はじめて火災保険に加入される方は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。そしてどのような点について検討すべきなのかについて7つ取りあげています。この7つにそって行えばスムーズに選ぶことができます。

 

2018/10/04 10:29:04

火災保険の選び方1、補償範囲はどうされますか?

まずは、火災保険の選びで大切なのは「補償範囲」についてです。
補償範囲とは、どのような場合にどこまで補償してもらうのかをいいます。

 

火災保険の補償といっても火災や落雷だけではありません。他に水災や建物外部からの物体の落下・飛来・衝突・倒壊等もあります。

 

当然、補償範囲を狭めればそれに見合って保険料も安くなります。ですが、いざ災害が起こり補償されなかったのでは、なんのための火災保険だったのかとなってしまいます。ですから、まずは、この補償についてしっかりと考える必要があります。

 

補償プランを見てみましょう

保険会社によって名称等は異なっていますが、あらかじめいくつかの補償プランが用意されています。

 

  • ○:補償されます
  • △:補償を外すことができます
  • ×:補償されません

 

東京海上日動の補償プラン

補償内容

おすすめ補償タイプ

充実タイプ

スタンダードタイプ

マンション向けタイプ

①火災
②落雷
③破裂・爆発

④風災・雹(ひょう)災・雪災

⑤水災

⑥盗難
⑦水濡(ぬ)れ
⑧建物の外部からの物体の衝突
⑨労働争議等に伴う破壊行為 等

⑩上記以外の偶然な事故による破損等

 

朝日火災の補償プラン

プラン

ワイド

べーシック

エコノミ-

フリー

①火災
②落雷
③破裂・爆発

④風災・雹(ひょう)災・雪災

⑤水災

⑥建物外部からの物体の落下・飛来・衝突・倒壊等

⑦給排水設備・他人の戸室で生じた事故による水濡れ

⑧騒擾(じょう)、集団行動、労働争議に伴う暴力・破壊行為

 

⑨盗難による窃取・損傷・汚損

⑩ 不測かつ突発的な事故(破損・汚損)

東京海上と朝日火災の違いですが、東京海上ではマンション向け以外では水災補償は外すことができませんが、朝日火災では外すことができます。水災補償の保険料は高いので外すことでかなり安くなりますが、以下の注意が必要です。

 

プラン選びでの注意事項

火災保険の保険料の安い順からいけば、朝日火災では、エコノミープラン ⇒ ベーシックプラン ⇒ ワイドプランになります。

 

しかしながら、水災補償がないと、台風や暴風雨、集中豪雨などで洪水や落石などの水災によって建物が被害を受けても保険金は支払われません。

 

ですから、ご自分の住まいが、低地にあるのか、裏に山やがけをしょっているのか等をハザードマップ等で確認して選ぶ必要があります。

ポイント2、数社の見積もりは取りましたか?

一戸建て、あるいは分譲マンションにしても火災保険料を知るためには見積もりが必要です。
見積もりを取るには、延べ床面積、マンションなら専有面積、建物の構造等(耐火建築物や木造等)の情報が必要ですからこれらがわかるものをあらかじめ用意しておきましょう。

 

オンラインで見積もりができる会社の紹介

各リンクは公式サイト火災保険のページにつながります。オンラインで見積もればおおよその保険料がすぐにわかります。

 

  1. 朝日火災
  2. セゾン火災
  3. セコム損保の火災保険
  4. 損保ジャパン日本興亜
  5. 日新火災
  6. ジェイアイ損害保険

 

複数社の火災保険を一括見積もり

ひとつずつ見積もるのが面倒な方は、一括で見積もりが請求できるサイトがあります。

 

【インズウェブ火災保険一括見積もりサービス】

 

≪関連記事≫
こちらの火災保険の見積もりをして実際に保険料を算出してみた結果火災保険の見積もりに必要な情報には何があるの記事もあります。

 

 

ポイント3、火災保険だけいいの?地震保険はどうされますか?

火災保険のことだけでなく検討すべきものに地震保険があります。
火災保険では、地震での損害は補償されないからです。

 

地震保険は火災保険とセットでないと契約できません。

 

分譲マンションにおいては、管理組合が共有部分に火災保険や地震保険にも加入する場合があります。ですので、所有者は専有部分に火災保険や地震保険、あるいは家財保険、家財の地震保険を検討します。

 

なぜ地震保険を検討する必要があるの?

火災保険だけでは、地震が原因で建物が壊れたり、噴火、津波の被害によるものは補償されないからです。

 

また地震による火災も補償されません。たとえば、地震で隣家が倒壊した後に火事が起き、延焼により自分の家も燃えたという場合などは火災保険からは支払われません。

 

そこで、地震保険について考える必要があります。
ただし地震保険は建物を復旧するための保険ではなく、地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的としていますので火災保険金額の30~50%の範囲となっている点に注意が必要です。

 

例えば、2,000万円の火災保険に加入したならば、地震保険は600万円から1,000万円の範囲で加入できます。家財保険に1,000万円加入したならば、家財に対する地震補償として300万円~500万円の範囲で加入できます。

 

地震保険の特長

地震保険の特長をご紹介します。

 

  • 地震保険は火災保険の契約がないと加入できません。また、火災保険と同じ会社で加入することになります。
  • 通常は、火災保険の保険金額の半分が地震保険の上限になります。ただし、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度です。
  • 建物のある所在地によって保険料が違う
  • 建物の構造により保険料は違う
  • 耐震建築物等は割引があります

 

地震保険は建物のある所在地によって保険料は違う

地震保険は建物のある所在地によって保険料は違っています。
地震保険は建物のある所在地によって保険料は違っていますが、どこの保険会社で契約しても保険料に変わりはありません。

 

(2017年1月1日以降の契約:保険金額100万円あたり1年間につき)

 都道府県名

イ構造

ロ構造 

北海道

810円

1,530円

青森県

810円

1,530円

岩手県

680円

1,140円

宮城県

950円

1,840円

秋田県

680円

1,140円

山形県

680円

1,140円

福島県

740円

1,490円

茨城県

1,350円

2,790円

栃木県

680円

1,140円

群馬県

680円

1,140円

埼玉県

1,560円

2,790円

千葉県

2,250円

3,630円

東京都

2,250円

3,630円

神奈川県

2,250円

3,630円

新潟県

810円

1,530円

富山県

680円

1,140円

石川県

680円

1,140円

福井県

680円

1,140円

山梨県

950円

1,840円

長野県

680円

1,140円

岐阜県

810円

1,530円

静岡県

2,250円

3,630円

愛知県

1,710円

2,890円

三重県

1,710円

2,890円

滋賀県

680円

1,140円

京都府

810円

1,530円

大阪府

1,320円

2,380円

兵庫県

810円

1,530円

奈良県

810円

1,530円

和歌山県

1,710円

2,890円

鳥取県

680円

1,140円

島根県

680円

1,140円

岡山県

680円

1,140円

広島県

680円

1,140円

山口県

680円

1,140円

徳島県

1,350円

3,190円

香川県

950円

1,840円

愛媛県

1,200円

2,380円

高知県

1,350円

3,190円

福岡県

680円

1,140円

佐賀県

680円

1,140円

熊本県

680円

1,140円

大分県

950円

1,840円

宮崎県

950円

1,840円

鹿児島県

680円

1,140円

沖縄県

950円

1,840円

 

たとえば、東京においての地震保険料は、地震保険金額100万円あたり、イ構造(耐火構造)では2,250円、ロ構造(非耐火)なら3,630円です。

 

これが、山口県なら地震保険金額100万円あたり、イ構造(耐火構造)は680円、ロ構造(非耐火)なら1,140円ですから、同じ保険金でも3倍弱の違いがでてきます。

 

このようにお住いの都道府県によって地震保険料は違ってきます。

 

建物のイ構造やロ構造についての説明

建物は構造によって「イ構造」と「ロ構造」に分類されます。

 

イ構造

住宅物件は、M構造、T構造、A構造、B構造、店舗などは特級構造、1級構造または2級構造が該当します。
M構造は、コンクリート造の共同住宅、T構造1級はコンクリート造の戸建住宅(耐火建築物) など。T構造2級は鉄骨造の戸建住宅(準耐火建築物)、省令準耐火建物に該当するツーバイフォー住宅など。A構造、B構造は、旧構造級別の名称であり、現行においてはM構造、T構造に該当します。

 

ロ構造

※ 耐震等級を有している建物や免震建築物等は、確認資料を提出することで割引が適用になります。

ポイント4、家財保険はどうされますか?

火災保険で知っておかなければいけないことのひとつに、火災保険は建物の火災や落雷、破裂・爆発等について補償されています。この太字の「建物」というところがポイントになります。

 

つまり、家の中にある家財道具の損害については補償されません。

 

家財道具とは、家の中にあるテレビやパソコン、洋服タンス、冷蔵庫、洗濯機、洋服、アクセサリーなどです。これらが燃えただけでは火災保険からの支払いはありません。

 

建物自体はたいした被害がなくても家財の被害が大きいこともあります。
そこで、このような場合に備えて家財保険があります。

 

火災保険+家財保険で契約すれば申し分ないですが、火災保険に加えて家財保険も掛けるとなると保険料負担も増えますからこの点も含めて検討する必要があります。

 

家財保険についてはこちらの家財保険って必要?保険料はいくらくらいなの?家財保険でノートパソコンやテレビの落雷故障は補償されるの?火災保険だけでは家財の補償はされないの?もご覧ください。

ポイント5、補償期間と払込方法はどうされますか?

火災保険の補償期間は、基本は1年間です。その後は自動更新となっています。
ただし、1年間ではなく、もっと長く契約をすることもできます。また、払込方法も年払いだけでなく、一括払いもできます。

 

たとえば、補償期間を10年とし、払込方法を一括払いにするなどです。以前は35年一括払いができてたいへんお安く契約することができましたが、低金利の影響で取り扱いがなくなっています。

 

それでも、補償期間を長くして一括払いにすることで保険料が割引になりますから1年更新よりもお得にはなります。

 

割引率は各保険会社によって違っています。そのため、年払いではA社が安いとしても10年払いとなるとB社のほうが安くなることもあります。以下の事例をご覧ください。

 

例)東京都の分譲マンションで火災保険金2,000万円

  • 東京海上日動:保険期間1年の保険料13,140円、10年一括払い102,260円
  • 朝日火災:保険期間1年の保険料13,000円、10年一括払い106,600円

 

このように長期の保険期間を選ばれる方はこの点も含めて検討する必要があります。

ポイント6、自動セットの補償は比較はされましたか?

火災保険には、損害保険金以外にも、自動でセットされ様々な費用を支払うものがあります。たとえば、残存物取片づけ費用です。

 

火災事故が起き、その後、新たに建物を建築する場合には、燃えた建物等の残存物を片づける必要があります。これにも費用はかかります。

 

この費用を支払うのが残存物取片づけ費用です。もしもいくつか比較して同じ保険料水準であるならば、これらの費用も支払われるのか確認してみる必要があります。

ポイント7、免責金額はどうされますか?

火災保険の契約は、保険会社によっては基本補償や風災リスク等に免責金額をつけることができます。この免責をつけることで保険料を抑えることができます。

 

例:セコム損保の火災保険、建物補償額1,300万円、1年契約の場合

 

  • 免責なし:年払い8,770円
  • 風災・雹(ひょう)災・雪災にだけ免責金額「10万円」:年払い7,570円

 

※ 免責をつけることで、損害額(修理費)-免責金額(自己負担額)=支払われる保険金となります。

 

割引制度を含めて検討する

火災保険の簡易な見積もりだけでは、実際の保険料はわかりません。
なぜかといいますと、火災保険には割引制度があるのが一般的ですが、簡易見積もりでは割引を適用していない場合があるからです。そして、割引制度は保険会社によって違っています。

 

たとえば、セコム火災保険には「ホームセキュリティ割引」、「オール電化住宅割引」や「建物築浅割引」があります。

 

この中の建物築浅割引ですが、セコムでは建物の築年数が10年以内なら割引が受けられますが、損保ジャパン日本興亜の「新築割引」は、建物の新築年月から11ヵ月後の月末までの建物となっています。

 

また、東京海上日動にも「築浅割引」がありますが、こちらは、セコムとほぼ同じで築年数が10年未満である場合には適用されます。

 

朝日火災やセゾン火災保険には、このような割引制度はありません。
以上のように保険会社によって割引制度が違っていることと、似た名称であっても内容は違っていることを知っておきましょう。

火災保険選びで知っておきたい用語集

火災保険となれば損害保険会社です。そこで各社のホームページを見てみると聞きなれない用語がたくさん出てきます。ということで、まずは、火災保険の選択する前に主だった用語について学んでおきましょう。

 

用語

説明

再調達価額 同等のものを再築・再購入するのに必要な金額をいいます。
時価額 使用期間や経過年数などに応じた消耗分を差し引いた金額をいいます。
価額協定保険特約 建物復旧の有無にかかわらず、契約した金額を限度として損害額の全額を支払う特約をいいます。
費用保険金 損害保険金とは別に支払う保険金をいいます。緊急時仮住まい費用や残存物取り片付け費用など。
失火責任法 失火の責任に関する法律により失火元に重過失がある場合を除いて賠償請求はできない法律です。つまり、隣家からのもらい火事でも重過失がある場合を除いては相手に損害賠償はできないということです。
明記物件 貴金属や宝石、書画、骨董(こっとう)、彫刻物その他の美術品で、1個または1組の価額が保険会社指定の金額を超えるものをいいます。
建物の全損 建物の主要構造部の損害の額が、その建物の時価の50%以上になった場合。または床面積の焼失等が、その建物の延床面積の70%以上になった場合をいいます。
建物の半損 建物の主要構造部の損害の額が、その建物の時価の20%以上50%未満になった場合。または床面積の焼失等が、その建物の延床面積の%以上50%未満になった場合をいいます。
建物の一部損 建物の主要構造部の損害の額が、その建物の時価の3%以上20%未満になった場合をいいます。

火災保険選びのまとめ

最後にまとめてみました。

 

《1、補償範囲》
火災保険を選ぶにあたり、どこまで補償してもらうのか補償範囲を考える必要があります。
補償といっても火災や落雷だけでなく、水災や建物外部からの物体の落下・飛来・衝突・倒壊等もあるからです。マンションで高層階に部屋があるならば水災補償を外すことで保険料を安くすることができます。

 

《2、保険料を比較するための見積もり》
特定の保険会社が決まっていればいいですが、そうでない場合には、保険料を比べてみないとどこの火災保険がいいのか選択できません。そのためには見積もりが必要になりますが、インターネット上でできる保険会社とできない保険会社があります。いずれもその際に専有面積や建物の構造の情報が必要です。

 

《3、地震保険はどうする?》
火災保険だけでは、地震が原因で建物が壊れたり、噴火、津波の被害によるものは補償されません。また地震による火災も補償されません。そこで、地震保険はどうしたらいいのか考える必要があります。

 

《4、家財はどうする?》
火災保険は建物の火災や落雷、破裂・爆発等の補償です。そのため、家財道具の損害については補償されていません。そのため家財保険がありますが、契約に含めるかどうか検討する必要があります。

 

《5、保険期間はどうする?》
保険期間を長くして一括払いにすると保険料が割引になりますからかお得になります。

 

《6、自動セットの補償を比較】
火災保険には、損害保険金以外にも、自動でセットされ様々な費用を支払うものがあります。これらの比較も大切です。

 

《7、免責金額はどうする》
火災保険の契約は、保険会社によっては基本補償や風災リスク等に免責金額をつけることができます。この免責をつけることで保険料を抑えることができます。

 

《8、割引制度を含めて検討する》
火災保険には割引制度があるのが一般的ですが、簡易見積もりでは割引を適用していない場合があるので、割引制度を含めて検討する必要があります。

 

以上です。

 

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