これから住宅ローンを借入れる方に知っておいてほしいこと。それは、住宅ローンには必ず団体信用生命への加入が必須になるという点です。裏を返せば、団体信用生命に加入できなければ借入れることができないのです。

 

それでは、その加入条件となる告知書とはどういうものなのか、ワイド団信とは、団体信用生命保険に加入できなかった場合の対処法について解説します。

 

2017/10/16 11:01:16

団体信用生命とは?

団体信用生命保険は、一般的な生命保険となんら変わりはありませんので、死亡や高度障害で保険金が支払われる生命保険です。

 

ただし契約形態のうち、受取人が異なっています。どのように異なっているのか。
生命保険は、妻や子どもなどの家族のどなたかを受取人に指定しますが、団体信用生命保険では住宅ローンの借入先である金融機関が受取人になります。

 

そのため住宅ローンの融資を受けている被保険者が死亡した時には、保険会社から金融機関にその保険金が支払われます。よってローンが完済となるのです。

 

それでは、その団体信用生命保険に加入するのにどのような条件があるのか見てみましょう。

 

団体信用生命に加入するための条件

団体信用生命保険(団信)に加入するためには条件があります。
その条件とは、病歴や現在の健康状態がどのような状況にあるのかについて告知することです。
な~んだ。と思われたでしょうが、団信は、住宅ローンの融資審査とは別になりますので、この点だけになります。

 

団信の契約が難しい思われる疾患とは

誰でもが団信の申込みをして契約できればいいですが、そうではありません。
やはり、契約を断られることがあります。

 

拒絶されると思われる疾患としては、

  • うつ病などの精神疾患
  • 糖尿病
  • 肝炎
  • 心臓系の疾患
  • ガン
  • 脳疾患
  • クローン病
  • 緑内障

などの疾患をお持ちの方です。特にガンや脳疾患、難病指定されている疾患は厳しいです。

 

どうして緑内障は加入が難しいのですか?

緑内障というのは失明の危険性がある病気です。団体信用生命保険は死亡だけでなく高度障害になったときでも保険金が支払われますが、高度障害に該当する条件のひとつに、「両眼の視力を全く永久に失ったもの」があります。このような点から加入が難しい病気になります。

 

上記のような病気ですと引受を断られる確率のほうが高いですが、引受診査をするのは保険会社ですからだめかどうかは申し込んでみて結果を見てみないとわかりません。

 

繰り返しになりますが、契約を引受するかどうか診査をするのは、銀行ではなく保険会社です。ただし、引受診査基準については各保険会社で異なっていますのでどこでも同じ結果になるとは限りません。

 

たとえば、血圧が高くて薬を飲んでいるだけの場合。
告知は必要ですが年齢に見合った数値の範囲内であれば診査がとおる確率は高いのです。

 

ただし、告知書に記載されている病気で3ヶ月以内に医師の診査を受けた場合はあらためて健康診断を受診して、その結果の通知書を提出して再度診査をすることもあります。

 

団体信用生命保険に断られたらどうしたらいいの

団体信用生命保険に申し込んだが引受不可となってしまう方もいます。
そうなると住宅ローン借入ができません。

 

では、どうすればいいのか。
金融機関でもアドバイスをされますが、引受緩和型の団体信用生命保険=ワイド団信がありますので、こちらに申込をする方法があります。

 

高血圧症、糖尿病、肝機能障害、うつ病、自律神経失調症などの病気ならば引受ていただける確率は高いです。

 

ただし、デメリットとして一般的に借入金利に0.3%(年利)の金利が上乗せされる点があります。
※ソニー銀行のワイド団信は0.2%(年利)上乗せとなっています。

 

団体信用生命がダメならフラット35を検討してみる

フラット35は団体信用生命保険に加入が必須ではありません。ですから団信加入の有無に関係なく申込はできます。

 

団信加入は必須ではありませんが、もしも高度障害や死亡したときには家族に住宅ローンが残ってしまうことになりますからこの点がデメリットです。

 

生命保険の契約があり、死亡した場合でも家族が住宅ローンを支払っていけ、なおかつ生活ができるのであれば、団信加入なしでのフラット35で検討する価値はあります。

 

平成29年10月1日申込受付分から制度改正により、フラット35は団信付きの住宅ローンになりました。ただし健康上の理由その他の事情で団体信用生命保険に加入されない場合でも利用はできます。

 

そのため今までのように保険料は年払いではなく、住宅ローンの返済金に含めて口座から毎月支払う方式になりました。商品としては、新機構団信と新3大疾病付機構団信の2種類です。

団体信用生命保険の告知書にはどんな質問事項があるの?

団体信用生命保険の告知書の質問事項は次のようになっています。
告知事項については3項目だけなので一般的な生命保険の告知書よりも質問は少ないですが、その3項目に該当する場合の引受診査基準については一般の生命保険と同じように厳しくなります。

 

  • 最近3ヵ月以内に医師の治療(指示・指導を含みます。)・投薬を受けたことがありますか。
  • 過去3年以内に下記の病気で、手術を受けたことまたは2週間以上にわたり医師の治療(指示・指導を含みます。)・投薬を受けたことがありますか。

 

  • 狭心症、心筋こうそく、心臓弁膜症、先天性心臓病、心筋症、高血圧症、 不整脈、その他心臓病
  • 脳卒中(脳出血・脳こうそく・くも膜下出血)、脳動脈硬化症、その他脳の病気
  • 精神病、うつ病、神経症、てんかん、自律神経失調症、アルコール依存症、薬物依存症 、知的障害、認知症
  • ぜんそく、慢性気管支炎、肺結核、肺気腫、気管支拡張症
  • 胃かいよう、十二指腸かいよう、かいよう性大腸炎、すい臓炎 、クローン病
  • 肝炎、肝硬変、肝機能障害
  • 腎炎、ネフローゼ、腎不全
  • 緑内障、網膜の病気、角膜の病気
  • ガン、肉腫、白血病、しゅよう、ポリープ
  • 糖尿病、リウマチ、こうげん病、貧血症、紫斑病
  • 子宮筋腫、 子宮内膜症、 乳腺症、 卵巣のう腫
  • 手・足の欠損または機能に障害がありますか。または、背骨(脊柱)・視力・聴力・言語・そしゃく機能に障害がありますか。

 

告知書に記入する上で気をつける点は、「2週間以上にわたり医師の治療(指示・指導を含みます。)・投薬を受けたことがありますか」という点です。連続でなくても2週間以上にわたり、記名されている病名に該当する場合には正確に記入する必要があります。

 

 

団信はどこの保険会社が引受するの

通常の団体信用生命保険は、保険会社が共同で引受けています。
共同で引受ける場合は、幹事会社をたて、他の引受生命保険会社の委任を受けて事務を行います。引受保険会社は引受割合に応じて契約上の権利を有し保険金支払等の義務を負います。

共同での引受生命保険会社の例

日本生命保険相互会社(事務幹事会社)、第一生命保険株式会社、明治安田生命保険相互会社、富国生命保険相互会社、住友生命保険相互会社

このように共同で団体信用生命保険を引受けています。

ワイド団信の引受の場合

また、ワイド団信という引受条件緩和型団体信用生命があります。こちらは、カーディフ生命やクレディ・アグリコル生命など外資系保険会社1社だけで引受けることもあります。

まとめ

団体信用生命保険の加入条件としては、健康状態がすべてといっても過言ではありません。いくら収入面や個人信用情報に問題がなくても、告知に傷病歴を記載してNGが出されては住宅ローンの融資は受けられません。
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