このページでは自賠責保険の支払いに関係する高次脳機能障害についてについて解説しています。
2015/05/30 21:47:30
記事投稿者:Syu Hama
高次脳機能障害について
高次脳機能とは、脳は過去の記憶から知覚、記憶、判断、感情、想像を統合して、人格を作り上げます。この脳の働きが高次脳機能と呼ばれるものです。ですから、自賠責保険でいう高次脳機能障害とは、交通事故によって頭部に外傷を受け意識障害を起こし、認知機能障害や人格変性が生じた状態が高次脳機能障害です。
高次脳機能障害は、程度に応じて後遺障害等級が認められます。
等級・号 | 身体の状態 | 具体的目安 | 自賠責の保険金額 |
---|---|---|---|
第1級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの | 食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要するもの | 4,000万円 |
第2級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの | 食事・入浴・用便・更衣等に随時介護を要するもの | 3,000万円 |
第3級3号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの | 日時用生活動作に差支えもなく外出もできるが、就労ができない場合 | 2,219万円 |
第5級2号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 単純繰り返し作業などの軽易な労働しかできず頻繁な助言が必要となる場合 | 1,574万円 |
第7級4号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどから時々助言等が必要な場合 | 1,051万円 |
第9級10号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの | 一般就労はできるが、問題解決能力に障害が残り、作業効率や作業維持力に問題があるため、時々助言等が必要となるもの | 616万円 |
高次脳機能障害の損害項目と算定
損害項目には、治療費、入院雑費、休業損害、傷害慰謝料、後遺症慰謝料、逸失利益などもありますが、その他に高次脳機能障害によって、介護が必要となった場合の損害項目と算定方法が以下になります。
将来の介護費
寝たきりの状態では、一生涯介護が必要になるため、損害項目になります。
基準となる額は、「職業付添人は実質全額、近親者付添人は8,000円、但し、具体的看護の状況により増減することがある。」とされています。分割で支払われるものではなく一括一時金として支払われます。
基準となる額(介護費用の日額)×365日×生存可能期間に対するライプニッツ係数
将来の雑費
介護が必要となる場合に紙おむつ代、タオル、手袋などの雑費費用も損害項目に含まれます。
雑費の年額×生存可能期間に対するライプニッツ係数
装具・器具等購入費
義足、車いす、メガネ、介護ベッド
家屋・自動車等改造費
浴室やトイレの回収費用など
成年後見開始等の手続費用
被害者が寝たきりや正常な判断をできない場合に、本人に代わって成年後見人、保佐人または補助を専任する必要がある場合に相当な金額が損害として認められます。