このページでは、損害保険会社が倒産(破産)た場合に補償や契約はどうなってしまうのかについて解説しています。

 

2015/05/30 22:21:30

損害保険会社の倒産(破産)の過去をふりかえる

過去におこった保険会社の倒産(破産)はほとんどが生命保険会社でした。
ご記憶にあるとは思いますが、日産生命(97年4月)にはじまり、東邦生命(99年6月)、第百生命(00年5月)、大正生命(00年8月)、千代田生命(00年10月)、協栄生命(同)、東京生命(01年3月)、大和生命(08年10月)というような生命保険会社が倒産(破産)してしまいました。

 

損害保険会社においては、戦後はじめて第一火災海上が、2000年5月1日に倒産(破綻)しました。その後2社目として大成火災海上が2001年11月22日に倒産(破綻)しています。

 

第一火災海上は、バブル経済の崩壊によって、顧客に約束した予定利率よりも運用利益が下回るという「逆ざや」が原因による倒産(破綻)でした。

 

大成火災海上については、逆ざやとは関係なく、2001年9月11に起きた米同時多発テロでの航空機向けの保険契約等の再保険※が原因です。当初予想を越える保険金支払いが744億円と急増。そのため398億円もの債務超過となり、更生特例法の適用を東京地裁に申請したという経緯でした。

 

※再保険とは、保険契約を引受ける際に、1社の元請けだけで保険金支払いをするのではなく、他の保険会社にも事故が起きた時に支払ってもらえるようにリスク分散しておくことをいいます。その際に、元請けの保険会社は再保険会社に保険料を支払い、再保険会社と契約を締結することになります。

 

契約については、第一火災海上の契約は「損害保険契約者保護機構」へ移転し、大成火災海上は損保ジャパンが買い取るという形式で合併して引き継がれました。旧大成火災契約の手続き

倒産後に考えられる契約の引き継ぎパターン

保険会社が倒産(破綻)したあとに、契約の引き継ぎは救済保険会社が現れる場合と現れない場合に分かれます。

 

救済保険会社が現れた場合は、損害保険契約者保護機構が資金援助等を行い移行がスムーズに引き継がれるように支援が行われます。

 

救済保険会社が現れない場合は、損害保険契約者保護機構が契約を引き継ぎます。この場合、その後に救済保険会社が現れた場合には引き継ぐこともあります。

 

ところで、気になる点は、事故が起きた時にちゃんと補償してもらえるのかという点だと思います。引き続き以下をご覧ください。

 

損害保険会社の倒産(破綻)後の契約について

日本国内において損害保険業を営む免許を受けた損害保険会社はすべて損害保険契約者保護機構に加盟しています。(JA共済や生協、都民・県民共済などは含まれません)そのため倒産(破綻)した場合には補償の対象となっています。

 

ただし、個人・小規模法人・マンション管理組合の契約に限ってという条件があります。

 

小規模法人とは、常時使用する従業員又は常時勤務する職員の数が20人以下の日本法人、もしくは、日本における営業所又は事務所を通じて保険契約が締結されている場合の外国法人をいいます。これ以外の法人契約は補償対象外になります。

 

そして、すべての契約が同じ補償割合ではなく、保険契約ごとに異なっています。以下をご覧ください。

 

 

倒産(破綻)後の保険金支払いについて

  1. 自賠責保険や地震保険は100%補償されます。
  2. 自動車保険、火災保険、賠償責任保険、動産総合保険などは倒産(破綻)後、3ヶ月間は100%補償。3ヶ月経過後は80%補償になります。
  3. 海外旅行傷害保険、傷害保険、所得補償保険、年金払型積立傷害保険等は90%補償となっていますが、高予定利率契約においては、さらに引下げがおこなわれます。高予定利率とは、過去5年間において、基準利率を常に超えていた契約をいいます。計算式=90%-(予定利率-基準利率)×5年分×1/2で計算されます。

 

倒産(破綻)後の解約返戻金・満期金について

  1. 自賠責保険や地震保険は100%補償されます。
  2. 自動車保険、火災保険、賠償責任保険、動産総合保険など80%補償になります。
  3. 海外旅行傷害保険、傷害保険、所得補償保険、年金払型積立傷害保険等は90%。ただし、保険期間が1年超の傷害保険や所得補償保険、医療 ・ 介護保険などで、積立型のものについては80%補償になります。

以上のように契約ごとに補償割合は異なっています。

 

損害保険会社の倒産(破綻)後のまとめ

損害保険会社が倒産(破綻)してしまった場合には、日本国内において損害保険業を営む免許を受けた損害保険会社はすべて損害保険契約者保護機構に加盟しているため、個人・小規模法人・マンション管理組合の契約に限っては補償されることになっています。

 

自賠責保険や地震保険は100%補償されますが、それ以外の契約においては保険契約ごとに補償割合は異なってきます。

 

以上、損害保険会社の倒産についての記事でしたが、生命保険会社が倒産した場合に保障はどうなるかについては以下の記事をご覧ください。
保険会社が倒産したら保障はどうなる。過去の事例から学ぶ

 

該当カテゴリー:自賠責保険
関連カテゴリー:自動車保険