火災保険を掛けておけば火事や風災などで建物に被害があった場合に保険金は支払われます。しかし火災でも建物のほんの一部と家財が燃えるという場合もあります。
このような場合には、建物の被害額よりもタンスやテレビ、冷蔵庫、パソコン、電子レンジ、洗濯機などの家財の損害額のほうが大きいこともあります。でも、「まるごと火災保険から支払われるでしょ」と思われている方もいますが、そうではありません。なんと火災保険からは、家財の損害について支払われません。
・・・ということで、「家財保険(家財補償)」が存在しているのです。そこでこのページでは、家財保険の初心者向けに「家財に分類されるものとは?」「家財保険とはどういったときに支払われるのか?」「家財の保険金額設定の目安など」について紹介していますのでご覧ください。
火災保険と家財保険はどう違う
火災保険と家財保険はどこがどう違うのでしょうか。
火災保険は、建物を補償する保険なので家の中にある家財道具だけが燃えても保障されません。
たとえば、建物に損害がなくて、タンスやテレビ、パソコンが燃えたとします。
この場合には、火災保険だけに加入している方は、1円たりとも保険金は支払われません。
もしも家財保険(家財の補償)に加入しているならば、損害の査定によって保険金が支払われます。
反対に家財保険に入っていて火災保険に加入していなければ、建物に損害があっても保険金は支払われません。
そのため両方とも補償対象とするならば、「建物」と「家財」は別々に保険の対象として契約する必要があります。
賃貸にお住いになる方へ:建物の補償については大家さんが火災保険の契約をしていますので、お部屋を借りる人は、ご自分の家財補償と水漏れなどで階下の部屋などを棄損させた、自分の過失で建物を燃やしてしまった際などに大家さんに対しての損害賠償責任の補償のある家財保険を契約するのが一般的です。
※ 損害保険会社では、家財保険というジャンルでは販売していません。火災保険の中で、家財を補償対象に含めるかどうかという選択にしているためです。一般的には、戸建てや分譲マンションの火災保険の契約は、申込時に「建物のみ補償」、「家財のみ補償」、「建物・家財の両方の補償」の選択となっています
家財とはどういうもの?
家財とは、テレビ、冷蔵庫、パソコン、電子レンジ、洗濯機、こたつ、箪笥、ベッド、テーブル、机、衣類、仏壇、扇風機などをいいます。
エアコンは家財ではなく火災保険で補償されます。
自動車は家財ではありません。また、火災保険でも補償されません。自動車が燃えた場合には、自動車保険の車両保険に加入していないと補償されません。
賃貸マンション専用の家財保険は、家財の補償だけではなく、借家人賠償責任補償や個人賠償責任補償を合わせた3点セットになっているものになります。詳しくは、下記の項目で取り上げています。
30万円を超える貴金属や宝石は別途明記が必要になる
家財でも30万円を超える貴金属や宝石、絵画、骨董品などがありますが、これらについては、明記物件といって別途明記する必要があるので契約時に申出します。
さらに100万円を超えるものは1個1組100万円が限度となっていますので、別途特約等で手配する必要があります。※100万円までのものは特に明記しなくても補償される火災保険もあります。
家財の保険金額の目安はどのくらい?
家財保険の目安額を設定するにあたっては2つの方法があります。
ひとつは、保険会社が定めた「評価基準」によって求める方法。
もうひとつは、家財の金額をひとつずつ確認することによって見積もる「積算基準」で補償額を求めるという方法です。
一般的には、「評価基準」について見積もりますが、「評価基準」にも、「専有面積と所有や賃貸」によって目安額を定めている保険会社と「家族構成と世帯主の年齢」で目安を決めている会社があります。
専有面積を使用した場合の評価目安例(単位万円)
~33m2未満 | 33~66m2未満 | 66~99m2未満 | 99~132m2未満 | 132m2以上~ | |
所 有 | 570 | 940 | 1,190 | 1,550 | 1,890 |
賃 貸 | 340 | 630 | 880 | 1,130 | 1,390 |
家族構成を目安にした家財の保険金
セゾン火災の事例(平成28年4月現在)
家族構成 |
2名 |
3名 |
4名 |
5名 |
|
---|---|---|---|---|---|
世帯主の年齢
|
25歳前後 | 560万円 |
640万円 |
720万円 |
830万円 |
30歳前後 | 760万円 |
860万円 |
920万円 |
1,020万円 |
|
35歳前後 | 1,070万円 |
1,170万円 |
1,230万円 |
1,350万円 |
|
40歳前後 | 1,300万円 |
1,400万円 |
1,490万円 |
1,590万円 |
|
45歳前後 | 1,490万円 |
1,590万円 |
1,650万円 |
1,760万円 |
|
50歳前後 | 1,580万円 |
1,670万円 |
1,730万円 |
1,850万円 |
家財の保険金が支払われる事故
家財保険では、以下の項目に対しての事故で保険金が支払われます。
- 火災
- 落雷
- 破裂
- 爆発
- 風災、雹災、雪災
- 物体の飛来・衝突・落下
- 盗難
- 通貨等の盗難
- デモに伴う破壊行為等
- 給排水設備の水漏れによる家財の損害
火災で建物だけでなく、家財も焼けたという場合や消火活動で水浸しになってしまったという場合も補償されます。
他に、落雷でテレビやパソコンが壊れたとか、風災で屋根が飛んで家財が水濡れしてしまった、現金が盗難にあったなども家財保険では補償されます。
家財保険金が支払われないケース
保険金が支払わえないケースもあります。以下の場合は支払われません。
- 契約者、被保険者の故意、重大な過失、または法令違反
- 戦争、武力の行使、革命、政権奪取
- 地震、噴火、津波
- 核燃料物質による事故
- 家財が屋外にある間き生じた事故
- 家財の自然損耗など
自然損耗とは、長年使用していて壊れたということになり、補償されません。
どのようなことで家財の被害が想定されるの?
主に以下の事故等での支払いが想定されます。
- 落雷により、過電流でパソコンが故障
- 貴金属が盗難
- 現金の盗難(補償の上限があります。)
- 土砂災害であらゆる生活用品が汚損や破壊
- 消火活動の際の水濡れにより家電が使用不能になる
- タバコの不始末で絨毯を焼失
賃貸住まいの家財保険とは?
賃貸住まいの場合は、建物は大家さんのものになりますから大家さんが火災保険を掛けています。
そのため、中身の家財道具については、自分のものなので、自分で家財保険を掛ける必要があります。といってもほとんどは、入居契約の際に、不動産屋から勧められるので加入していると思いますが・・。
もちろん必ずしもそこで契約しなくてはいけないものでもありませんが、そこでの契約が当たり前みたいない雰囲気と他で探す手間もあるため、そこでの契約が一般的かと思います。
さて、本題の賃貸の家財保険ですが、賃貸の場合は、いままで説明してきた家財保険に大家さんの損害賠償や第三者への賠償が関係してくるので、これらの補償もつけてあるものになります。つまり、賃貸の家財保険とは次の3つの補償がセットになったものになります。
- 家財の補償
- 借家人賠償責任補償
- 個人賠償責任補償
借家人賠償責任補償とは、大家さんへの賠償保障です。自分の過失で建物を燃やしてしまったときに備えての補償です。
個人賠償は、第3者への補償です。他人にケガをさせたり、他人のモノを壊してしまったときに備えての補償です。たとえば、お風呂の水を出したままで階下に漏水させてしまい電気器具など使えなくしてしまった場合などを補償してくれます。
賃貸に家財保険についてはこちらの賃貸の家財保険とは?保険料の目安は?をご覧ください。
地震保険は家財にもある
家財にも地震補償をつけることができます。
地震保険だけで契約はできませんので、「家財保険+家財地震保険」になります。地震に加入すればその分保険料負担も増しますので、万が一のことを考えるにしても悩むところではあります。
どんな時に地震保険は役立つの?
地震で建物に被害がなくても家財が損壊や損傷した場合。
このような場合、建物には損害がないので火災保険や建物の地震保険からは一円も支払われません。ですが、家財地震保険に加入している場合には、以下のように被害で支払われます。
- 家財の損害額が家財の時価額の80%以上になった場合は地震保険金の100%支払い。
- 家財の損害額が家財の時価額の60%以上80%未満の場合は地震保険金60%支払い。
- 家財の損害額が家財の時価額の30%以上60%未満であれば地震保険金の30%
- 一部損(家財の時価額の10%以上30%未満の損害)は地震保険金の5%
が支払われます。
建物も含めると下記の表のようにご自分で想定するリスク区分に応じて、A、B、C、D、と6つのパターンで契約することができます。
火災保険 | 火災保険+地震保険 | |
建物 | A | B |
家財 | C | D |
建物と家財 | E | F |
「F」が建物や家財の火災から地震まですべて補償されることになります。
〈家財と地震保険の関連ページ〉
家財の地震保険に加入するに前に知っておきたい損害査定や地震保険料のこと
まとめ
家財とは、テレビや冷蔵庫、パソコン、電子レンジ、洗濯機、こたつ、箪笥、ベッド、テーブル、机、衣類などをいい、これらに補償をつけるのが家財保険です。
支払われる事故として火災や落雷、破裂、爆発、風災、雹災、雪災、物体の飛来・衝突・落下、盗難、通貨等の盗難、デモに伴う破壊行為等、給排水設備の水漏れによる家財の損害があります。
一方、支払われない主なケースとしては、契約者、被保険者の故意、重大な過失、または法令違反、戦争、武力の行使、革命、政権奪取、地震、噴火、津波、核燃料物質による事故、家財が屋外にある間き生じた事故、家財の自然損耗などになります。
そして家財にも地震保険があります。
支払われる金額
- 家財の損害額が家財の時価額の80%以上になった場合は地震保険金の100%支払い。
- 家財の損害額が家財の時価額の60%以上80%未満の場合は地震保険金60%支払い。
- 家財の損害額が家財の時価額の30%以上60%未満であれば地震保険金の30%
- 一部損(家財の時価額の10%以上30%未満の損害)は地震保険金の5%
以上、「火災保険と家財保険の違いとは?」についての記事でした。
「関連ページ」
家財保険の保険料についてはこちらの家財保険って必要?保険料の相場は?をご覧ください。
家財保険でノートパソコンやテレビの落雷故障は補償されるの?
関連カテゴリー:地震保険