このページでは、母子家庭(シングルマザー)や父子家庭、いわゆるひとり親家庭の住宅手当や家賃補助、住宅ローンについて解説します。
2015/06/02 19:54:02
母子家庭の住宅手当・家賃補助について
母子家庭の住宅手当は市によっては母子家庭家賃補助という名称を使っているところもあります。
この母子家庭の住宅手当は、国の制度としては存在していません。
全国でも限られた市区町村でおこなっている制度です。そのため金額等は一律ではなく様々です。そのため、ここに掲載しているのは代表的な母子家庭の住宅手当ですのでご了承ください。
母子家庭の住宅手当の目的
この手当の目的は、民間アパートに居住する母子家庭等に対し、家賃の一部を補助することにより経済的負担を軽減するためのものです。
住宅手当を受取れる要件
要件は各市町村ごとに違っていますが、主に以下の要件になります。
- 母子家庭でも20歳未満の児童を養育している。
- 市内の民間アパートに居住し、その住所地に住民票がある
- 市内に6ヶ月以上住んでいる
- 母及び扶養義務者の前年の所得が、児童扶養手当の所得制限限度額に満たない
- 生活保護を受けていない
主な要件は以上です。
支給される住宅手当の金額
母子家庭の住宅手当の制度がある主だった市を調べてみました。
平成27年4月現在の住宅手当額です。月額あたりの金額です。
- 東京都東久留米市 3,500円
- 東京都東村山市 5,000円
- 東京都武蔵野市 10,000円
- 東京都国立市 家賃の3分の1の額で月額1万円まで
- 千葉県君津市 5,000円が限度
- 千葉県浦安市 1万5000円が限度
- 埼玉県蕨市 家賃1万円以上3万円未満は6,000円、家賃3万円以上6万円以下は1万円
- 神奈川県海老名市 家賃の額により3,000円から7,000円まで
- 神奈川県厚木市 家賃額に応じ1,300円~1万円
- 神奈川県大和市 最大1万円
- 神奈川県鎌倉市 月額家賃から15,000円を控除した額。ただし、8,000円が限度
- 茨城県石岡市 家賃月額から勤務先の住宅手当を引いた額。ただし、月額上限は 2万円
- 富山県富山市 家賃月額から勤務先より支給される住宅手当を控除した額(家賃-住宅手当)、1万円が限度
- 山形県遊佐町 家賃月額の1/4の額(100円未満の端数を切り捨て)、10,000円を上限
- 島根県浜田市 最大2万円
母子家庭・シングルマザーと住宅ローンについて
母子家庭であっても特別な住宅ローンがあるわけではありません。
母子家庭・シングルマザーということよりも、年齢や完済年齢、正社員なのか派遣社員なのか、勤続年数はどのくらいなのか、収入はどのくらいあるのか、他に借入があるのかなどが審査の対象になってきます。
ですので、他の方との融資条件も金利もなんら変わりがありません。
ただし収入合算が使えないので住宅ローンはひとりの収入で申込むことになるという点がありますので融資額は限られてしまいます。
銀行がいうところの収入基準
下記の銀行においての収入基準は以下のとおりです 。
- イオン銀行:継続安定した収入が見込める方で給与所得者ならびに会社経営者は前年度年収100万円以上
- りそな銀行:前年の税込年収が100万円以上の方
住信SBIネット銀行のように収入制限のない銀行もあります。こちらでは安定かつ継続した収入があることとされています。
イオンやりそな銀行、住信SBIなら収入が100万円でも申し込みは可能ではありますが、ほぼ審査は通りません。理由は収入ではありません。返済負担率になります。
年間返済額÷年収で算出し%で表します。
収入が300万円で年間150万円の返済額だとすれば返済負担率は50%です。これでは融資は受けられません。
では年間返済額が90万円だとすればどうでしょうか?
返済負担率は30%です。
年収の高い方の一応上限の目安は35%ですが、他の審査要件も加わってきますのでトータルで審査されることになります。
ここで疑問がでてきませんか。
返済負担率を計算するにあたり、返済額は金利で変わってきますが、はたして変動型と固定金利のどちらを採用するのかという疑問。
審査金利は銀行によって次のように3パターンあるというのが答えになります。(出所:2015年住宅金融支援機構・民間住宅ローンの貸出動向調査結果より)
- 審査金利により返済負担率を計算(42%の金融機関が採用)
- 貸出金利により返済負担率を計算(31.3%の金融機関が採用)
- 案件により異なる(26.7%の金融機関が採用)
審査金利がある金融機関はたとえ変動金利が0.8%だとしても審査する金利が3%となるため返済負担率が変わってきます。
たとえば、年収400万円の方が、変動金利0.8%で返済期間30年、借入額2000万円の住宅ローンを申込むとします。実際の返済額は、年間約75万円(毎月62,507円)になります。
返済負担率は、75万円÷400万円=約19%です。
この負担率なら問題無いですが、審査金利を採用している銀行で審査金利が3%でしたらどうなるでしょうか。
3%で計算すると、年間返済額が100万円になります。
100万円400万円=25%まで上がります。これでも問題はないですが、年収がもう少ない方ではさらに上がってしまい目安上限を超えてしまう場合もあります。
このように審査金利を採用している金融機関と採用のない金融機関では返済負担率が違ってくるこになります。
※審査金利を採用しているかどうか銀行は公表していません。また審査金利は銀行によって違っています。
返済負担率で勘違いしてはいけない点
返済負担率が30%で住宅ローン融資を受けられたとしても、「完済まで返済できるでしょう」というお墨付きを銀行が与えているわけではありません。
そこには、これから教育費がかかる家庭だとか、子どもの人数までを考えて融資をしてるわけではないからです。
とりあえずはこのくらいの返済負担率や職業からみると返済は問題ないでしょうというくらいなものです。
実際には融資審査というのは、銀行独自で行なっているところもありますが、ほとんどは保証会社で審査を行っています。
独自に審査を行っている金融機関は26%で、保証会社31.2%、一部保証会社に委託20.5%、案件により異なる22.4%となっています。(出所:2015年住宅金融支援機構・民間住宅ローンの貸出動向調査結果より)
なぜかといいますと、保証会社を利用している銀行では、もし顧客が途中でローン返済ができなくなっても銀行は保証会社から返済してもらえます。今度は、代わりに保証会社が顧客に請求するという流れになるからです。銀行は損をしない仕組みになっています。
住宅ローンが払えなくなったらどうなるのかについては、こちらの住宅ローンが払えない場合どうなるの?を読んでください。
ですから返済負担率というのは、いま現在における目安であり、将来かかる教育費などをひっくるめて融資はしていない点に注意しましょう。
住宅ローンに申し込むと審査される項目
審査項目は主に以下のものになります。
- 完済時年齢
- 借入れ時年齢
- 返済負担率
- 勤続年数
- 年収
- 担保評価
- 健康状態
- 融資可能額
- 連帯保証
- 他の債務の状況や返済履歴
住宅金融支援機構の民間住宅ローンの貸出動向調査2014年版によりますと、重要度が増している考えられる審査項目は、次のようになっています。
- 返済負担率
- 職種・勤務先・雇用形態
- 借入比率(借入額/担保価値)
- 借入者の社会属性
- 預貯金や資産の保有状況
- 返済途上での返済能力の変化
住宅ローンを借入れるのにほんとたくさんの審査を受け合格しないといけないというのがよくわりますね。
関連記事に「住宅ローンの審査について知っておきたいポイント」がありますので合わせてご覧ください。
母子家庭で住宅ローンを成功させるためのヒント
ここからは住宅ローン融資を成功させるさせるためのヒントについて解説していきます。
自分の信用情報を把握してみる
住宅ローンの審査を受けてみようかと思っているけど、ローン返済遅延や履歴などに不安がある場合には、まずは信用情報機関で自分の信用情報を把握してみるのが一番です。
信用情報には氏名、生年月日などの本人を特定するための情報、クレジットやローンなどの契約内容、返済・支払状況、取引事実に関する情報が記載されています。
いずれにしても、あなたが住宅ローンを申しこめば銀行も信用情報機関で確認します。この中にリボ払いや分割払いでの返済遅延、スマートフォンの購入代金未払いがあったりするとほぼアウトです。返済に対してルーズとみなされてしまうためです。
このような点について事前に知って対策を立てるためにしておいてほしいです。
もちろん信用情報について自信のある方は不要です。
信用情報はどうやって調べるの?
自分の信用情報はどうやって調べるのかといいますと、主だった信用情報機関がありますからそこに申込めば1,000円かかりますが確認することができます。
スマホからも申込み手続きは可能です。
株式会社日本信用情報機構(JICC)
株式会社シー・アイ・シー(CIC)
全国銀行個人信用情報センター
信用情報開示報告書のみかた
頭金を多めに用意する
頭金があれば返済負担率も下げることができますし、銀行からの信頼もまったく違ってきます。ですので頭金をなるべく多く用意するように努めておくべきです。
新築住宅やマンションにこだわらない
新築住宅や新築マンションは新しいので魅力的ではありますが、その分値段が高くなります。高くなるということは住宅ローン融資額も増えるため、おのずと返済負担率も上がってしまいます。
ですので住宅ローンを少なくするには「中古物件」にすれば、返済負担率を下げることで住宅ローンも通りやすくなります。
他にも親から住宅購入資金を一部贈与してもらい返済負担率を下げるという方法も考えられます。
母子家庭の住宅手当についてのまとめ
母子家庭の住宅手当や家賃補助は限られた市区町村で行っている制度です。
この制度があるところでは、概ね毎月1万円を上限として補助しています。
ただし要件として、20歳未満の子を養育しているなどや年収基準、あるいは市内の民間アパートに居住しその住所地に住民票があるなどがあります。この点も市区町村によって違いますので各自でご確認ください。
母子家庭の住宅ローンについては、母子家庭だからといって審査基準が変わるわけではありません。
やはり収入のみならず返済負担率が大事な点であり、それだけでなく完済時年齢、借入れ時年齢、勤続年数、他の債務の状況や返済履歴なども関係してきます。
以上母子家庭の住宅手当や住宅ローンについてでした。