火災現場

マイホームを購入した、賃貸マンション・アパートを借りたなどの時に必ずといっていいほど契約をするのが火災保険や家財保険です。

 

すでに契約をされたことのある方は、内容について理解されているでしょうが、初めて契約される方にとっては具体的にはどのような保険なのかわからないかと思います。そこで火災保険についてなるべくわかりやすく解説してまとめてみましたのご覧ください。


 

2017/02/08 11:27:08

火災保険とは

火災保険とは、損害保険のひとつになりますが、火災などによって建物自体が損傷したり、建物の中にある家具などに損害を受けたときに補償をしてくれる保険をいいます。

 

建物の中にある家具や什器(じゅうき)のことを「動産」といいますが、火災保険に加入しただけではこれらは補償対象とはなりません。別途、動産(家財)を対象として契約をする必要があります。

 

一般的に損害保険会社では、家財については、賃貸向けにおいては「家財保険」という名称を用いていますが、持ち家や分譲マンションにおいては、火災保険の一部として家財を補償対象に加えるかどうかの形式で販売しています。

 

そのため東京海上日動や損保ジャパン日本興亜等では「家財保険」と検索してもそのものはでてきません。

 

また、火災保険は、地震による原因で火災が起こった場合も補償されません。やはり別途「地震保険」に加入する必要があります。

 

つまり火災保険を契約するときには、火災保険の他に、家財の補償はどうするのか、地震保険はどうすのか、地震保険に加入するならば、建物だけにするのか、あるいは家財にも地震補償をするのか考えて選択する必要があります。

 

火災保険は火災事故のときだけ保険金が支払われるわけではない

火災保険に加入されたことがない方でも建物に火災事故が起こったときに補償をしてくれることは想像がつくとは思いますが、火災保険の補償はそれだけではありません。以下のような場合で被害にあっても補償してくれます。

 

  • 落雷
  • 破裂・爆発
  • 雪・風・ひょう
  • 水漏れ
  • 水災
  • 衝突
  • 盗難
  • 騒擾(そうじょう)

 

さらに上記の事故の他に「費用保険金」として支払われる保険金があります。
各火災保険によって費用保険金の内容や名称は異なっています。

 

  • 臨時費用保険金:家が燃えてしまったときに発生する宿泊費や交通費などのために支払われる
  • 残存物取片付け費用保険金:燃え残った建物の片づけにかかる費用のために支払われる
  • 地震火災費用保険金(地震保険から支払われる保険金とは異なります):建物が地震による火災で燃えてしまったときに発生する臨時費用について支払われる

 

火災保険の保険金はこのような災害や事故で支払われます

落雷によって屋根が燃えた。全焼した。
落雷によってパソコンが壊れた(家財を補償対象としている場合)
プロパンガス漏れにより爆発した。
台風で屋根が飛ばされた。
大風により雨どいが壊れた。
雪の重みで雨どいが壊れた。
雪によってカーポートが倒壊した。
竜巻によって家が倒壊した。
トイレの排水管が壊れ被害がでた。
家の中まで水がきた。
増水により家全体が流された。
隕石によって屋根に穴があいた。
自動車にブロック塀が壊され当て逃げされた。

火災保険と貰(もらい)い火の関係

隣の家からの不注意による出火で自分の家が火事になることもあります。その逆もありますが、このような場合に火災保険との関係はどうなっているのでしょうか。

 

結論から言いますと、一般的には出火元の人は賠償責任を負いません。

 

失火ノ責任ニ関スル法律というのがあり、「民法709条ノ規定ハ失火ノ場合ニ適用セス但シ失火者ニ重大ナ過失アリタルトキハ此ノ限リニアラス」となっているからです。

 

ただしここに書かれているように「重大な過失がある場合には該当しない」となっていますから、重大な過失にあたる場合は、損害賠償を請求できます。

 

でも重大な過失があるかどうかの判断は折り合いがつかなければ裁判所に仰ぐしかありませんから、賠償してもらうまでには相当の年月がかかってしまいます。

 

なので火災保険に加入しているならば、そちらに請求行動をとるのが一般的になります。
「火災保険と貰い火」については、こちらの弁護士ページ(外部サイト)がよくわかります。

 

火災保険と年末調整の関係

結論から言いますと、火災保険は、年末調整には関係がありません。いくらたくさんの保険料を支払っていても控除がありませんから関係ありません。

 

ただし、地震保険に加入している方は、「地震保険料控除」が使えますので、地震保険料控除証明書を添付して控除を受けることができます。

 

詳しくは、こちらの地震保険料の控除について知っておきたいポイントをご覧ください。

 

火災保険はどこで加入できるの?

火災保険を販売しているのは、損害保険会社と共済になります。

 

損害保険での火災保険は、各保険会社の代理店を通して契約する方法とインターネットで契約する方法があります。

 

共済は、JA共済や国民共済、都道府県民共済などが火災保険を販売し、店舗窓口や郵送にて契約ができます。

 

火災保険や地震保険料は建物の構造等によって違っています

火災保険料や地震保険料は、以下の要因によって違ってきます。

 

  • 建物の構造
  • 建物の所在地
  • 建物の占有面積
  • 建物の建築年月
  • 払込方法

 

建物の構造とは?

火災保険では、建物の構造は3つに分類されています。

  1. コンクリート造り、レンガ・石造、耐火建築物・・・M構造
  2. 鉄骨造り、準耐火建築物、省令準耐火建物・・・T構造
  3. 上記以外(木造建築など)・・・H構造

 

保険料はM構造が一番安くなります。建物構造による保険料の違いを朝日火災のネットでできる試算を使って比較してみました。下記の保険料は、「水災なし」で見積もっています。

 

東京都にある100㎡の戸建てのM構造・コンクリート造りの保険料

建物火災・地震、家財火災、家財地震の保険料を合計すると45,050円(年間)になります。
画像はクリックすると大きくなります。

 

M造の火災保険料

 

東京都にある100㎡の戸建てH構造・木造の保険料

H構造においては、建物火災・地震、家財火災、家財地震の保険料を合計すると51,820円(年間)です。
M造の火災保険料

 

このようにM構造とH構造では保険金額が大きく違っていてもM構造のほうが安くなります。

 

火災保険の保険料を安くする方法

火災保険や地震保険の保険料を安くする方法として、5年や10年分を一括して支払う方法がありますが、年払いでも安くできる方法があります。

 

長期契約といって5年や10年の契約にして保険料は「年払い」することでも割引が使えます。

 

先ほどの朝日火災の試算でH構造の場合は合計で年間51,820円でした。

 

木造の火災保険料

 

これを5年契約の長期年払にすると下記のように合計で年間50,410の保険料になりますので少しお安くなります。地震保険料は変わりません。

 

木造の火災保険料・長期年払い

 

保険料を安くする二つ目の方法

火災保険の保険金が支払われる補償に「水災」がありますが、地域的に水災と縁がない場所や階にあるならば、水災の補償を削ることにより保険料を減らすことができます。

 

水災があるとないとではどのくらい保険料が違ってくるのか試算してみました。
H構造(木造等)の保険料です。

 

水災なし
5年の長期契約・年間51,820円
水災なし火災保険料

 

水災あり
5年の長期契約・年間65,710円
水災ありの火災保険料

 

このように水災があるとないのでは、年間で13,890円の差があります。

 

 

火災保険と住宅ローンの関係

住宅ローンを借入れたときに銀行から火災保険の契約を求められることがあります。

 

ただし必ず火災保険の契約はそこで行う必要がありません。住宅ローンとセットで火災保険の販売はできないからです。

 

以前は、銀行では、火災保険に質権設定をしていて、その建物が火災等で焼失してしまったときにその保険金で住宅ローン返済にあてる方法をとっていましたが、近年はそのようなことは見かけません。

 

たしかに火災保険に入る入らないは任意ですが、貰い火などで建物が燃えてなくなってしまったのに住宅ローンだけが残るのは悲惨です。なので住宅ローンを借入したならば火災保険の加入は必須といえるでしょう。

 

まとめ

火災保険とは、火災などによって建物自体が損傷したり、建物の中にある家具などに損害を受けたときに補償をしてくれる保険をいいます。

 

火災保険から支払われる事故は火災の他、落雷、雪災、風災、ひょう災、水災、衝突などがあります。
火災保険料や地震保険料は、建物の構造、所在地、占有面積、建築年月日などで違ってきます。

 

隣家からの貰い火は、重大な過失がない限り、賠償請求はできませんので自分の火災保険に請求することになります。

 

以上、「火災保険とは?初心者のためにわかりやすく解説しました」でした。

 

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