妊娠・出産などで会社を退職した場合は、被保険者期間が12ヵ月以上あっても失業保険をもらうことはできません。働ける状態にはないからです。しかし、産後に求職活動をするようになれば、もらうことができます。
とはいうものの、退職の翌日から1年間に限ってという決まりがあります。この間にもらいきらないといけないのでそれほど余裕はありません。
そこで、このような場合には、失業保険の延長手続きをしておけば最長3年間は延長できます。そのため、あわせて4年間は、もらう権利を確保できます。
それでは具体的に失業保険の延長とはどのような内容なのか、手続きはどうするのかなどについて解説します。
2018/05/12 10:12:12
失業保険の延長とはどういうもの?
原則、失業保険の受給期間は、1年間と決まっています。
受給期間とは退職の翌日から失業保険が受取れる期間です。
この受給期間中に手続きして失業保険を受取り終えないといくら給付日数が残っていても残りの日数は不支給となります。
たとえば、自己都合により離職した人で90日の失業保険を受取れる条件を満たしていたとします。その方が離職してから8カ月経過した頃にハローワークに行って求職手続きをしたとします。
この時点では、1年経過するまでには残り4カ月ありますので問題なさそうですが、自己都合による離職は失業保険を受取るまでに7日間の待期期間と他にも3ヶ月の給付制限期間があります。失業保険が一度に90日分支給されればいいですが、そうではありませんので、1年経過後の分は受取ることはできなくなります。
失業保険の受取りの詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
そこで、延長できれば手続きが遅れても問題はなくなります。しかしながら誰でもが延長を認められるわけではありません。
以下の理由に該当する方で30日以上働くことができなければ申請することで延長が認められます。本来ならもらえるはずのお金が後からでも受取れるようにセーフティーネットが用意されているんですね・・・。
延長が認められる条件
- 病気やけが、
- 妊娠、出産および育児(3歳未満)
- 小学校就学前の子の看護
- 親族等の看護
- 配偶者の海外勤務に本人が同行する場合
- 一定のボランティア活動等で引き続き30日以上職業に就くことができない期間がある場合
- 60歳以上の定年等により離職し、しばらく休養したい(仕事を探さない)方
働くことのできなくなった日数だけ受給期間に加えることができますが、期間は最大3年間です。
なお、所定給付日数330日の方は、最大限3年-30日。360日の方は、3年-60日です。
失業保険からお金の支給はありません。働ける状態になるまで失業保険の受給を保留しておくことで受給期間の延長ができるだけです。
延長手続きには期限があります
延長の手続きはハローワークで行いますが、次のように期限が設けられています。
延長理由 |
(1)病気やけが・妊娠・出産など |
(2)60歳以上の定年等による離職 |
---|---|---|
提出期限 | 離職日の翌日から30日を過ぎてから1カ月以内 | 離職日の翌日から2カ月以内 |
延長期間 | 最長3年間 | 最長1年間 |
提出書類 | 受給期間延長申請書、離職票-1、離職票-2、本人の印鑑(認印)、必要に応じ各種証明 | |
提出先 | 受給期間延長申請書、離職票-1、離職票-2、本人の印鑑(認印)、必要に応じ各種証明書 |
離職票を紛失してしまった方は、離職証明書と離職票の違いはなに?再発行はどうすればいいの?をご覧ください。
平成29年12月現在、ハローワークインターネットサービスで受給期間延長申請書のダウンロードはできません。
失業保険の延長についてのまとめ
失業保険を受取り終えるまでの期間は、原則、退職の翌日から1年間です。
しかしながら病気やけが、妊娠・出産・育児(3歳未満)、あるいは小学校就学前の子の看護、親族等の看護等の理由により30日以上働くことができない場合には、最長で3年間延長することができます。
なお所定給付日数330日及び360日の方の延長できる期間は、それぞれ最大限3年-30日及び3年-60日です。
必要書類については、受給期間延長申請書以外に、離職票-1、離職票-2、本人の印鑑(認印)、必要に応じ各種証明等です。
以上、失業保険の延長はどんな理由ならできるの?メリットは何?でした。
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