教育訓練給付金+教育訓練支援給付金」となる給付金です。

 

それでは、専門実践教育訓練給付金とはどんな給付金なのか。
詳細は後述していますが、専門実践教育訓練給付金とは、厚生労働大臣の指定する講座受講費の一部を補助していただける給付金をいいます。

 

雇用保険の教育訓練給付制度は、平成26年10月1日から「教育訓練給付金」が拡充され、「専門実践教育訓練給付金」と「一般教育訓練」の2種類になっています。

 

また、平成31年3月31日までの時限措置として、専門実践教育訓練給付金を受けられる方で45歳未満など一定の要件を満たしている方が訓練期間中に失業状態にある場合に受給できる「教育訓練支援給付金」が追加されています。

 

次のような方は教育訓練支援給付金を受給できません

失業手当を受け取っていて、まだ残日数の範囲内であれば、失業手当を受けることができる期間にあるため教育訓練支援給付金は支給されません。

 

また、離職してから受給資格があってハローワークに失業手当の手続きをしていない場合。
失業手当は受給していませんが、離職日の翌日から1年間は受給できる資格があるため、教育訓練支援給付金は受給できません。

 

教育訓練支援給付金の支給対象者

対象者は以下のとおりです。

 

①専門実践教育訓練の教育訓練給付金の受給資格がある
②専門実践教育訓練を修了する見込みがある
③専門実践教育訓練の受講開始時に45歳未満
④受講する専門実践教育訓練が通信制または夜間制ではないこと
⑤受給資格確認時に一般被保険者ではないこと。また、一般被保険者ではなくなった後、短期雇用特例被保険者または日雇労働被保険者になっていないこと
⑥会社などの役員に就任していないこと(活動や報酬がない場合はハローワークで要確認)
⑦自治体の長に就任していないこと
⑧今回の専門実践教育訓練の受講開始日前に教育訓練支援給付金を受けたことがないこと。
⑨教育訓練給付金を受けたことがないこと(平成26年10月1日前に受けたことがある場合は例外あり)
⑩専門実践教育訓練の受講開始日が平成31年3月31日以前であること

 

教育訓練支援給付金の支給額について

失業手当の支給が受けられない期間について、失業手当の日額と同様に計算して得た額に50%の割合を乗じて得た額が2か月ごとに支給されます。また、その教育訓練が終了するまで支給されます。

 

基本手当日額×50%です。
基本手当日額とは、働いていた頃の賃金日額(離職直前の6か月間の合計額を180で割った額)の80%~45%になります。ただし上限額があります。

 

教育訓練支援給付金は、失業手当の待期期間や給付制限期間中、また失業手当と重なって支給されることはありません。

専門実践教育訓練給付金とは

ハローワークの教育支援給付金のイメージ画像

専門実践教育訓練給付金とは、雇用保険被保険者である在職者または雇用保険被保険者であった離職者が専門性を高めてさらなるキャリアアップを目指す人のための支援制度です。

 

給付金額

厚生労働大臣が指定した講座を受講し、支払った教育訓練経費のうち、40%を支給(年間上限額32万円、最長3年間※)するのが専門実践教育訓練給付金です。支給申請は、訓練期間中6か月ごとに行いますので、教育訓練中から支給が受けられるのが特長です。

 

※ 原則は2年ですが、資格につながる場合は最長3年までになります。

 

ただし、受講開始日前に訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受けなければ、「専門実践教育訓練給付金」は受けられません。
在職者の場合は、受講開始日前に勤務先の雇用保険の適用事業所の事業主が専門実践教育訓練を受講することを承認し、これを証明した場合は、この限りではありません。

 

そしてさらに、受講修了日から1年以内に資格取得等をして、被保険者として雇用された場合には20%を追加支給(先の40%と合わせて60%、年間上限48万円)されます。

 

上限額を表にすると次のようになります。

 

訓練期間

受講中の支給上限額

修了後1年以内に雇用された場合の上限額※

1年

32万円

48万円

2年

64万円

96万円

3年

96万円

144万円

※ 所定の資格取得も必要です。

 

教育訓練経費とは

入学金や受講料は経費に含まれます。
検定費用や補助教材費、パソコン購入費、交通費、クレジットカード支払手数料、未納分などは訓練経費になりません。後に還付される予定の費用については差引いた金額を申告する必要があります。

 

訓練を途中でやめたらどうなるの?
教育訓練を途中でやめた場合や、講座ごとの基準により定められた訓練期間中に修了する見込みがなくなった場合は、それ以降支給されません。政府広報オンライン・暮らしに役立つ情報

 

では、支給対象となる方を見てみましょう。

 

専門実践教育訓練給付の支給対象者について

ハローワークインターネットサービスでは以下のように説明しています。

 

受講開始日現在で雇用保険の被保険者等であった期間が10年以上(初めて支給を受けようとする方については、当分の間、2年以上(※1))あること、受講開始日時点で被保険者(※2)でない方は、被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内(適用対象期間の延長が行われた場合は最大4年以内)であること、前回の教育訓練給付金受給から今回の受講開始日前までに10年以上(※3)経過していることなど一定の要件を満たす雇用保険の被保険者(在職者)又は被保険者であった方(離職者)が厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し修了した場合に支給。専門実践教育訓練

 

このように説明されていますが、はじめてこの文章を読んでもよく理解できないと思いますので、わかりやすく箇条書きにしてみました。

 

支給対象者は、厚生労働大臣が指定する専門実践教育訓練を修了する見込みで受講している方と修了した方になります。

 

① 雇用保険の一般被保険者及び高年齢被保険者
こちらは、在職者の方です。
専門実践教育訓練の受講開始日に雇用保険の一般被保険者のうち、支給要件期間が10年以上(当面の間、初めて教育訓練給付の支給を受けようとする方については支給要件期間が2年以上あれば可)ある方。

 

支給要件期間とは、受講開始日までに被保険者として雇用された期間をいいます。転職などした場合で前職と新しい職場での間が1年以内の場合は期間を通算することができます。

 

② 雇用保険の一般被保険者及び高年齢被保険者であった方
こちらは失業者の方が該当します。
受講開始日に被保険者資格を喪失した離職日の翌日以降、受講開始日までが1年以内であり、かつ支給要件期間が10年以上(当面の間、初めて支給を受けようとする方については支給要件期間が2年以上あれば可)ある方。

 

例えば、3月31日付けで離職。この場合には、翌年4月1日までに厚生労働大臣指定の講座受講する必要があります。

 

つまり、①または②に該当する方で、下記に示した厚生労働大臣の指定する専門実践教育訓練を受講し修了した場合に本人が教育訓練施設に支払った教育訓練経費の一定の割合額をハローワークから支給されることになります。ただし上限額はあります。

 

※過去に教育訓練給付金を受給したことがある方は、その時の受講開始日より前の期間は被保険者期間に通算されませんのでご注意ください。

 

専門実践教育訓練給付金についてハローワークに相談

失業手当を満額受給したが、結局就職できなかった。この場合でも専門実践教育訓練給付金を受けられるのですか?

失業手当と専門実践教育訓練給付金はリンクしていませんから請求できます。ただし、離職日の翌日から専門実践教育訓練の受講開始日までが1年以内でないといけません。

雇用保険の被保険者資格を無くしてから1年が経過。しかしその後に就職して雇用保険の被保険者期間が1ヵ月あります。そして再び離職しましたが専門実践教育訓練給付金は受給できるのですか?

雇用保険の被保険者期間が1ヵ月であっても、はじめて教育訓練給付金を請求する場合には、通算して2年以上(当面の間)の被保険者期間があれば請求できます。ただし、離職日の翌日から専門実践教育訓練の受講開始日までが1年以内である必要があります。

 

次に厚生労働大臣が指定した講座はどのようなものがあるのか見てみましょう。


 

 

専門実践教育の対象となる講座

専門実践教育の対象となる講座は、下記の1~5のうち資格試験の受験率及び合格率、就職・在職率などの指定基準を満たすものとして、厚生労働大臣が指定した講座(専門実践教育訓練)が対象になります。①から⑤の全指定講座数は、2,243講座(平成28年8月時点)となっています。

 

1.業務独占資格・名称独占資格の取得を訓練目標とする養成施設コース

 

業務独占資格
  • 助産師
  • 看護師
  • 准看護師
  • 診療放射線技師
  • 臨床検査技師
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 視能訓練士
  • 言語聴覚士
  • 臨床工学技士
  • 義肢装具士
  • 救急救命士
  • 歯科衛生士
  • 歯科技工士
  • あん摩マッサージ指圧師
  • はり師・きゅう師
  • 柔道整復師
  • 美容師
  • 理容師
  • 測量士
  • 電気工事士
  • 建築士
  • 海技士
  • 水先人
  • 航空機操縦士
  • 航空整備士

 

名称独占資格
  • 保健師
  • 調理師
  • 栄養士
  • 介護福祉士
  • 社会福祉士
  • 精神保健福祉士
  • 保育士
  • 製菓衛生師

 

詳しくは、こちらの厚生労働省の講座検索サイトでご確認いただけます。

 

2.専門学校の職業実践専門コース(訓練期間は2年)

専修学校の専門課程のうち、企業などとの連携により、最新の実務知識などを身に付けられるよう教育課程を編成したものとして文部科学大臣が認定したものをいいます。

 

【例】
日本工学院の職業実践専門課程(文部科学省認定)
日本福祉教育専門学校の職業実践専門課程(文部科学省認定)
アーツカレッジヨコハマの「ゲームクリエイター学科」「デザイン学科」「情報処理学科」

 

3.専門職大学院コース(訓練期間は2年または3年以内)

高度専門職業人の養成を目的とした課程

 

【例】
ビジネス・ブレークスルー大学院「経営学研究科 経営管理専攻」
千葉商科大学の会計プロフェッションコース」「税務プロフェッションコース」「ファイナンスプロフェッションコース」
筑波大学大学院ビジネス科学研究科

 

4.大学等における職業実践力育成プログラム[訓練期間:正規課程の場合1年以上2年以内、特別な課程の場合時間が120時間以上、かつ期間が2年以内]

大学等における正規の課程または特別な課程のうち、文部科学大臣が職業実践力育成プログラムとして認定したものであって、かつ、中長期的なキャリア形成に資するものとして職業能力開発局長が定める基準に該当するものです。

 

働きながら仕事に必要な能力を向上させたい、再就職に当たって学び直ししたい、従業員の能力を向上させたい方のための制度です。

 

平成27年度の「職業実践力育成プログラム(BP)」認定課程一覧はPDFをご覧ください。

 

5.一定レベル以上の情報通信技術に関する資格取得を目標とした課程[訓練時間が120時間以上かつ訓練期間が2年以内]

情報通信技術に関する資格(要求された業務を独力で遂行できる応用的なレベルの知識及び技能が習得されていることを確認可能なものに限る。)の取得を訓練目標とする課程。

 

以下の4講座になります。

  • マイクロソフト認定技術者
  • シスコ技術者認定
  • オラクルマスター
  • オラクルJava認定

 

 

一般教育訓練制度と専門実践教育訓練の違い

 

一般教育訓練(現行の教育訓練)

専門実践教育訓練

支給額(受講者が支払った訓練経費×右欄の割合) 20% 40%(※受講修了日から1年以内に資格取得等し、かつ、被保険者として雇用された又は雇用されている場合等には20%を追加支給)
支給額の上限 10万円 32万円/年(受講期間中)
支給期間 最長1年 原則2年(資格につながる場合は最長3年)


※ 上記条件に該当した場合、専門実践教育訓練の修了後には支給される訓練給付金40%に20%が追加して支給され合計で60%の支給となりますが、訓練期間が3年の場合は最高144万円が限度、2年の場合は、96万円限度、1年の場合は48万円が限度です。

教育支援給付金と専門実践教育訓練給付のまとめ

専門実践教育訓練給付とは、厚生労働大臣が指定した講座を対象とした場合に支払った教育訓練経費のうち、40%が支給(年間上限32万円)される支援制度です。

 

また、受講修了日から一年以内に資格取得等し、被保険者として雇用された場合には20%を追加支給(合計60%、年間上限48万円)されます。

 

対象者は、はじめての方は、受講開始日前までに通算して当面は2年以上の雇用保険の被保険者期間を有している方になります。

 

教育訓練支援給付金とは、専門実践教育訓練給付(夜間と通信教育は除く)が受けられる方で受講開始時に45歳未満など一定の要件を満たしている方が訓練期間中に失業状態にある場合には受給できる給付金です。

 

金額としては、基本手当の日額と同様に計算して得た額に50%の割合を乗じて得た額が2か月ごとに講座終了まで支給されます。基本手当日額の計算方法については、こちらの失業手当計算の大事なポイントについて解説をご覧ください。

 

以上、「教育支援給付金とは?専門実践教育訓練とは?」の解説でした。

 

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