国民健康保険に加入している方が出産したときに受取れる出産育児一時金。直接支払制度、受取代理制度があります。その受取り方法と手順について解説します。

 

 

2015/10/08 16:19:08

国民健康保険の出産育児一時金とは?

国民健康保険の被保険者が出産された場合には出産育児一時金が支給されます。出産は、病気ではないため、国民健康保険が使えません。そのため全額自己負担になってしまうため出産育児一時金が支給されます。

 

出産育児一時金の受取りはどうなるの?

育児一時金を受取る方法は3つあります。

 

①世帯主の口座に振込、②直接支払制度、③受取代理制度です。

 

①の場合は、医療機関に出産費用をご自分で支払っておいて、後から国民健康保険から受取るという方法になります。

 

直接支払制度や受取代理制度については、支払いのためのまとまった現金が不要になる制度です。以下をご覧ください。

 

直接支払制度とはどういうもの?

市区町村(国保)が医療機関等に直接支払います。
この直接支払制度により、出産にかかった費用から42万円を差し引いた金額を医療機関等に支払えば済むことになります。
請求手続は、分娩機関が代行するので被保険者側で市区町村への手続きは不要です。

 

なお、直接支払制度を実施していない分娩機関もありますので直接支払制度の利用を希望される場合は分娩機関に確認する必要があります。

 

差額がある場合には出産にかかった費用が42万円未満の場合は、申請すればその差額が支給されます。

 

受取代理制度とはどういうもの?

出産にかかった費用から42万円を差し引いた金額を分娩機関へ支払へば済むため直接支払制度とこの点は同じですが、受取代理制度は、事前に被保険者側で出産予定日まで2ヶ月以内となった後に受取代理申請書の提出が必要です。

 

また、導入する旨を厚生労働省に届け出た分娩機関等が対象となっていますので、あらかじめ確認する必要があります。
差額がある場合の手続きは不要で国民健康保険から支払われます。

 

出産育児一時金の申請手続きはどうすればいいの?

国民健康保険に加入しているところの保険者である各市町村役場に書類を提出をします。

 

申請に必要なものって何があるの?

(1)母子健康手帳(出生届出済証明を受けたもの)妊娠85日以上の死産・流産の場合は診断書
(2)国民健康保険証
(3)世帯主の認め印(スタンプ印不可)
(4)世帯主名義の口座番号
(5)医療機関の領収明細書
(6)医療機関で直接支払い制度を利用したか否かの合意文書

 

次にQ&Aをご覧ください。

出産育児一時金についての質疑応答

 

妊娠何日目以降の出産が対象になりますか?

妊娠85日以上が対象になります。

 

流産や死産した場合はどうなりますか?

流産や死産の場合でも妊娠85日以上であれば支給されます。

 

出産育児一時金はいくら支給されるのですか?

42万円支給されます。ただし、妊娠12週以上22週未満の方で、産科医療補償制度に加入していない医療機関で分娩された場合には40.4万円の支給としている市町村もあります。

 

ふたごでも同じ金額ですか?

出生児1人対し、42万円ですので、多胎の場合は、その人数分になります。ですので、ふたごの場合は84万円になります。

 

協会けんぽや健康保険組合では、出産のために仕事を休むと出産手当金がありますが、国民健康保険にはないのですか?

国民健康保険には、「出産手当金」という制度はありません。

 

協会けんぽや健康保険組合では海外での出産の場合には出産一時金額が違うようですが、国民健康保険にはないのですか?

国民健康保険では、各市区町村によって取り扱いが違っていて、一律出産一時金は42万円としている国保と海外での出産は39万円としている国保もあります。

 

申請は、いつでもできますか?

いいえ。出産後2年間までです。それ以降は時効により申請できなくなります。

出産が帝王切開の場合はどうなるの?

帝王切開でも出産一時金を受取ることができますが、帝王切開の場合には国民健康保険が使えます。ですので医療費については3割を自己負担します。

 

では、帝王切開手術だけの手術費はいくらになるのかということですが、これは診療報酬点数で決められています。2年に1度改正がありますが、平成26年度の診療報酬点数表では、帝王切開手術は以下のようなっています。

 

K898 帝王切開術

 

1 緊急帝王切開20,140点
2 選択帝王切開20,140点
3 前置胎盤を合併する場合又は32週未満の早産の場合21,640点

 

通知
「1」緊急帝王切開は、母体及び胎児の状況により緊急に帝王切開となった場合に算定する。
なお、「2」選択帝王切開を予定していた場合であっても、母体及び胎児の状態により緊急に帝王切開となった場合は「1」により算定する。また、前置胎盤を合併していた場合は、緊急に帝王切開となった場合でも「3」前置胎盤を合併する場合又は32週未満の早産の場合で算定する。

 

ところで診療報酬点数のことはご存じですか?診療報酬点数を料金に換算するには、1点を10円として計算します。

 

ですので、緊急帝王切開や選択帝王切開に該当する20,140点ならば201,400円になります。この3割分の60,420円が自己負担になるというわけです。

 

さらに帝王切開術費以外にも投薬料、処置料、検査料、入院料などもあります。

 

しかしながら医療費が高額になった場合は、高額療養費が使えますからそれを超えた分は払い戻されます。

 

高額療養費とは、医療費の自己負担額が高額になったとき申請をして認められれば、自己負担限度額を超えた分が高額療養費としてあとから払い戻される制度です。

 

でも、事前に「限度額適用」を申請をしておくことで後から払い戻されるのではなく、窓口負担を自己負担限度額までとすることができますのでこちらのほうが便利です。

 

結果としては、自然分娩よりも入院日数が多少長くなるので、その分出費が多くなるということは知っておいたよいでしょう。

帝王切開は生命保険から給付金は支払われるの?

保険会社の生命保険に付いている入院特約や医療保険に加入されている場合は、入院給付金の支払対象になりますので確認と請求が必要です。

 

給付金支払いが適用になる場合は、入院日数分と手術給付金が支払われます。

 

例えば、契約している医療保険が初日から支払われるもので、入院保障1日あたり5,000円、女性疾病5,000円、手術給付金10倍という医療保険に契約という場合。

 

出産で12日入院し、帝王切開であった場合
入院給付金:5,000円×12日分
女性疾病入院:5,000円×12日分
手術給付金:50,000円
給付金合計:17万円

 

ということになりますので自己負担分はまかなえることになります。また受取額については非課税で確定申告の必要もありません。

まとめ

出産育児一時金の金額は1児で42万円です。産科医療補償制度に加入していない医療機関で分娩された場合には40.4万円です。

 

手続きについては、加入者の各市町村役場に申請する必要があります。その際に受取る方法として、①世帯主の口座に振込、②直接支払制度、③受取代理制度の3つがあります。主流は②の直接支払制度になります。

 

帝王切開での出産は健康保険が使用できます。そのため医療費については自己負担3割ですみますが、自然分娩よりも入院日数は長くなるため自己負担費用についてはかさみます。

 

また、その際、医療費が高額になった時は「高額療養費制度」がありますので、超過した分は払い戻していただけますが、事前に医療費が高額になりそうなときは、限度額適用認定証の申請をしておくことで、ひと月分の医療費の支払いは自己負担限度額までとすることができます。

 

該当カテゴリー:健康保険
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