このページは、交通事故で死亡した場合の人身傷害補償保険の支払いについて解説します。

 

2015/05/30 11:05:30

人身傷害補償保険の死亡による損害賠償について

まずは、人身傷害補償保険の死亡による損害賠償にはどのような項目が支払われるのかご説明いたします。

 

  • 葬祭費
  • 逸失利益
  • 死亡慰謝料(精神的損害)
  • その他の損害

となっています。

 

葬祭費

まずは葬祭費から見てみましょう。
立証資料等により基本額を超えることが明らかな場合は、限度額の範囲内で実費が支払れます。
各社どのように違うのか比較してみました。結果については、ほとんど違いはありませんでした。

 

  A共済 B共済 C保険 D保険
葬祭費 60万円 60万円 60万円 60万円
限度額 120万円 100万円 100万円 100万円

 

立証資料により60万円を越えることが明らかな場合は限度額まで実費が支払われます。

死亡の逸失利益

逸失利益とは、本来なら将来得られたであろう経済的損失に対して支払われるものです。

 

死亡逸失利益計算方法
収入額-生活費×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

被保険者(被共済者)区分別計算方法
収入額は、被保険者別に計算します。下記のいずれか高い額を採用します。

 

有職者の計算

(ア)(現実収入額-生活費)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
(イ)(年齢平均別給与額-生活費)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

 

※ 全年齢平均給与額が年齢平均別給与額を上回る場合には、全年齢平均給与額を採用します。
※ 現実収入額とは、事故前1年間に労働の対価として得た収入額をいいます。
※ 年齢平均別給与額は、後遺障害と同様の表を使用します。

 

年齢別平均給与額についてはこちらのPDFをご覧ください。

 

18歳以上:死亡時の年齢別就労可能年数およびライプニッツ係数

 

年齢 就労可能年数 ライプニッツ係数 年齢 就労可能年数 ライプニッツ係数
   
18 49 18.169 58 12 8.863
19 48 18.077 59 12 8.863
20 47 17.981 60 12 8.863
21 46 17.88 61 11 8.306
22 45 17.774 62 11 8.306
23 44 17.663 63 10 7.722
24 43 17.546 64 10 7.722
25 42 17.423 65 10 7.722
26 41 17.294 66 9 7.108
27 40 17.159 67 9 7.108
28 39 17.017 68 8 6.463
29 38 16.868 69 8 6.463
30 37 16.711 70 8 6.463
31 36 16.547 71 7 5.786
32 35 16.374 72 7 5.786
33 34 16.193 73 7 5.786
34 33 16.003 74 6 5.076
35 32 15.803 75 6 5.076
36 31 15.593 76 6 5.076
37 30 15.372 77 5 4.329
38 29 15.141 78 5 4.329
39 28 14.898 79 5 4.329
40 27 14.643 80 5 4.329
41 26 14.375 81 4 3.546
42 25 14.094 82 4 3.546
43 24 13.799 83 4 3.546
44 23 13.489 84 4 3.546
45 22 13.163 85 3 2.723
46 21 12.821 86 3 2.723
47 20 12.462 87 3 2.723
48 19 12.085 88 3 2.723
49 18 11.69 89 3 2.723
50 17 11.274 90 3 2.723
51 16 10.838 91 2 1.859
52 15 10.38 92 2 1.859
53 14 9.899 93 2 1.859
54 14 9.899 94 2 1.859
55 14 9.899 95 2 1.859
56 13 9.394 96 2 1.859
57 13 9.394 97 2 1.859
      98 2 1.859
      99 2 1.859
      100 2 1.859
      101~ 1 0.952

 

家事従事者の計算方法

(年齢平均別給与額-生活費)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
全年齢平均給与額が年齢平均別給与額を上回る場合には、全年齢平均給与額を採用します。

 

幼児及び18歳未満の学生の計算方法

 

(全年齢平均別給与額-生活費)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

 

18歳未満:死亡時の年齢別就労可能年数およびライプニッツ係数

18歳未満の者に適用する表

 

年齢 幼児、学生または十分働く意思と能力を有している無職者 有  職  者
就労可能年数 ライプニッツ係数 就労可能年数 ライプニッツ係数
   
0 49 7.549 67 19.239
1 49 7.927 66 19.201
2 49 8.323 65 19.161
3 49 8.739 64 19.119
4 49 9.176 63 19.075
5 49 9.635 62 19.029
6 49 10.117 61 18.98
7 49 10.623 60 18.929
8 49 11.154 59 18.876
9 49 11.712 58 18.82
10 49 12.297 57 18.761
11 49 12.912 56 18.699
12 49 13.558 55 18.633
13 49 14.236 54 18.565
14 49 14.947 53 18.493
15 49 15.695 52 18.418
16 49 16.48 51 18.339
17 49 17.304 50 18.256

 

上記以外の十分働く意思と能力を有している無職者の計算方法

次のいずれか高い額
ア (18歳平均給与額-生活費)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
イ (年齢別平均給与額の50%-生活費)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

 

生活費について

生活費は、被扶養者の人数に応じ、収入額に対する下記の割合としています。
被扶養者とは、被保険者(被共済者)に現実に扶養されていた方をいいます。
下記は、A共済・B共済、C社、D社とも共通です。
(ア)被扶養者がいない場合 50%
(イ)被扶養者が1人の場合 40%
(ウ)被扶養者が2人の場合 35%
(エ)被扶養者が3人以上の場合 30%

 

 

死亡の慰謝料

死亡による場合の慰謝料について計算式はありません。
上記と同じA共済・B共済、C社、D社で比較してみましたら慰謝料(死亡精神的損害)は同じでした。

 

被保険者(被共済者)別に下記の金額が基準となります。

 

  1. 被保険者(被共済者)が一家の支柱である場合 2,000万円
  2. 被保険者が65歳以上の者である場合 1,600万円
  3. 被保険者が⑴および⑵以外である場合 1,500万円

 

その他の損害

その他の損害は、社会通念上必要かつ妥当な実費となります。
以上、人身傷害補償保険慰謝料:死亡にはどのような賠償項目があるの?についての記事でした。

まとめ

人身傷害補償保険の死亡による損害賠償には以下のものがあります。

 

  • 葬祭費
  • 逸失利益
  • 死亡慰謝料(精神的損害)
  • その他の損害

 

逸失利益とは、本来なら将来得られたであろう経済的損失に対して支払われるものです。
死亡逸失利益計算方法は、「収入額-生活費×就労可能年数に対応するライプニッツ係数」です。

 

ただし、有職者や家事従事者、幼児及び18歳未満の学生などで収入は異なってくるため、被保険者別に計算し算出することになります。

 

死亡による場合の慰謝料については計算式はありません。
A共済・B共済、C社、D社で比較してみましたら慰謝料(死亡精神的損害)支払額は次のように同じでした。

 

被保険者(被共済者)別の金額が基準となります。

 

  1. 被保険者(被共済者)が一家の支柱である場合 2,000万円
  2. 被保険者が65歳以上の者である場合 1,600万円
  3. 被保険者が⑴および⑵以外である場合 1,500万円

 

以上、「人身傷害保険の死亡による慰謝料とはどのような賠償?」についてでした。

 

該当カテゴリー:自動車保険
関連カテゴリー:自賠責保険