健康保険には法定準備金という積立額があります。なぜそのようにするのか、実際の積立額はどうなっているのか。その疑問点について解説します。
2015/07/14 14:19:14
法定準備金について
法定準備金とは、協会けんぽや健康保険組合等において、インフルエンザ等の疾病が流行したときなどの不測の事態に備えて法律で準備金を積立てるように義務付けています。これを法定準備金といいます。
健康保険法準備金については、「第百六十条の二 保険者は、政令で定めるところにより、健康保険事業に要する費用の支出に備えるため、毎事業年度末において、準備金を積み立てなければならない」とされています。
協会けんぽの準備金根拠法令
健康保険法及び健康保険法施行令において、毎事業年度末において、その年度と直前2事業年度内に行った保険と直前2事業年度内に行った保険給付費及び後期高齢者支援金等及び後期高齢者支援金等の平均の1か月分に相当する額月分に相当する額に達するまでは、その年度の剰余金を準備金として積み立てなければならないとされています。
健康保険組合の準備金根拠法令
「健康保険法施行令第四十六条2において、毎事業年度末において、当該事業年度 び 直前事業年度保険給 該事業年度及びその直前の二事業年度内において行った保険給付に要した費用の額の一事業年度当たりの平均額の十二分の三に相当する額に達するまでは、当該事業年度の剰余金の額を準備金として積み立てなければならないとされています」
また、保険給付に要した費用の額は保険給付に要した費用の額は、健康保険法施行令第健康保険法施行令第29条において「前期高齢者納付金等 前期高齢者納付金等、後期高齢者支援 後期高齢者支援金等及び日雇拠出金並びに介護納付金の納付に要した費用の額を含む。」とされています。
ですので、計算としては、直近の2年間の保険給付費と納付金額を合計します。
次に1年間の平均値を出します。最後は、その値を4で割った分を準備期として積立てるということになります。
では、実際のところは?
協会けんぽの準備金は必要とされる法定準備金を常に下回っている一方、健保組合の法定準備金は大幅に上回っているのが現状です。
出典:厚生労働省保健局(第75回社会保障審議会医療保険部会)
単位:億円
協会けんぽ準備金残高 | 協会けんぽが必要とされる法定準備金 | 健康保険組合準備金残高 | 健康保険組合の必要とされる法定準備金 | |
平成20年度 | 1539 | - | 4兆2155 | 1兆6261 |
平成21年度 | -3179 | 5752 | 3兆8809 | 1兆6467 |
平成22年度 | -638 | 5784 | 3兆5751 | 1兆6854 |
平成23年度 | 1951 | 5855 | 3兆3742 | 1兆7661 |
平成24年度 | 5054 | 6011 | 3兆2133 | 1兆8178 |
まとめ
法定準備金とは、協会けんぽや健康保険組合等において、インフルエンザ等の疾病が流行したときなどの不測の事態に備えて法律で準備金を積立てるように義務付けています。これを法定準備金といいます。
健康保険法準備金については、「第百六十条の二 保険者は、政令で定めるところにより、健康保険事業に要する費用の支出に備えるため、毎事業年度末において、準備金を積み立てなければならない」とされています。
以上、「健康保険の法定準備金ってなんのことですか?」についての解説でした。
該当カテゴリー:健康保険
関連カテゴリー:雇用保険(失業保険)、労災保険、生命保険