自動車事故でも、信号待ちのところ後ろから追突されたなどよくあります。こういった場合には弁護士費用保険を利用されたほうがよいことになります。では、なぜそうなのかについて解説します。
2015/05/30 14:45:30
自動車保険の弁護士費用保険とは
弁護士費用保険(特約)とは、自分のケガや車の損害を相手に請求するときの交渉を弁護士に依頼をしたときなどに使う保険です。
弁護士費用として1回の事故、1名につき300万円を限度に支払ってくれます。ほとんどの自動車保険でオプションとなっていますが、はじめから組込まれている自動車保険もあります。
この弁護士費用特約はどんなときに役立つのか?
- 停車中に後ろから追突された
- 駐車場に止めてあった車に追突された
- 赤信号待ちのところ、後ろから追突された
こんなとき自動車保険に加入していれば、保険会社が相手との示談交渉を行ってもらえるかというと、答えはノーとなります。
これを聞いて、ご存知なかった方は、「エッ~!」と思いませんでしたか。
契約者の過失がゼロ、まったくない、つまり過失割合が「相手100%、自分は0」、という「もらい事故」の場合は、保険会社は非弁行為※(ひべんこうい)に該当しますので、示談交渉サービスは行ってくれません。
非弁行為とは
非弁行為とは、弁護士資格を持っていない者が、報酬目的で介入をすることです。根拠は、下記の弁護士法第72条になります。
第72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
上記のような事故の場合には、相手、もしくは保険会社との交渉は自分で行わなければいけません。
相手の方が誠意のある方ならいいですが、そうでない場合には精神的負担も大きいです。
また、過失割合に不服があり、交渉が難航してしまうような場合や相手が自賠責保険にしか加入していないという場合は、もめるケースが多いため、この弁護士特約を付加してあれば、安心して活用することができます。
支払われる保険金について
1事故1名につき300万円が限度となります。
保険が使える被保険者の範囲
- ①記名被保険者(主に運転される方)
- ②記名被保険者の配偶者
- ③記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
- ④記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子
- ➄上記以外の者で、契約の車に搭乗中の者
- ⑥ ①~④の者が運転する、他人の車に同乗中の者
- ⑦ ①~⑥以外の者で、契約の車の所有者
別居している未婚(結婚したことがない)の子供が、歩行中に車に接触されケガを負ったが、相手側が話し合いに応じないという場合にも弁護士費用保険が使えるということになります。
ただし、事前に必要書類等を提出し、保険会社の承認を得る必要があります。
弁護士費用保険が支払われない主なもの
戦争や外国の武力行使、地震や噴火、津波、核燃料物質に起因する事故、放射能汚染、麻薬、大麻、あへん、覚せい剤、シンナー等、改造車、酒気帯び運転等の影響により起こした事故、被保険者の故意、または重大な過失による事故。
弁護士費用保険と等級ダウンについて
弁護士費用保険(特約)だけを使用しても等級据え置き事故に該当するため、等級ダウンにはなりません。
弁護士費用保険のまとめ
- 停車中に後ろから追突された
- 駐車場に止めてあった車に追突された
- 赤信号待ちのところ、後ろから追突された
こんなとき自動車保険に加入していても保険会社が相手との示談交渉は行いません。
過失割合において「相手が100、自分は0」、という「もらい事故」の場合は、保険会社は非弁行為(ひべんこうい)に該当するからです。
この弁護士費用保険は、1事故1名につき300万円が限度に支払ってくれます。
ただし、大麻、あへん、覚せい剤、シンナー等、改造車、酒気帯び運転等の影響により起こした事故、被保険者の故意、または重大な過失による事故については支払ってくれません。
以上、後ろから追突されたなど弁護士費用保険を利用するケースについて解説についての記事でした。
該当カテゴリー:自動車保険
関連カテゴリー:自賠責保険