業務災害や通勤途上でケガや病気をした場合の労災保険。その手続き方法と手順ついて解説します。

 

2015/06/03 09:27:03

労災の業務災害と通勤災害の療養給付とは?

療養給付とは現金で支給されるものではなく、病院での治療が無料で受けられる現物給付のことをいいます。
そして、原因により2つの名称が用いられます。

 

ひとつは、労働者が業務が原因となって発生した災害(ケガや病気)によって療養を必要とする場合には療養補償給付といいます。そして、もうひとつは、通勤途上でケガや病気にかかって療養を必要とする場合を療養給付といいます。

 

労災保険保険からの給付は以下のようにすべて、「補償」という漢字がつく給付は労災保険の業務災害の給付をいい、「補償」という文字が付かないのが通勤災害の給付になります。

労働災害による給付 通勤災害による給付
休業補償給付 休業給付
遺族補償年金 遺族年金
介護補償給付 介護給付

労災保険の治療費は無料です

業務上や通勤でケガや病気をした労働者が、労災保険病院や労災保険指定病院等において治療する場合は、無料で必要な治療などを受けることができます。ただし、通勤災害の場合は、初診時に被災労働者が一部負担(200円)を支払う必要があります。

 

労災保険指定病院等以外において治療の場合

業務上や通勤でケガや病気をした労働者が、労災保険指定病院等以外において治療する場合は、「療養の費用」として、それに要した費用を労働者本人が一旦病院に全額支払い、その後所轄労働基準監督署に請求し現金で受取ることになります。

 

労災保険指定病院はこちらのサイトで検索できます。

 

 

労災保険の手続きと支給の流れ

以下の手続きと支給の流れになります。

 

労災保険病院や労災保険指定病院等の場合の療養の給付請求書

労災保険病院の場合は、現物給付ですので、治療費を支払う必要がありません。

 

  • 業務災害の場合の書類:事業主の署名のある療養補償給付たる療養の給付請求書(様式第5号)を提出。
  • 通勤災害の場合:療養給付たる療養の給付請求書(様式第16号の3)を提出します。

書類のイメージ画像
こちらは労災保険病院への提出する場合の通勤災害用の書式の画像です。

 

通勤災害で労災保険病院や労災保険指定病院等への提出書類表面

 

通勤災害で労災保険病院や労災保険指定病院等への提出書類裏面

 

 

上記書類はこちら厚生労働省のホームページからダウンロードできます。

 

次の項目は「労災指定病院での手続きの流れ」についてです。

労災保険病院や指定病院での手続きの流れ

説明と下記画像をあわせてご覧ください。

 

  1. 傷病労働者が事業主の署名のある療養の給付請求書を労災保険病院や労災保険指定病院に提出します。
  2. 受領した労災保険病院や労災保険指定病院はレセプト審査のため労働局に提出します。
  3. 労働局から写しを労働基準監督署に届け、診療費のデータを厚生労働省に送信します。
  4. 厚生労働省から労災保険病院や労災保険指定病院に診療費が支払われます。

労災保険指定病院の手続きの流れ

 

 

労災指定病院以外の場合の手続きと給付請求書について

被災労働者がその療養に要した費用を全額支払う必要がありますが、その後にその費用は現金給付で支給されます。

 

事業主及び、医師に署名のある用紙を所轄の労働基準監督署に提出します。

 

  • 業務災害の場合:療養補償給付たる療養の費用請求書(様式第7号(1)
  • 通勤災害の場合:療養給付たる療養の費用請求書(様式第16号の5(1)

労災保険指定病院以外の請求書

 

労災保険指定病院以外の請求書裏面

 

上記書類はこちら厚生労働省のホームページからダウンロードできます。

 

労災保険病院以外の場合の手続きの流れ

説明と労災保険病院以外の診療費の流れの画像をあわせてご覧ください。

 

  1. 傷病労働者は病院に診療費を全額立替えて支払います。
  2. その後、傷病労働者は事業主及び、医師に署名のある用紙を所轄の労働基準監督署に提出します。
  3. 労働基準監督署から厚生労働省に診療費データを送信します。
  4. 厚生労働省から傷病労働者に診療費が支払われます。

労災保険指定病院以外の手続きの流れ

 

療養の給付の治療範囲等について

療養の給付は、以下の治療等が範囲になってきます。

 

  • 診察
  • 薬剤又は治療材料の支給
  • 処置又は手術などの治療
  • 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護 (訪問看護)
  • 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
  • 移送

 

治療の期間に限りがありますか?

いいえ。療養の給付は、傷病が治癒(ちゆ)し療養を必要としなくなるまでです。治癒とは、症状が残っていてもそれが安定して治療の効果が期待できなくなった状態をいいます。したがって、必ずしも元の身体状態に回復した場合だけをいうものではありません。

 

一度治癒して、その後再び傷病が悪化し、再発した場合どうなるの?

その場合でも、再び、療養の給付を受けることができます。この点が労災保険保険の大きなメリットです。

 

労災保険の手続き療養給付のまとめ

業務災害や通勤災害で病気やケガをした場合には、労災保険が適用になります。
労働者が業務が原因となって発生した災害(ケガや病気)によって療養を必要とする場合には療養補償給付といいます。

 

そして、通勤災害でのケガや病気の療養を「療養給付」といいます。
どちらも労災保険病院および労災保険指定病院での治療を受ける場合には無料で受けることができます。

 

ただし、通勤災害の場合は、初診時に被災労働者が一部負担(200円)を支払う必要があります。
労災保険指定病院以外での治療を受けた場合は、一旦被災した労働者自身が立替えて支払う必要がありますが、その後に労働基準監督署に請求し現金で受取ることになります。

 

以上、「労災手続きの流れと療養補償給付の請求書ダウンロード先」についての記事でした。

 

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