一人親方労災について知っておくべき全項目まとめ

一人親方労災について
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一人親方や中小事業主及びその家族従事者、自営業者等の労災保険の特別加入について。その内容と手続き方法について解説します。

 

 

2015/06/19 10:11:19

一人親方の特別加入とはどういうもの?

労災保険は、本来労働者に対して、業務や通勤での災害に対して補償を行う制度のため、社長や役員は加入対象外になっています。

 

ですが、労働者に準じて保護するのが適当であると認められている方については、特別に任意加入できることになっています。

 

これが労災保険の「特別加入制度」です。
適当であると認められている方々とはどういう人なのか気になりますよね。そこで次の項目をご覧ください。

 

特別加入者の範囲に該当する方々

特別加入できる方は、以下の方々です。

 

  • 中小事業主及びその家族従事者等
  • 一人親方及びその他の自営業者等
  • 海外派遣者等
  • 特定作業従事者

以下、詳細をご覧ください。

 

中小事業主及びその家族従事者

下表に定める数以下の労働者を常時使用する事業主、事業主の家族従事者や役員が特別加入の対象となります。ですから社長や役員だからといって加入できないわけでもありません。

 

中小事業主と認められる規模
業種 労働者数
金融業、保険業、不動産業、小売業 50人以下
卸売業、サービス業 100人以下
上記以外の業種 300人以下

 

※継続して労働者を使用していない場合であっても、1年間に100日以上にわたり労働者を使用している場合には、常時労働者を使用しているものとして取り扱われます。

 

中小事業主等の特別加入の手続きについて

中小事業主等に該当する方が特別加入するためには、以下の要件を満たすことが必要です。

 

  • 労働保険関係が成立していること
  • 労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること

以上が加入要件になっていますので、直接、労働基準監督署に特別加入申請書を提出するのではなく、労働保険事務組合を通して、労働基準監督署に特別加入申請書を提出することになります。

一人親方及びその他の自営業者等の特別加入

労働者を使用しないで事業を行うことを常態とする一人親方その他の自営業者及びその事業に従事する方で、なおかつ下記の事業を行う方が特別加入できます。

 

  • 自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業・・・個人タクシー業者や個人貨物運送業者など
  • 建設の事業・・・大工、左官、とびの方など
  • 漁船による水産動植物の採捕の事業・・・漁船に乗り組んでその事業を行う方に限ります。
  • 林業の事業・・・植林や伐採などをする人
  • 医薬品の配置販売(薬事法第30条の許可を受けて行う医薬品の配置販売業をいいます。)の事業・・・置き薬を販売している人
  • 再生利用の目的となる廃棄物等の収集、運搬、選別、解体等の事業・・・廃品回収業者
  • 船員法第1条に規定する船員が行う事業

 

一人親方等の特別加入の手続きについて

一人親方等としての加入要件を満たす方が特別加入する場合には、一人親方の団体に加入する必要があります。その団体を通して、所轄の労働基準監督署に届け出て承認を得る必要があります。

 

海外派遣者の特別加入

  • 独立行政法人 国際協力機構等開発途上地域に対する技術協力の実施の事業を行う団体から派遣されて、開発途上地域で行われている事業に従事する方
  • 日本国内で行われる事業から派遣されて、海外支店、工場、現場、現地法人、海外の提携先企業等で行われる事業に従事する労働者
  • 日本国内で行われる事業から派遣されて、海外にある下表に定める数以下の労働者を常時使用する事業に従事する事業主及びその他労働者以外の方

※ いずれも有期の事業は除きます。

 

海外派遣者の特別加入手続きについて

派遣元の団体又は事業主は、所轄の労働基準監督署に「特別加入申請書」を提出します。

特定作業従事者の特別加入について

以下の作業に従事する方々は、特定作業従事者といい、労災保険への特別加入が認められています。

 

  • 特定農作業従事者」・・・サイロ、むろ等の酸素欠乏危険場所における作業や牛、馬、豚に接触し、又は接触するおそれのある作業する方等
  • 「指定農業機械作業従事者」・・・農業用トラクターやコンバインその他の自走式収穫用機械を使用する方
  • 「国又は地方公共団体が実施する訓練従事者」
  • 「家内労働者及びその補助者」・・・プレス機械、型付け機、型打ち機などを使用する方
  • 「労働組合等の常勤役員」
  • 「介護作業従事者」・・・入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活の世話、機能訓練又は看護に係る作業を行う方

 

特定作業従事者の特別加入手続きについて

特定作業従事者としての加入要件を満たす方が特別加入する場合は、特定作業従事者の団体(JAや農業従事者労災保険加入組合等)に加入して特別加入の申請をすることになります。

 

特別加入の労災保険料について

特別加入者の労災保険料については、給付基礎日額に365を乗じたもの、これを保険料算定基礎額といますが、これにそれぞれの事業に定められた保険料率を乗じたものとなります。

 

一人親方は、保険料算定基礎額については算定に基礎となる給料がないため、保険料算定基礎額は自分で決め、それを労働局長が承認するという流れになります。なお給付基礎日額は3,500円から25,000円まで16段階あります。

 

なお、次の場合には当該年度内の特別加入月数に応じた保険料算定基礎額により保険料を算出することとなります。
※1ヵ月未満の端数があるときには、1ヵ月とします。

  • 年度途中に加入し、新たに特別加入者となった場合
  • 脱会により特別加入者でなくなった場合

 

下記の表は、平成27年4月1日現在の特別加入者の労災保険料の早見表です。
給付基礎日額保険料表

 

特別加入者の<a href=

 

労働保険事務組合とは

労働保険事務組合とは、厚生労働大臣の認可を受けた事業主団体等であり、事業主から委託を受けて労働保険の保険料の申告・納付等の労働保険事務を行います。事業主としては、事務処理の負担軽減がはかれるメリットがあります。

 

労働保険事務組合は平成25年3月末現在、全国に9900あり以下のような種類別になっています。

 

事業協同組合:1,307
商工会議所:478
商工会:1,648
商店街振興組合:44
小売酒販組合:28
生活衛生同業組合:100
その他の団体:6,310

 

委託でおこなっていただける事務の範囲

 

  • 概算保険料、確定保険料その他労働保険料と一般拠出金及びこれに係る徴収金の申告、納付
  • 雇用保険の被保険者資格の取得及び喪失の届出、被保険者の転入及び転出の届出その他雇用保険の被保険者に関する届出等に関する手続
  • 保険関係成立届、雇用保険の事業所設置届等の提出に関する手続
  • 労災保険の特別加入申請、変更届、脱退申請等に関する手続
  • 労働保険事務処理の委託、委託解除に関する手続
  • その他労働保険の適用徴収に係る申請、届出、報告等に関する手続

 

委託手数料等がかかります

委託手数料等については、入会金、事務手数料、その他手続きの都度発生する手数料などがありますが、各労働保険事務組合によって異なっています。

 

例:委託手数料)

被保険者数 委託手数料
1人~4人 4,000円
5人~15人 6,000円
16人~30人 10,000円
31人~50人 15,000円
51人~100人 20,000円
101人~200人 30,000円
201人~300人 50,000円

 

一般の労災保険適用労働者と特別加入者の違い

労災保険特別加入者も一般の労災保険適用労働者と同様に給付を受けることができますが、以下のようにいくつかの点で違っています。

 

業務災害・通勤災害の認定方法が違う

特別加入者の業務作業の内容は、他人からの指揮命令系統で決まるものよりも、自身の判断によって業務作業が行われることが多いため業務作業の範囲を確定することが困難です。
そのため、特別加入者の業務災害・通勤災害の認定は、特別加入申請書に記載された業務作業の内容を基礎として、厚生労働省労働基準局長が定める基準によって認定が行われます。

 

通勤災害の不適用があります

以下に掲げる者は、通勤災害は適用されません。

 

  • 一人親方で自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送事業を行う者・・・個人タクシー、個人貨物運送業者
  • 漁船による水産動植物の採捕の事業を行う方
  • 特定農作業従事者
  • 家内労働者及びその補助者

 

特別支給金の不支給もあります

特別加入者には、賞与等の特別加入がないため、ボーナス特別支給金である以下のものは支給されません。

 

  • 傷病特別年金
  • 障害特別年金・障害特別一時金
  • 障害特別年金差額一時金
  • 遺族特別年金
  • 遺族特別一時金

※ 休業特別、障害特別、遺族特別、傷病特別支給金は支給されます。

 

休業給付・休業補償給付には要件なし

一般の労災保険適用労働者は、休業給付・休業補償給付を受ける要件に、「賃金を受けないこと」がありますが、特別加入者には適用されません。

 

保険料滞納中の事故のときの徴収

特別加入者の保険料滞納中の事故については、保険給付の全部または一部の支給制限が行われるため、事業主からの費用の徴収は行われません。

一人親方労災のまとめ

労災保険は、本来労働者に対して、業務や通勤での災害に対して補償を行う制度のため、社長や役員は加入対象外になっています。

 

ですが、労働者に準じて保護するのが適当であると認められている方については、特別に任意加入できることになっています。これが労災保険の「特別加入制度」です。

 

労災保険に特別加入できるのは、中小事業主及びその家族従事者等、一人親方及びその他の自営業者等、海外派遣者等、特定作業従事者となっています。

 

手続きについては、費用がかかりますが、労働保険事務組合や一人親方の団体を通して手続きを行う必要があります。

 

該当カテゴリー:労災保険
関連カテゴリー:雇用保険(失業保険)健康保険

 

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