交通事故による人身傷害を発生させたくないし、交通事故に巻き込まれたりしてケガをするのも嫌です。
しかしながら、時には避けられない事故もあります。このようなときに車の強制保険である自賠責保険から支払われるひとつに自賠責保険の慰謝料(いしゃりょう)があります。
ただし、単に慰謝料と言っても、状況によって次の3種類に分けられます。
- 傷害慰謝料(入院通院慰謝料)
- 後遺症(後遺障害)慰謝料
- 死亡慰謝料
以上の3種類です。これらについて解説します。
2017/11/21 13:55:21
自賠責保険の慰謝料とは
自賠責保険の慰謝料は、交通事故による精神的肉体的苦痛に対して支払われるものです。ただし冒頭でも申し上げましたが、慰謝料といってもひとつだけではありません。
自賠責保険の慰謝料
自賠責保険の慰謝料は、以下の3種類です。
- 傷害慰謝料(入院通院慰謝料)
- 後遺症(後遺障害)慰謝料
- 死亡慰謝料
自賠責保険の傷害慰謝料と計算方法
まず、自賠責保険の傷害慰謝料からご説明します。
自賠責保険の傷害慰謝料については自賠責算定基準では定額化されていて1日4,200円です。
計算方法は、「4,200円×実際の入通院日数」ではなく、以下のように2パターンがあります。
- ① 治療期間による計算(治療開始から治療終了までの期間)
- ② 実際の入院日数+通院日数×2による計算
この①、②のどちらか少ない方を採用します。
例えば、治療開始から治療終了まで200日間だったとします。
その中で実際の入院が80日、通院が50日であるならば、上記の計算方法にあてはめますと、
①治療期間200日
②実入通院(80+50)×2=260日
少ない方の200日を採用。
従って、自賠責保険の傷害慰謝料は、200日×4,200円=840,000円になります。
以上の計算から分かりますように、最高支払い日数は治療期間の半分となっているため、慰謝料を無理に増やす目的で毎日通院しても無駄になります。
自賠責基準の傷害慰謝料は、以上のように計算しますが、自賠責保険の傷害での限度額は治療費や休業損害等も含めて120万円です。
相手が、自動車保険に加入していれば、この120万円の限度を超えると任意保険の会社が査定する基準になります。また、裁判になった場合には、弁護士基準があります。
傷害慰謝料に限らず全ての慰謝料において、次のように支払査定額は右にいくほど高くなります。
自賠責基準→ 任意基準→ 裁判基準
自賠責保険の後遺障害慰謝料
後遺障(後遺障害)慰謝料は、後遺障害等級によって決まっています。
後遺症(後遺障害)慰謝料の表(単位:万円)
等級 |
自賠責基準 |
等級 |
自賠責基準 |
---|---|---|---|
第1級 |
1,100 |
第8級 |
324 |
第2級 |
958 |
第9級 |
245 |
第3級 |
829 |
第10級 |
187 |
第4級 |
712 |
第11級 |
135 |
第5級 |
599 |
第12級 |
93 |
第6級 |
498 |
第13級 |
57 |
第7級 |
409 |
第14級 |
32 |
自賠責保険の死亡慰謝料
死亡慰謝料は、被害者本人に対する慰謝料と遺族に対する慰謝料があります。遺族の慰謝料請求権者は、被害者の父母、配偶者及び子とされていて人数により金額が異なります。
- 被害者本人に対する慰謝料:350万円
- 請求権者1名の場合:550万円
- 請求権者2名の場合:650万円
- 請求権者3名以上の場合:750万円
なお、被害者に扶養家族がいるときは、さらに200万円が加算されます。
そのため、死亡慰謝料の上限額は本人の慰謝料分350万円と遺族に対する750万円、それに扶養家族分200万円の合計で350+750+200=1300万円が上限になります。
自賠責保険の慰謝料のまとめ
自賠責保険の慰謝料は3つに分けられます。
傷害慰謝料、後遺症(後遺障害)慰謝料、死亡慰謝料の3つです。
それぞれ慰謝料の計算方法があります。
傷害慰謝料については1日4,200円です。ただし、「4,200円×実際の入通院日数」ではなく、以下のように2種類あります。
- ①治療期間による計算(治療開始から治療終了までの期間)
- ②実際の入院日数+通院日数×2による計算
この①、②のどちらか少ない方を採用します。
後遺障害慰謝料は、第1級1,100万円、第2級958万円、・・・第14級32万円というように等級によって決まっています。
最後に死亡慰謝料ですが、被害者本人の慰謝料分350万円、請求権者1名の場合 550万円、請求権者2名の場合650万円、請求権者3名以上の場合750万円となっています。
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