犬や猫も病気やケガをします。ペットは口がきけませんので、そのときの状態によっては動物病院で治療をしてもらうのが一般的です。治療費については、人ならば、健康保険を使って診察をしていただけますが、ペットでは利用できませんから全額自己負担になります。こんなときにペット保険(少額短期保険)に加入していれば、自己負担を軽減できる点にメリットがあります。もちろんデメリットもあります。そこで、ペット保険(少額短期保険)とはどういった保険なのかについて解説します。
参考文献先:日本少額短期保険協会、日本損害保険協会、金融庁
2017/10/23 15:22:23
ペット保険やペット少額短期保険とは
一般的にペット保険やペット少額短期保険とは、犬や猫が通院、入院、あるいは手術のために動物病院へ支払った治療費のうち、50%、あるいは70%という割合で保険会社から保険金が支払れる保険をいいます。
一緒に生活しているペットも人間と同じように、病気にかかったりケガをします。病気やケガの種類によっては、思わぬ高額治療や長期治療が必要になることも…。あなたの大切なペットの万が一の病気やケガに備える。それがペット保険です。アクサダイレクト
つまり「人」が加入する日本の健康保険制度と似ています。
我々は、医療機関の窓口で支払う自己負担額は、10%~30%の範囲です。残りは、医療機関がレセプトをまとめて社会保険支払基金や国民健康保険団体連合会へ請求します。そうすることによって残りの医療費が医療機関に支払われています。
ペット保険や少額短期保険においては、請求先が社会保険支払基金や国民健康保険団体連合会ではなく保険会社に変わるだけです。
ペット保険の支払い事例
例えば、動物病院の窓口で治療費として20万円を支払った場合。
支払い割合が50%のペット保険ならば、自己負担は10万円です。残りの10万円は保険会社から支払われます。70%ならば、自己負担は6万円です。残りの14万円は保険会社から支払われます。ペット保険や少額短期保険はこのような仕組みになっています。
ペット保険の支払いは、治療費が対象になっていますから、予防費用やシャンプー代金などは対象外となります。
ペット保険と少額短期保険の主な違い
ここでは、ペット保険とペット少額短期保険のおおまかな違いについて解説します。
保険会社と少額短期保険というくくりで商品内容を比較してみましても、特別大きな違いはありません。
少額短期保険業者とは、事業の規模が比較的小さく、保険金額が少額かつ保険期間が短期の保険のみを取扱うことが認められている業者のことをいいます。日本損害保険協会
比較項目 |
ペット保険 |
ペット少額短期保険 |
---|---|---|
登録 | 金融庁による免許制 | 財務局による登録制 |
資本金 | 最低10億円 | 1,000万円(供託金) |
資産運用 | 原則自由 | 預貯金(外貨建を除く。)・国債・地方債等に限定 |
保護 | 保護機構に加入義務あり | なし |
商品 | 限定なし |
少額、短期、掛捨に限定 |
販売会社 |
|
|
ペット保険と保険会社が販売している医療保険との違い
上の項目で説明しましたように、ペット保険は健康保険制度と似ています。
では、もうひとつ別に、人を対象にした生命保険会社が販売している医療保険がありますのでこれとの違いをみてみましょう。
医療保険とは、医療機関に入院したら1日あたり5千円や1万円の定額制で給付金を受取ることができる保険です。
たとえば、1日あたり入院給付金1万円の契約をしているとします。
入院初日から支払われる医療保険に加入しているならば、10日入院すれば1万円×10日=10万円受け取ることができます。
受取れる金額は、病院で支払う医療費の金額の大小に関係なく給付金を受け取ることができます。
ですので、数社の医療保険に加入していている場合には、入院給付金の受取りのほうが多くなることがあります。俗にいう焼け太りではありませんが、入院して得することもあります。
ペット保険の場合は、かかった治療費に対しての支払い割合が決まっています。そのため医療保険とは違って、その範囲内で保険金が支払われるため、自己負担が多くても少なくても得をすることはありません。
それでは、アニコム損保のペット保険だけでなく、他のauやアクサのペット保険などに3社加入していたらどうなるでしょうか。
2社以上のペット保険及び少額短期保険に加入している場合
それでは、ペット保険や少額短期保険に1社ではなく、2社以上の複数に加入していた場合はどうなるでしょうか?
こういった場合には、損害額を超えて支払いが発生するケースになりますので、各保険会社並びに少額短期保険会社間で調整されて保険金が支払われます。ですので、「もらい得」をすることはありません。
ペット保険のデメリットとは
ペット保険、ペット少額短期保険にも当然ながらデメリットがあります。
主なデメリットと支払い免責についてです。
- 保険料は掛け捨てです。
- 更新は1年で、毎年保険料は変わります。
- ワクチン等の予防接種により予防できる病気は補償対象外(ただし、予防措置の有効期間内であ
る場合および獣医師の判断により、予防措置を講じることができなかったと認められる場合を除く)
- 地震、噴火またはこれらによる津波(風水害等を含む)が原因で生じたケガ・病気は補償対象外
- 妊娠・出産にかかわる費用は補償対象外(保険会社によっては「母体救命措置として、やむなく帝王切開を行った場合」「ほかの傷病、事故に起因する早産・流産・帝王切開を行った場合」については、補償対象とする場合があります)
- 先天性の病気の場合は発症時期にかかわらず補償対象外
- マイクロチップの埋込費用は補償対象外
- 健康食品、中国医学(鍼灸を除きます)、インド医学、ハーブ療法、アロマセラピー、ホメオパシー、温泉療法および酸素療法等は補償対象外
ペット保険は必要なのか
生命保険に加入していてもそれほど使うことはありません。そのためペット保険に加入しても使わないと思いがちです。
加入しておけばいざというときに自己負担が少なくなるので助かりますが、保険料は掛け捨てになりますし、犬やネコの年齢で毎年保険料は変わります。そこで加入する必要があるのか調べてみました。
アニコムの統計によりますと、「62%の方がペット保険の使用経験あり」となっています。つまり半数以上の方が使用していることになります。
例えばですが、アニコム損保においてチワワで損得の計算をしてみました。
支払い割合50%スタンダードプランでチワワの保険料は次の通りです。(2017年10月23日現在)
どうぶつ健保ふぁみりぃ50%プラン・チワワの保険料
年齢 |
年払い保険料 |
---|---|
0歳 |
26,770円 |
1歳 |
25,510円 |
2歳 |
25,880円 |
3歳 |
27,430円 |
4歳 |
30,190円 |
5歳 |
33,180円 |
6歳 |
37,050円 |
7歳 |
41,700円 |
8歳 |
44,110円 |
9歳 |
47,230円 |
10歳 |
49,460円 |
11歳 |
50,210円 |
12歳 |
50,670円 |
13歳 |
50,960円 |
14歳 |
51,130円 |
15歳 |
51,240円 |
チワワが0歳のときからペット保険に加入すると15歳までに支払う保険料は累計で642,720円になります。月に換算するとおよそ平均3,750円です。
つまり、動物病院に毎年、年間9万円以上支払うのであれば、半分の4.5万円は保険から支払われますので損はなくなります。それ以下なら損になります。この点から考えると躊躇するのもうなずけます。
だからといって、その分を貯蓄していなければたぶん他のことで出費してしまうでしょうし、腫瘍などで入院・手術をすれば最低でも20~30万円は支払うでしょうから、ペット保険に加入しておくことで金銭面でさほど心配することなく動物病院に行けるので手遅れになることを防げるメリットはあるかと思います。
そこで、別の方法として考えられるのが、少ない保険料で大きな出費に備えておく方法です。
たとえば、このたび販売されましたアニコムの「ぷち70%プラン」です。ぷちプランの詳細はこちらのページへ
ぷち70%プラン、チワワ0歳においては、年間11,690円です。どうぶつ健保ふぁみりぃ50%の保険料の約43%です。
通院はありませんが、これで、入院は1日あたり最高 14,000 円まで(1年間にご利用できる日数は20日まで)、手術は1 回あたり最高 500,000 円まで(1年間に利用できる回数は2回まで)使用できます。
動物病院での支払いで高額になるのが手術費ですから、月々あたり1,000円代で備えておくのもよいかと思います。