共働きの場合に住宅ローンを借入れるにあたり、ひとりの名義でいいものか、それとも共有名義がいいのか?なんて、考える人は多いです。そういうときに関係してくるのが、ペアローンや収入合算になります。
どちらも似たような感はしますが、まったく内容は違っています。
この二つがどう違い、メリットは何でデメリットは何か、また、連帯保証人と連帯債務者についても解説します。最後までご覧ください。

 

2015/06/13 15:33:13

収入合算とペアローンとはどう違う

「気に入った家があるけど価格が高くて住宅ローンが組めない」「旦那ひとりだけの収入では住宅ローン融資は厳しいかも・・・」なんてよくある話しです。

 

こんな時は、「ペアローン」や「収入合算」という手があります。ですが、いくつか気をつける点がありますので記事にしてみました。

 

まず、ペアローンや収入合算といっても、どういう意味で、違いがどこにあるのかという点からご説明いたします。

 

ペアローンとは

ペアローンとは、夫婦それぞれの名義で住宅ローンの借入をして、夫、妻それぞれが返済をするものです。ですから登記も持ち分に見合ったものになり、住宅ローン控除もそれぞれが使えます。夫婦それぞれが連帯保証人になる。

 

収入合算とは

収入合算は、借主の年収だけでは借入金額が足りない場合に配偶者や親、兄弟などの収入を合算することで、借入金額を増やすことができる方法です。住宅ローンの名義人はひとりになります。夫が借主という場合で妻を収入合算者として加えた場合、妻は夫の連帯保証人になります。

 

収入合算の注意点として離婚問題があります。こちらについては離婚しても住宅ローンの連帯保証人は外れない。外すための3つの方法をお読みください。

 

ペアローンや収入合算にしての住宅ローンの借り入れ事例

例えば、夫の収入が400万円、妻の収入が300万円という場合。

 

返済期間35年、返済負担率35%、審査金利3.5%の場合では夫の収入だけですと借入限度額は、約2800万円ですが、収入合算やペアローンにすると、借入可能額は約4600万円まで引き上げることができます。

 

※審査金利とは、実際の適用金利ではなく、金融機関が審査するために用いる金利のことです。住宅ローンの金利が上がった場合でも返済比率内に収まる計画になるよう、「審査金利」が設けられています。審査金利を導入していない金融機関もあり、また審査金利は金融機関によって異なっています。

 

ちなみに収入合算者の収入加算額については、全額加えてよいところもありますし、1/2しか認めないところ、利用者の収入と同額までしか認めないというところもあり、それぞれの金融機関で違っています。

 

加えて、収入合算者として認められている人は1名を限度として、同居している子供や親などです。兄弟姉妹については同居なら認めている金融機関もありますので、収入合算できる対象者については各金融機関に確認する必要があります。

持ち分とはどういう関係があるの

物件の持ち分については銀行などの民間金融機関の住宅ローンとフラット35では取扱いが異なります。

 

収入合算の場合の持ち分はこうなる

夫が住宅ローンを組み、妻の収入を合算する場合。
この場合、妻の扱いが金融機関の「住宅ローン」と「フラット35」では異なってきます。

 

金融機関の住宅ローン

金融機関の住宅ローンを利用した場合は、妻は「連帯保証人」となり、持分はありません。
つまり、夫婦共有名義とはなりません。

 

もしも妻が頭金を負担した場合には、登記名義は「夫婦共有」となります。妻が拠出した割合に見合った分を登記します。たとえば3000万円の物件で妻が頭金のみ1000万円を拠出した場合には1/3が妻名義になります。

 

それを夫のみの名義で登記をした場合には妻から夫への贈与とみなされ、贈与税が課税されることもあります。

 

フラット35の場合

次に「フラット35」の場合ですが、妻は「連帯債務者」となり、妻が負担する金額を持分登記します。
「連帯保証人と連帯債務者」は似た言葉でややこしいですが、内容は違っているので注意が必要です。

 

妻が連帯保証人の場合

ローン契約者は夫で、夫の収入と妻の収入の合計で借りる。夫が返済する。妻は夫が返済できなくなった時に、返済の義務を負う

 

妻が連帯債務者の場合

ローン契約者は夫と妻で、夫と妻の合計収入で借りる。夫が2人分まとめて返済する。→妻は夫の返済能力に関わらず、返済の義務を負う

 

ペアローンの場合の持ち分はどうなる

ペアローンでは夫婦それぞれが負担する分が持ち分となります。
例えば、マイホームの取得費用が4000万円で夫の住宅ローンが2400万円、妻が1600万円の場合には、夫の持ち分は60%、妻は40%の持ち分です。

 

 

住宅ローン控除はどうなる

ペアローンの場合の住宅ローン控除については、夫、妻ともそれぞれが年末ローン残高の1%相当額の控除を受けることができます。収入合算については夫のみの名義でローン借入のため妻は控除は受けられません。

 

団体信用生命保険も関係してきます

ペアローンや収入合算でも団体信用生命保険は、銀行住宅ローンでは加入は必須になります。これに加入することで、住宅ローンの名義者が万一死亡したり、高度障害になってしまった場合は、残りの住宅ローンが全額免除されます。

 

収入合算の団体信用生命保険と問題点

収入合算として夫名義で住宅ローンを借り入れた場合で、夫に万一のことがあった場合、団体信用生命保険から保険金が支払われるため、妻はその後住宅ローンを支払わなくてすみます。

 

しかし、収入合算の場合には妻に万一のことがあった場合でも住宅ローンの免除はありません。

ここが問題になる点です。

 

収入合算の場合は、夫だけの収入では借入が難しいため収入合算してそれに見合った返済をしているわけです。つまり、妻に万が一のことがあり収入が途絶えると途端に負担率も跳ね上がり家計が苦しくなってしまいます。

 

ですからその対策のために妻の生命保険を検討しておく必要がありますが、2014年4月1日から18歳未満の子どもがいれば遺族基礎年金が夫にも支払われるようになりましたので必要ない場合もあります。
フラット35の場合では、夫婦で加入できる団体信用生命保険「デュエット」がありますので、どちらか一方に万一のことがあると、住宅ローンの残債すべてが免除されます。保険料は通常の1.5倍になりますので、この点がデメリットです。

 

ペアローンの団体信用生命保険のデメリット

夫婦それぞれが、団体信用生命保険に加入することになりますが、どちらか一方が亡くなった場合、亡くなった方のローンは免除されます。ですが、残された方のローンは残ります。この点がデメリットです。

ペアローンと収入合算のまとめ

ペアローンとは、夫婦それぞれが住宅ローンを借入れ返済を行うもので、夫婦それぞれが連帯保証人になります。そのため、夫、妻ともそれぞれが住宅ローン控除を受けることができます。

 

ペアローンの団体信用生命保険については、いずれかが亡くなった場合に、その亡くなった方のみの住宅ローンの支払いが不要になります。

 

収入合算とは、借主の収入だけでは不足する場合に妻や父母、兄弟などの収入を合算して住宅ローンを借入れるものです。契約者は借主一人になります。住宅ローン控除は借主のみが受けることができます。

 

また収入合算の場合の団体信用生命保険については、契約者が亡くなった場合には住宅ローンの支払いは不要になりますが、妻などの連帯保証人が亡くなっても、団体信用生命保険の被保険者ではないため、住宅ローンはそのまま支払っていきます。

 

最後に・・・
住宅ローンは申し込んでも審査があるのでお断りされてしまうこともあります。でもなんで審査が通らなかったのか金融機関は理由を教えてくれません。なので審査落ちだとガッカリするだけでなくスッキリしない感が残ります。
そこで、事前の対策として下の記事もご覧ください。

 

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