このページは、人身傷害補償保険の傷害による支払いと慰謝料について解説します。当記事はマイカー共済、ソニー損保、ジャパン日本興亜、三井住友海上の自動車保険の約款で確認しています。

 

2018年5月17日追記

 

2018/05/17 21:58:17

人身傷害補償保険の支払いには3つある

人身傷害補償保険の支払いは3つに分けられ、それぞれに慰謝料(精神的損害)があります。

 

  1. 傷害
  2. 後遺障害
  3. 死亡

 

後遺障害による損害慰謝料についての説明はこちらのページ死亡による損害慰謝料はこちらのページになります。

 

下記の図をご覧いただきますと分かりますが、人身傷害補償保険の慰謝料といっても、賠償の中のひとつの項目にすぎません。

 

他に看護料や入院諸雑費などを含む積極損害や休業損害もありますので慰謝料は一部分であるということをまずはご理解ください。

 

では、傷害による支払いから見ていきましょう。

 

傷害による支払い

傷害による支払い項目は以下の図のようになっています。

 

人身傷害補償保険の慰謝料傷害

 

つまりは、事故で傷害による治療を受けたときには、治療費等+慰謝料(精神的損害)+休業損害が人身傷害保険から支払われます。

積極損害とは

積極損害とは事故にあったが故に支出することになった費用をいいます。

 

後遺障害や死亡時の積極損害もありますので、上記の図に掲載していないものも含めてそれらを含めると次のものになります。

 

  • 応急手当費
  • 診察治療費
  • 付添看護費
  • 介護費
  • 入院雑費
  • 通院交通費
  • 装具・器具等購入費
  • 家屋・自動車等改造費
  • 葬儀関係費
  • 損害賠償請求関係費
  • 弁護士費用など

 

治療費について

治療費は実費が全額認められますが、必要かつ相当な範囲となっています。また過剰な診療については賠償金に組み入れても否決されることがあります。

 

マッサージや温泉治療などは担当医師の指示書や診断書にその旨の記載がない場合にもやはり賠償金としては否決されてしまいます。

 

後遺症が残って、症状固定となった場合は、それ以上治療を行っても治療効果が上がらないという上での症状固定ですから、それ以降の治療費もやはり基本的には認められません。

 

付添看護費について

医師の支持や受傷の程度、被害者の年齢などを考慮して請求ができます。

 

入院付添費は、職業付添人では、妥当な実費。
近親者付添人は1日4,100円(マイカー共済)。12歳以下の子どもまたは歩行困難者で年齢、傷害の部位、程度等により通院が認められる場合の付添費については1日2,050円(全労済)です。

 

※三井住友海上の入院中の付添看護費も1日につき4,100円ですが、12歳以下の子どもに近親者が付き添った場合が原則となっています。ただし医師の要看護証明書がある場合等は認められます。

 

入院雑費について

認められる金額は1日につき1,100円(全労済の場合)です。
洗面用具や寝具、軽食、新聞雑誌代、電話代などの入院に伴う雑費になります。ただし保険会社では、自賠責保険の基準が1日1,100円になっていますので、この金額で提示してくるのが一般的です。

 

通院交通費

病院に通院するにも当然交通費がかかりますからその費用も認められます。
基本は公共交通機関ですが、タクシー利用も認めらてる場合があります。
また通院のために付添が必要であればその方の付添看護費用の他に付添人の通院交通費も認められます。

 

 

休業損害について

受傷により、収入の減少が生じた場合に減収額に応じて支払われますが、原則として下記の算定方法によります。以下内容は全労済のマイカー共済の場合(2017年2月改訂版約款)です。

 

有職者の場合

下記の算定方法になりますが、提出資料上1日あたりの減収額が5,700円をこえる場合であっても、その額の立証が困難な場合は、1日につき5,700円となります。

 

給与所得者

事故直前3ヶ月間の給与等÷90日×休業損害の対象となる日数

 

商・工・鉱業者、農林業業者等事業所得者および家族従事者

(過去1ヶ年の収入額-必要経費)×寄与率÷365日×休業損害の対象となる日数

 

自由業者

自由業者とは、開業医、弁護士、プロスポーツ選手、芸能人、芸術家、保険代理店主、歩合制外交員、著述業など、これに準じる方。
過去1ヵ年の収入額(固定給を除く)-必要経費÷365日×休業損害の対象となる日数

 

アルバイト・パートタイマー

給与所得者の算定方法に準じます。ただし、休業日数が特定できない場合は、事故直前3ヶ月間の就労日数÷90日×休業した期間の延べ日数

 

主婦など家事従事者の場合

現実に家事に従事できなかった日数に対し支給されます。

 

主婦には収入がありませんので、賃金の根拠は、賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計の女子労働者全年齢平均賃金を用います。

人身傷害補償保険・傷害の慰謝料(精神的損害)について

傷害の慰謝料(精神的損害)は、入院または通院と死産又は流産についての慰謝料があります。

 

入院又は通院の慰謝料

入院又は通院の慰謝料は対象日数ごとに以下の額を支払います。

 

全労済のマイカー共済の場合

ジャパン日本興亜、ソニー損保、三井住友海上の自動車保険も入院・通院慰謝料の金額については同じです。

  • 入院1日につき8,400円
  • 通院1日につき4,200円

通院対象日数は各期間区分の総日数から入院対象日数を差し引いた日数の範囲内で、実治療日数の2倍を上限とします。

 

ただし、各期間区分の入院対象日数および通院対象日数にそれぞれの以下の割合を乗じて計算されます。

事故から3ヶ月以内の期間 100%
事故から3ヶ月超6ヶ月までの期間 75%
事故から6ヶ月超9ヶ月までの期間 45%
事故から9ヶ月超13ヶ月までの期間 25%
事故から13ヶ月超の期間 15%

 

 

死産又は流産の慰謝料

事故によって妊婦が胎児を死産又は流産(人工流産を含む)した場合には、上記の入院又は通院の慰謝料の額に以下の額が加算されます。

 

全労済のマイカー共済の事例

ジャパン日本興亜、ソニー損保、三井住友海上※の自動車保険でも以下と同じ金額であることを約款で確認しています。

 

妊娠月数3ヶ月(12週)以内 30万円
妊娠月数4ヶ月以内(13週)から6ヶ月(24週)まで 50万円
妊娠月数7ヶ月(25週)以上 80万円

※三井住友海上の自動車保険においては、妊娠月数10カ月(37週)以上は120万円の慰謝料になります。(2018年1月1日以降始期の契約の場合)

 

まとめ

人身傷害補償保険の支払いは3つに分けられます。

 

  1. 傷害による支払い
  2. 後遺障害による支払い
  3. 死亡による支払い

 

さらに傷害による支払いは以下の3つになります。

  • 積極損害
  • 休業損害
  • 慰謝料(精神的損害)

 

積極損害には、応急手当費、診察治療費、入院料、手術料、投薬料、通院費、転院費、付添看護料、通院交通費などがあります。それぞれ決められた金額について人身傷害補償保険から支払われます。

 

傷害による慰謝料(精神的損害)は、入院・通院の対象日数により計算され支払われます。入院1日につき8,400円、通院1日につき4,200円。ただし、入院や通院が長期になっていくにつれ決められた割合で減額されていきます。

 

以上、人身傷害保険の慰謝料についての解説でした。

 

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